
映画『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』(9月26日公開)の舞台挨拶付き特別上映会が9月3日、TOHOシネマズ新宿で実施され、オダギリジョー監督、主演の池松壮亮、共演の深津絵里が参加した。
公開までいよいよ3週間。脚本・監督・編集・出演のオダギリ監督は「意外と皆さん知らないと思うので言っておきたい」と前置きしながら「映画館での上映の最初の週の金・土・日の動員が少なければ、次の週からの上映回数が変わってきます。最初の3日で決まるんです。『時間が出来たら…』と言う人が多いと思いますが、初週の3日が重要です。世知辛いですよね、映画館でこれを言うのもなんですが、それが今の現実で起こっている問題です」と公開後すぐの鑑賞を勧めていた。

鑑識課警察犬係のハンドラー、相棒のオリバー(オダギリジョー)が着ぐるみのおじさんに見えるたったひとりの人・青葉一平を演じた池松は「オダギリさんが監督される作品に望んで出られるようなものではないので、自分で良ければと飛び込んでみたいと思った。そうしたらこんなところまで来てしまいました」とドラマから劇場版に進出したことにしみじみ。
狭間県の隣の県警に勤めるカリスマハンドラー・羽衣弥生役を演じた深津は8年ぶりの映画出演。朝ドラ『カムカムエヴリバディ』の撮影中にオダギリ監督から映画化の話を聞いたそうで、その後正式なオファーがあり「オダギリ監督の書かれた脚本が近年稀にみる奇想天外さで、一度読んだだけではわからなかった。全くわからないと思った脚本に出会ったのは初めて。そのわからなさに強く惹かれました。どうなるのかわからないけれど、飛び込んでみたいと…」と快諾の理由を述べた。

池松と深津は意外なことに初共演。池松は「とても感動しました。色々なものを超越していらっしゃるというか、神々しくて、でもその奥に生活が見えてリアリティがある。これまで沢山の現場を確固たるプロ意識を持って通過されてきたんだとわかるし、優しくて親切で、オダギリさんにもそういうところがあって、お二人の間にいると清められて“カムカム”しています」とユーモアを交えて共演に感激。
深津は「池松さんは今をときめく人ですから、まばゆくて存在感のある方でした。撮影現場で池松さんを見ていると、作品の事を第一に考えているのがヒシヒシと伝わって来て、その姿を見ているだけで胸がいっぱいになりました。志と愛情を持った俳優がまだいてくれると思ったら、安心して嬉しかったです。池松さんはこれからも日本映画を面白くして、質を高めて支えてくれるそんな俳優だと思います」と賞嘆した。

オダギリ監督はそんな二人に対して「僕の作品に来ていただく役者さんは演出する必要のない人に来てもらっていて、同業者として信頼が出来て尊敬している人たちなので、特にこのお二人には現場で何を言う事もなく、一番演出する必要のないお二人です」と信頼を寄せて「特に深津さんは冒頭から凄い。それを映画館で観て驚いていただきたい」と予告。
これに池松も「はい、お約束します」と太鼓判を押すと、深津は「そんな期待値を上げられると不安になります!」と照れながら「でもオダギリさんがOKを出してくれたものですから、その言葉は信じたいです」と恐縮していた。

一方、オダギリ監督について池松は「俳優として監督としても、いつお会いしても情熱的でいつも面白い事を考えている方。それが監督になるとなお誠実でストイックで親切。つまり最高の監督です!」とリスペクト。深津も「こちらが申し訳なくなるくらい大事に丁寧に接してくださいました。私にとっては絶対的に信じられる最高の監督です」と賛辞を送り、オダギリ監督を「いやー、もうね…ありがとうございます!」と照れさせていた。
また「自分にとっての映画とは?」とのお題に池松は「もちろん映画だけにいい作品が集まっているとは思いませんが、でも映画に育てられてきた自分の願いとしては、人生と一番対等な芸術であって欲しいとはずっと思っています」と返答。
子供の頃に夏休みと正月には父と二人で必ず映画館に行ったという深津は「映画館というと父という思い出があって、私が14歳で初めてお芝居をしたのも映画で、そこで教わったことやフィルムが回る時のカタカタ音が映画館に来ると蘇って来ます」とノスタルジックに語った。
これにオダギリ監督は「なんか深津さんの話を聞いていると泣きそうになりませんか?なぜだろう、胸が締め付けられるような…」とグッとしながら「今回の映画は音などは映画館の劇場でないと聴こえないくらいのレベルで設計しています。テレビを観る時と大きなスクリーンで映画を観る時の目線の動きも違ってくるので、それを考慮した編集にもしています」と映画館での上映にこだわった作るにしている事を強調していた。