糸井重里も絶賛!トーベン・クールマン絵本を読むべき理由

2017/05/12
N田 N昌

先日、自身が運営する株式会社「ほぼ日」が東京証券取引所のジャスダック市場に上場を果たし話題を集めたコピーライターの糸井重里様。

 

流行るもの、一流のものを見極める、その審美眼の鋭さは、皆様ご存じのとおり。そんな糸井様が、偶然手にしてあっという間にファンになってしまったという絵本がこちら。

 

「リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険」(作:トーベン・クールマン 訳:金原瑞人)でございます。

 

作者のトーベン・クールマン様は、今世界中から注目を集めているドイツの若手絵本作家で、なんとこちらがデビュー作でございます。さらに言うと…、こちらの作品、実は彼の大学の卒業制作なのでございます。これがスイスの出版社に見いだされ、2014年にスイスで出版。それが大反響を呼び、あれよあれよという間に22言語、60カ国で翻訳出版され、世界中で大ブレイク!

 

日本ではおととし2015年4月に出版されております。

 

どんな内容かというと、ドイツに住む読書好きなネズミが、あることをきっかけに仲間たちを追ってアメリカに渡ること、大西洋横断を決心。その方法として選んだのが空を飛ぶこと。本を読み漁り、材料を集め、翼を作ったり、蒸気エンジンを取り付けたり、試行錯誤を繰り返します。何度も失敗します。しかし諦めません。そしてついに…というお話でございます。糸井重里様は、この絵本の感想として「おもしろい映画を1本観たような読後感。そうとうおススメです!」と。

 

そうなのです。ページ数もさることながら(96頁)、各ページの構図、構成にもこだわっており、その独特のテンポ感は、まさに映画を観ているような感覚で読み進めることができるのです。どんどん引き込まれてしまうのでございます。

 

「第8回 MOE絵本屋さん大賞2015」では3位を受賞。大人が楽しめる絵本でございます。

 

そして是非、こちらの絵本も一緒に読んで頂きたい!読み比べて頂きたい!

 

「空の飛びかた 」(作・絵:ゼバスティアン・メッシェンモーザー 訳:関口裕昭)

 

実は、こちらも今、世界中から注目を集めるドイツの若手作家の作品でございます。日本でも人気のある作品なので絵本好きの方ならご存じかもしれません。

 

なぜ、この絵本を選んだのか…、その理由は、同じ若手ドイツ人作家であること、さらに!お話の目的も同じなのでございます。試行錯誤して空を飛ぶことを目指しております。こちらは、ある男が、空から落ちてきたと主張するペンギンを何とか空を飛ばせてやろうと、2人で協力、試行錯誤する物語でございます。

 

ただ、こちらの物語は、試行錯誤する部分でかなり笑いを狙っており、悪戦苦闘ぶりがシュールなコントとして楽しめます。是非、一緒に読んで頂きたいのでございます。

 

なぜ、同じドイツ人作家が、同じように空を飛ぶために試行錯誤する物語を描いたのかと考えた場合、そこには、ニーチェの存在が大きいのでは…。

 

ニーチェと言えば、ドイツの哲学者。白取春彦先生の「超訳 ニーチェの言葉」の大ヒットが記憶に新しいところではございますが…そのニーチェの言葉にこんなものが。「いつか空の飛び方を知りたいと思っている者は、まず立ちあがり、歩き、走り、登り、踊ることを学ばなければならない。その過程を飛ばして、飛ぶことはできないのだ。」

 

ひょっとしたら、ドイツではこのニーチェの言葉が有名で、2人ともこの言葉にインスパイアされたのかも…など考えてしまいます。

 

さらに、もう一冊。

トーベン・クールマン様が先月(4月)、新しい絵本を出されました。

 

「アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険」(作:トーベン・クールマン 訳:金原瑞人)でございます。

 

タイトルをよく見ると、同じ「そらとぶネズミの大冒険」になっておりますが、「そら」の漢字が「宙」になっております。そう、今回の目的地は「月面」なのでございます。トーベン・クールマンを好きになった方は是非、こちらも…。

 

刊行を記念して、513日(土)から521日(日)まで、ブロンズ新社・青銅Room Jという場所で、絵本原画展も開かれているようなので、迫力の原画を見てみたいという方は是非。515日は休廊日だそうです。

(文:N田N昌)

 

この記事が気に入ったらいいね!しよう

N田 N昌
この記事を書いた人

N田 N昌

放送作家・ナンセンス絵本マニア 「有田とマツコと男と女」「レゴニンジャゴー(アニメ)」 「天才テレビくんMAX」「小島慶子のオールナイトニッポンGOLD」 など、テレビ・ラジオ番組の構成脚本を担当。

N田 N昌が書いた記事

あなたへのおすすめ

カテゴリー記事一覧

pagetop