この夏は、映画『この世界の片隅に』と一緒にこの絵本を読むべき!

2019/07/23
N田 N昌

夏、とくに8月になると、毎年、戦争と平和を扱った映画やドラマ、スペシャル番組が放送されるのでございます。

そんななか先日、NHK総合テレビで、のん様が主演声優を担当していることでもお馴染みでございます。映画『この世界の片隅に』が放送されることが発表されました。地上波初登場でございます。内容は説明するまでもございません。

みなさん、ご存知の通りでございます。平成を代表する大ヒットアニメでございます。2016年11月に劇場公開されてから、2年半以上たった今でも上映している映画館があるとか…。

そして今回、おススメしたいのが絵本でございます。映画でもドラマでもございません。毎年この時期、戦争と平和を扱った映画やドラマを観るように、戦争と平和を扱った絵本を読んで頂ければと…。

戦争と平和を扱った絵本、たくさんございます。「非情な話」、「心温まる話」、「体験談」など、いろいろございます。学校の授業でも使われたりしております。

しかし、今回ご紹介させて頂く絵本は、これまでの戦争と平和を扱った絵本とは少々、違ったアプローチ、仕掛けがなされております。まず、ストーリーがございません。戦争と平和という重いテーマを分かりやすく、直感的に伝えるゴイスーな仕掛けが施されております。大人が「ほぉ~」と思える作品でございます。それが、こちら。

 

『へいわとせんそう』(文:たにかわしゅんたろう 絵:Noritake 出版社:ブロンズ新社)

今年3月に刊行された絵本でございます。毎年、戦争と平和をテーマにした本が何冊も出版されますが、こちらは、戦争と平和がテーマの定番絵本として、末永く店頭に置かれることになるのではないかと…。

念のためでございます。タイトルが『へいわとせんそう』ですが、文豪トルストイのロシア文学の金字塔、『戦争と平和』とは、関係ございません。ある意味、対極にある作品かと存じます。

『戦争と平和』は、登場人物559人。ページ数は1000ページ以上。さらに、

難解なストーリー。……。映画やドラマとしても描かれ、時代を超えて多くの方々に読み継がれている名作ですが、なかなか読むのはしんどい作品かと。

一方、『へいわとせんそう』は、シンプルをコンセプトにした絵本でございます。

文は、日本を代表する詩人、谷川俊太郎さまが短い言葉で表現。さらに、絵は、シンプルなモノクロの線画が特徴の人気イラストレーター、Noritakeさまが担当されております。構成もシンプルでございます。平和と戦争の異なる状況で、人や物、さらに場所は各々どの変わるかを左右のページで比較する形式で展開いたします(途中、形式は変化いたします)。

ページ数は32ページ。文字数は205文字でございます。

読むのに3分もかからないかと。しかし、何時間でもかけて読む・眺めることのできる作品でございます。深イイです。もちろん、何度も何度も、読み返せるのも絵本の魅力でございます。

秘密結社フリーメイソも出てまいりません。(『戦争と平和』には登場いたします)

余談でございます。

この夏は、映画『この世界の片隅に』と絵本『へいわとせんそう』、この2作品で、戦争と平和について、おもいを巡らせて頂ければと存じます。

世界中で戦争がなくなりますように……。                          

たまに映画を観るように、たまに絵本を観る、そんな時代になりますように……。

(文:絵本トレンドライター N田N昌)

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N田 N昌
この記事を書いた人

N田 N昌

放送作家・ナンセンス絵本マニア 「有田とマツコと男と女」「レゴニンジャゴー(アニメ)」 「天才テレビくんMAX」「小島慶子のオールナイトニッポンGOLD」 など、テレビ・ラジオ番組の構成脚本を担当。

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