約3人に1人が「DX離職」を考える時代に……。今回行われたとある調査により、このような問題が明らかとなりました。「DX離職」とは企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進まないことによって人材が企業から離れていってしまうことを指します。
また、調査では世代間ギャップに悩む「中堅社員」の存在も明らかに。今回はその調査の結果を紹介していきます。
2024年 働き⽅に関するアンケート調査
株式会社Colorkrew(以下、カラクル)では、2024年6⽉に全国の会社経営者・役員・正社員・契約社員・公務員1,000名を対象に「2024年 働き⽅に関するアンケート調査」を実施しました。
・ DX化に対する調査
調査ではまず、職場でのDXの進行状況について質問。「すでにDX化できている」と答えたのは6.1%にとどまり、「特に取り組んでいない」が29.3%で⼀位に。また「わからない(24.6%)」が ランクインする結果となりました。 多くの企業でDX化が進んでいないようです。
次に、自身が職場のデジタル化に対応できているかを質問。若手社員は「できている」という回答が多かったのに対し、中堅、ベテラン社員は「できていない」という回答の方が上回る結果となりました。
続いて、「働き⽅改善へとつながるDX化が進まないと離職を考えますか︖」という質問では、約3⼈に1⼈が「離職を考える」と回答。DX化が遅れると人材流出の恐れがあることが明らかとなりました。
次に、DXに求めることを尋ねると「データやデジタル技術を活⽤して、より効率のよい業務プロセスへ改善されること(23.9%)」が、最も⾼い結果となりました。
ここまでの調査では、若い世代の方がDX化への対応が早いことや、DX化が進まないと離職を考えるという人が多いこと、しかし、DX化が進んでいる企業は少ないことなどが明らかとなりました。
・中堅社員の悩みに関する調査
今回の調査では、DXの導⼊傾向を踏まえ、どんな部分で「業務改善」が必要かを分析。 すると、「若⼿社員」と「ベテラン社員」の間で⽣じる”ジェネレーションギャップ” によって、「中堅社員」が抱える様々な問題が明らかとなりました。
まず、ベテラン社員と若⼿社員との狭間で困ったことや驚いたエピソードを中堅社員に質問すると、以下のような回答がありました。
・昭和の考え⽅が全く抜けておらず、キツく接することが正解だと思い込んでいるので、スパルタに接するように要請される。 (正社員/38歳)
・若⼿社員がどれだけ仕事が遅くて雑でも、やめてほしくないからと注意や教育を放棄し、何かあった時は私が責められていた。(正社員/28歳)
・若⼿社員の仕事の進捗をまめに確認し、報告するよう頼まれ、⾃分の仕事が疎かになった。(派遣・契約社員/35歳)
・⽇報の必要性について、真っ向から対⽴したこと。 上はやれ、下はいらない。 結果として、事実上、やらない奴はやらなくてもお咎めなし。(正社員/36歳)
若手社員とベテラン社員の板挟みになっている中堅社員も多いようです。
続いて、「⾃由な働き⽅とは『好きだ』と思う仕事だけやることか否か」と質問。そう思うと答えた若⼿社員が35%に対して、ベテラン社員の45.1%がそう思わないと回答する結果になりました。
また、エピソードとしては「お昼休憩も取らず汗⽔垂らし働けという上司と、始業ギリギリまで来ず仕事量も少ない若⼿社員の狭間で、⾯倒事は常に⾃分に押し付けられていた。(正社員/28歳)」というものも。
続いて、「オンラインミーティングが手軽で楽であると思うか」という質問では、「当てはまる、やや当てはまる」と答えたのは若⼿社員の43.5%で最も⾼く、⼀⽅でベテラン社員は「どちらとも⾔えない」が⼀番⾼い傾向にありました。
こちらの質問に関するエピソードとしては、「若⼿は対⾯でのミーティングや会議を嫌がるため、上司の指⽰でなぜ嫌なのかをヒヤリングするよう⾔われた。(正社員/41歳)」といった中堅社員が若手とベテランの間に入らないとコミュニケーションがとれないという問題を如実に表したものもありました。
今回調査を行ったカラクルは、「職場環境の変化によって生まれるコミュニケーションの溝が原因で仕事が進まず、中堅社員の⾁体的、⼼理的負担が増えたことが今回の調査で明らかになった。その背景があるため、中堅社員のなかでも『効率のよい業務プロセスへの改善につながるDXを求めている』が⼀位にあがった 」と考察しています。
各企業は DX化を進め、業務プロセスを改善し、中堅社員の負担軽減を行っていくことで、より良い労働環境の場が作られ、結果として中堅社員の流出を防ぐことができるのかもしれません。