先日、大腸ケアに関連する事業会社が業界を超えて連携し活動をおこなう『大腸活コンソーシアム』が開催する、第3回「みんなと食べる!大腸活テーブル」のオンラインランチ会が9月26日の大腸を考える日を目前に控えた9月23日に行われました。
今回は「世界で結果を残した日本代表選手の“本番に備えた食事”」と題して、柔道史上初オリンピック3連覇を達成した柔道家の野村忠宏さん、元競泳日本代表の萩原智子さん、元女子バドミントン日本代表の小椋久美子さんらが登場し、一般参加者約160名とオンラインランチ会を楽しみながら、自身の“試合本番前の勝負メシ”を紹介しました。
この「みんなと食べる!大腸活テーブル」は、大腸の腸内フローラをケアする「大腸活」とみんなで食べる「共食」の価値を広める一環として開催されるもの。ランチ会の後半には、腸活研究所の講師兼管理栄養士の前川さんを交え「大腸活」について学び、大腸活に因んだクイズ出題と一緒に “金”メダルならぬ“菌”メダルの獲得を目指し盛り上がりました。
意外!?メダリスト達の勝負飯
身体のコンディションと機能を極限まで高めて試合に臨むオリンピックアスリート達の勝負飯とはどのようなものなのでしょうか。
野村さんの現役時代は、試合当日の朝に計量測定が行われており、試合直前に食事制限が解かれるため、身体の負担を考え、特に消化が良く素早くエネルギーに変わる食事を摂るようにしていたそうです。なかでもレトルトのうどんは携帯しやすく、海外遠征にも欠かせなかったと話します。
写真)うどん、ヨーグルト、バナナ、米粥。生麺のうどんは、野村さんが全国大会で初優勝したときに食べていたメニューで験担ぎの意味もある。
格闘技である柔道の勝負飯は、肉に野菜に米などガッツリとした内容のものをイメージしていた参加者もいたようで、意外に色が薄く見た目にも胃腸に優しそうなメニューに驚いた様子でした。
スーツケースの半分に詰めて持って行くほど羊羹が好きで、試合時には必ず携帯していたという競泳の萩原さんは、「羊羹はエネルギー効率が良いし、好きな甘いものを食べるとモチベーションが上がる」と、精神的なケアも兼ねた勝負飯を披露。消化のことを考えおにぎりは海苔を巻かず、味噌汁の具材も少量のワカメのみで、試合当日はそれすらも入れないという徹底ぶりでした。
写真)羊羹、カステラ、おにぎり(具は梅干し)、味噌汁、飲むヨーグルト。
ちなみに、野村さんも1日5試合をこなすために「どら焼き」などの和菓子を好んで食べていたそう。小豆と砂糖(ブドウ糖)を主な原料とする餡子は、登山家やトライアスロン、ロードバイクなど長時間身体を動かすアスリートたちにも人気で、栄養素を加えた携帯用のスポーツ羊羹も市販されています。
小椋さんの勝負飯は、炭水化物とビタミンB群が摂れる白米と豚肉、とろろなど、素早くエネルギーを燃やしてチャージできるメニュー。
写真)白米、とろろ、豚肉と玉ねぎの炒め物、キャベツ、マカロニの和え物。
専属の栄養士さんがついていた小椋さんは、疲労時はレモンや梅干しなど酸っぱいものを、調子の優れない時は消化に良いものなど、小椋さんの体調に合わせてメニューを変えていたそうです。特にストレスで腸炎になりやすかったためヨーグルトを摂るなど、食事を通した体調管理を心掛けていました。
3選手に共通しているのは「エネルギー補給」と「消化に良い食事」の2点。管理栄養士の前川さんは、「さすが一流アスリートの勝負飯! 素早くエネルギーに変わるメニューばかりで、大腸に良い発酵食品や食物繊維も豊富です。小椋さんの“山芋のとろろ”は水溶性食物繊維が豊富で印象的ですね」と、感心した様子でした。
アスリートと大腸の関係
実は、大腸の役割の大切さを知ったのは最近になってから、という小椋さん。「印象として乳製品がお腹に良いとは思っていたけれど、とろろが大腸に良いと思っていなかった」と、現役時代に何気なく食べていた勝負飯の効果に驚いていました。
腸内細菌と運動パフォーマンスは関連しており、腸内細菌がストレスやダメージから腸を守っているといわれています。さらに、近年では運動の持続力に関係する菌も発見されているそうです。
野村さんが食べていたバナナや、萩原さんらが飲んでいたヨーグルトも大腸活に良い食材の代表ですが、野村さんが「大腸を意識してというのは無く、エネルギーのことしか考えてなかった」とふりかえる一方、萩原さんは「大腸に便がたまっている状態でプレーをしたくなくて、栄養士さんに相談するなどしていた」と、現役当時から腸活を意識していたことを明かしました。
最近の研究では、大腸の働きは栄養の吸収や排泄といった消化器領域のみならず、神経、免疫、代謝、循環器とさまざまな領域に影響することが分かっています。この大腸を整えるために必要なのが、大腸内に生息するビフィズス菌や酪酸菌といった善玉菌が生み出す「短鎖脂肪酸」です。
短鎖脂肪酸は、主に腸内の悪玉菌を抑える滅菌・殺菌作用と腸管のバリア機能をアップさせる作用に影響し、体内に侵入したウィルスや感染症から身体を守る免疫機能を向上させます。この短鎖脂肪酸を増やすためには、ビフィズス菌や酪酸菌といった善玉菌とともに、それらのエサとなる水溶性食物繊維を一緒に摂ることが効果的です。
冬本番にむけ、免疫力向上を考える
特に今年はコロナ禍の影響もあり例年より感染症対策に気を配っている人も多く、ウィルスや感染症が猛威をふるう秋冬にむけて免疫力アップを目指したいところです。そこで、3選手が挙げたのがキムチ鍋や豆乳鍋、薬膳鍋など、乳酸菌や食物繊維が手軽に摂れて身体も温まる鍋料理でした。
なかでもキムチ鍋の具として一般的な、ゴボウ、ニンニク、ニラなどに含まれる水溶性食物繊維「イヌリン」は、食道、胃、十二指腸で分解・吸収されず腸内まで届くプレバイオティクスとして世界的にも注目されています。
前川さんは、「根菜類やおでんのこんにゃくなども良い。意外に大腸活に適した食材は多いので試してみて」と、発酵食品や乳製品とともに、さまざまなバリエーションの鍋レシピで水溶性食物繊維を楽しんで摂る大腸活ライフを提案しました。
写真)管理栄養士の前川さん。ビフィズス菌や酪酸菌をより効果的に摂るならば、大腸が蠕動運動をはじめるタイミングの朝食がおススメだそうだ。
チームで一緒に食べる、その意義は?
さて、「みんなと食べる!大腸活テーブル」のもうひとつのテーマが「共食」です。共食とは、家族や友人、仲間と一緒に食事をすることでコミュニケーションが活性化し、食事の満足度を向上させる試みです。いわゆる「同じ釜の飯」を食べることで一体感が生まれる効果や、豊かな人間性や健康な心身を育てることにも繋がります。
共食の思い出について萩原さんと小椋さんは、「バトミントンや競泳は、団体戦の前にみんなで食卓を囲み結束力を高め、海外遠征であればコート環境や施設の導線、相手チームの情報などを共有していた」と、試合前の団結と情報交換の大切な場だったとふりかえります。
また、競泳チームは事前にスタッフが現地視察し日本食店を探すなど、和食にこだわっていたそうで、おにぎり100個くらいを作ってスタッフと選手一同で食べるなど、お米と味噌汁は共食にかかせないアイテムだったそうです。
小椋さんも、朝から晩まで動いて選手を支えてくれるスタッフのために、海外遠征時にはスタッフの分も米5キロ、ふりかけ、レトルトの具などを持っていったそうで、「慣れない海外でお米とお味噌汁があるとほっとする」と、栄養を摂るだけでなく心のケアもみんなで行っていたと話しました。
試合前の緊張や弱さを人前で吐露できなかったという野村さんは「世界選手権やオリンピックなどの代表メンバーで食卓を囲むことで、試合前の緊張感や弱さを共有できた。だから今でも、一緒に食べたことが印象に残っています」と当時をふりかえり、共食が試合前の精神安定やモチベーションの維持に繋がっていたと話しました。
楽しく食事を摂ることが一番大切
萩原さんは「食べることは生きることに直結する。コロナ禍だけれども、こうしてオンラインで皆さんと繋がり、一緒に楽しく食べる大切さを改めて感じた」と、みんなで食卓を囲む意義を再認識したとコメント。また、小椋さんは「大腸のパフォーマンスが良くないと、さまざまな私生活に影響することを知った。これからは腸に意識をむけて生きていきたい」と改めて大腸活に取り組むことを宣言しました。
野村さんは、「大腸を整えることに大きな意味があることを知った。健康寿命を延ばして、楽しく元気に生きていけることを考えたい」と話し、最後は参加者全員で「大腸活で菌メダル目指して、ごちそうさま~」という掛け声とともにランチ会を締めくくりました。
写真)野村さんが手にしているのは本物のアトランタ五輪の金メダル。サプライズで披露してくれた。
一流アスリート達の勝負飯や体調管理、試合時の裏話など、貴重な話しが聞けた今回の「みんなと食べる!大腸活テーブル」。あまりに話が興味深く、思わずランチを食べる手がとまってしまう参加者もいたほど好評でした。詳細は (https://www.daichokatsu.com/)まで。