
天井裏から聞こえる物音や、キッチンで見つけた小さなフン。ネズミの被害は、食品を食べられるだけでなく、電気配線をかじられて火災につながる恐れもある。
10月27日、住宅のシロアリ対策などを手がけるアサンテは、東京・新宿の本社で「メディアラウンドテーブル」を開催した。
会場では、秋冬に増えるネズミ被害の実態や、豪雨などで床下浸水した住宅に潜むリスクについて専門家が解説。さらに、約10年間にわたって活躍したトコジラミ探知犬「ビート」の引退式も行われた。
ネズミの相談件数は10年間で約2倍!秋冬に被害が増える理由

住宅に侵入するネズミは、主にドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種類。それぞれ好む環境が異なり、被害に応じた対策が必要になる。
アサンテのHA営業推進部技術課係長・栗澤寛之氏によると、ネズミに関する相談件数は増加傾向にあり、公益社団法人日本ペストコントロール協会の機関誌をもとにしたデータでは、10年間で約2倍に増えているという。
背景には、餌となるゴミの増加や都市部の高密度化、空き家の増加、天敵の減少などがある。

特に注意したいのが、秋から冬にかけての時期だ。気温が下がると自然界の餌が減る一方、住宅の中は暖かく、餌も確保しやすい。ネズミにとっては、寒い季節を過ごすのに適した環境となる。
被害は、食品を食べられたりフンで汚染されたりするだけではない。食中毒や感染症などの健康被害に加え、電気配線をかじることによる火災、ガス漏れや水漏れ、断熱材の破損などにつながる恐れもあるという。
わずか1cmの隙間も危険!家庭でできるネズミ対策とは?

ネズミの侵入を防ぐため、栗澤氏が挙げたのは「入れない」「餌を与えない」「住み着かせない」という3つのポイントだ。
まず重要なのが、建物への侵入経路をふさぐこと。ネズミは小さな隙間から入り込むため、外壁の穴やひび割れ、配管周りなどを確認する必要がある。
特に、ドアの下などに1cm以上の隙間がある場合は注意が必要だという。
餌を与えないためには、食品を密閉容器に保管し、ゴミはフタ付きのゴミ箱へ。不要な段ボールや新聞紙をため込まないことも有効だ。
また、定期的に掃除や換気を行い、長期間使用していない部屋にも時々入ることで、ネズミが住み着きにくい環境を整えられる。

ネズミがいるかどうかを判断する手掛かりとなるのが「ラットサイン」。フンやかじった跡、通り道に付いた汚れ、天井裏から聞こえる足音などが該当する。
こうした痕跡が一つでも見られる場合は、ネズミが侵入している可能性がある。被害が広がる前に、早めに対応することが大切だ。
床下浸水から2週間後もびしょ濡れ!? 見えない場所に残る住宅被害

もう一つ取り上げられたのが、豪雨や台風による床下浸水のリスクだ。
アサンテの営業企画部研究開発課主任・田中義人氏によると、床下浸水は水が引いた後も住宅への影響が残る可能性があるという。
浸水直後には汚泥の侵入や断熱材の汚損などが発生するほか、時間がたってから結露やカビ、木材の腐朽などが生じる恐れがある。

さらに、シロアリは湿度の高い環境で活動が活発になり、水分を多く含んだ木材は食害を受けやすくなる。ただし、田中氏は「床下浸水によってシロアリの発生率が高まることを直接示すデータは把握していない」と説明。そのうえで、浸水による湿度の上昇が被害のリスクを高める可能性を指摘した。
会場では、実際の被害事例も紹介された。2019年10月の台風19号で、長野県にあるアサンテの顧客宅が床下浸水。約2週間後に調査したところ、床下には泥が堆積し、柱や木材にも汚れが付着していたのだ。
特に深刻だったのが断熱材である。浸水から約2週間が経過していたにもかかわらず、スポンジのように大量の水を含み、触れると水が滴り落ちるほどだったという。

この住宅では断熱材をすべて撤去することになり、回収とシロアリ対策の薬剤散布だけでも作業には3日間を要し、延べ約15人が携わった。
田中氏は、浸水後は排水と汚泥の撤去に加え、十分な清掃と乾燥が重要だと説明。床下の消毒は原則不要とされる一方、後から問題が表面化することもあるため、継続的な点検が必要だと呼びかけた。
約6,700室を調査!探知犬「ビート」が10年間の活動に幕

ラウンドテーブルの最後には、10月末で現役を引退するトコジラミ探知犬「ビート」の引退式が行われた。
2015年生まれのビーグル犬・ビートは、2017年にシロアリ探知犬としてデビュー。2021年にトコジラミ探知犬へ転向し、これまでに宿泊施設の約6,700室を調査してきた。

引退式では、5つの容器のうち1つにトコジラミの検体を入れた訓練器具を使い、探知のデモンストレーションを披露。容器の位置を変えても、見事にトコジラミのある場所を探し当てた。
ハンドラーの下山当氏は、引退への寂しさをにじませながらも「これでやっと探知犬としての仕事が終わって、普通のペットとして余生を過ごすことができるので、よかったなと思います」と語った。
現在、アサンテでは後輩となる3頭の探知犬が訓練中で、2027年4月と6月のデビューを目指している。
住宅トラブルを防ぐには?早期発見と対策がカギ

ネズミの侵入も床下浸水後の住宅被害も、普段は目の届きにくい場所で進行するという共通点がある。
今回のラウンドテーブルでは、ネズミを寄せ付けない環境づくりや、浸水後の清掃・乾燥、定期的な点検の重要性が示された。
また、長年にわたって現場を支えてきた探知犬ビートの引退式からは、人の目では見つけにくい害虫を発見する探知犬の役割も伝わってきた。
住宅を長く安全に使い続けるためには、日頃から小さな異変に目を向け、被害が深刻化する前に対処することが大切だ。
アサンテ公式サイト:https://www.asante.co.jp/







