今年の夏の自由研究は、スイミーの教科書と絵本の読み比べがトレンドに…

2019/07/11
N田 N昌

小中学生の夏休みの宿題の定番といえば、絵日記と自由研究でございます。

みなさん、最終日までバタバタした経験、親に泣きついて手伝ってもらった経験、おありだと存じます。聞くところによると、自由研究のレベルがかなり上がっているようでございます。親が手伝うどころから、親の見栄の張り合いになっているという噂も……。

そんななか、今年ならではで、なおかつ、グローバルで、先生、他の親御様からも注目を集めること間違いナッシングなテーマがございます。

それが、「スイミー」でございます。

小学校の教科書にも掲載されており、子どもから大人まで幅広い世代に愛され続けている絵本でございます。赤色の魚たちの中で、自分だけ黒い色をした魚の物語でございます。その「スイミー」の貴重な原画が現在、初来日中なのでございます。そうなんです。「今でしょ」なのでございます。

 

ちなみに、その原画が鑑賞できるのが、「みんなのレオ・レオーニ展」。スイミーの作者である世界的人気絵本作家、レオ・レオーニ様の展覧会が全国を巡回中なのでございます。ちなみに、7月13日から9月29日までは、新宿の東郷青児記念・損保ジャパン日本興亜美術館で開催しております。

ここから、本題でございます。

実はこの「スイミー」、絵本、作者ともに、ゴイスーに研究しがいがあるのでございます。

すでに気付かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、絵本と展覧会で、作者の名前の表記が「レオ・レオ二」と「レオ・レオーニ」と違うのでございます。

さらに、翻訳出版されている作品の中でも「レオ二」と表記されている絵本と、「レオーニ」と表記されているものがございます。

一体なぜ……。是非、研究して頂きたいのでございます。

さらに、教科書の「スイミー」と絵本の「スイミー」の違いを研究するのも面白いかと…。実は、テキスト(文章表記)が違うところが何か所かございます。絵も違います。絵やページ数の違いが読んだ感想にどんな影響を与えるのか……。この辺りも、研究しがいがあるかと。

ちなみに今は、教科書も絵本もどちらのスイミーも基本、右側を向いております。右に進んでいくように描かれております。ところが、少し前まで、教科書のスイミーは絵を反転させ、左向きになっておりました。

なぜか…。国語の教科書は、文字が縦書き、つまり「右開き」でございます。

一方、絵本は横書きで「左開き」でございます。なので、反転させた方が、物語をビジュアルとして理解しやすいのでございます。

しかし、新版(今の教科書)では、絵本の絵を反転することなく、原作に忠実に、そのまま掲載しております。この辺りも研究するには面白いかと。

最後に、もうひとつ。

日本に来日中のスイミーの貴重な原画5点と絵本の絵とよーく見比べてみると、なんと別物なのでございます。なぜ、別の絵が原画としてスロバキア国立美術館に所蔵されているのか……、その経緯も不明なのでございます。さらに、絵本に使われた原画は現在、行方不明なのでございます。

ヒトシくん人形でおなじみの「日立 世界ふしぎ発見!」(TBS)で、取り上げて頂きたいレベルのミステリーなのでございます。

今年は、貴重な原画を見れるチャンスもございます。

是非、今年の自由研究は「スイミー」をテーマに取り上げてみてはいかがでございましょう。注目を集めること、間違いナッシングでございます。

(文:絵本トレンドライター N田N昌)

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N田 N昌
この記事を書いた人

N田 N昌

放送作家・ナンセンス絵本マニア 「有田とマツコと男と女」「レゴニンジャゴー(アニメ)」 「天才テレビくんMAX」「小島慶子のオールナイトニッポンGOLD」 など、テレビ・ラジオ番組の構成脚本を担当。

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