小学生がヨーロッパにサッカー留学したり、小学生社長が誕生したりと、早いうちから頭角を現わす子どもが増えている。彼らはどうしてそんなに若いうちから才能を発揮できるのだろうか。
学歴を過信しない
早熟な天才たちの出現と、学歴過信からの脱却は無関係ではないだろう。一昔前だったら有名大学に合格したら一生安泰だともてはやされた。けれど、今は学歴は子どもたちの目標ではなくなっている。なかには最難関と言われる大学に合格したのに入学を辞退し、海外の大学に進む学生もいるという。舞台は世界に広がっているのだ。
できる子どもは母親の視野も広い。賢いお子さんのお母さんたちとお話をすると、大学はゴールではない、というような話が出る。長い人生のなかのあくまでも通過点であり、そこが最終目標ではない。どの大学に行ったよりも人生で何を成し遂げたのかが大切なのだという。学歴社会に踊らされない賢さを保護者が身につけたからこそ、子どもも余裕を持って才能を伸ばせるのだ。
小学生や中学生が出版!?
1991年にも6歳の男の子が書いた童話がSF童話賞を受賞して話題になったことがあった。その時も驚いたけれど、AERA2017年10月16日号には、12歳で『12歳の少年が書いた量子力学の教科書』という本を出版したという近藤龍一くんの話が載っていて、圧倒された。他にも小学生で作家になった女の子の話も載っていた。
筆が立つ子どももいれば、最近はプログラミングが得意な子どももいる。彼らが大人顔負けの技術を持ち、それを磨き続けていられるのは、おそらく学校のおかげではないだろう。子どもの才能をいち早く見抜き、適切な教育を受けさせた保護者の愛情と判断力が大きいのではないだろうか。
天才を支えるシステム
子どもの天才的な才能は、子どもだけで伸ばすのは難しい。その才能を見抜く保護者や指導者、それから良い環境を与えるためのある程度の金銭的余裕が必要だ。今の日本には貧困に苦しむ高校生や大学生のための奨学金は増えてきてはいるが、小・中学生のための、しかも突出した才能を伸ばすための奨学金は少ない。そのため多くの負担が親にかかる。
とはいえ最近は、東京大学が「異才発見プロジェクト」で中学3年生までの突き抜けた才能を持った子どもたちにセミナーを行い、東京藝術大学が「早期教育プロジェクト」として中学2年生までの子どもにレッスンを行うようになった。今後もさらに若い天才たちが世界に羽ばたいていくことだろう。