サードウェーブはチョコレート界にも波及
コーヒー界の新潮流として、ブルーボトルコーヒーが日本に上陸してからおよそ2年。厳選したコーヒー豆を使い、一杯一杯ハンドドリップで提供するなど、こだわりのサービスが話題になりましたね。そんなサードウェーブが、チョコレートにも波及していることを知っていますか?
「豆から板まで」を意味するBean to Bar(ビーン・トゥ・バー)チョコレート。カカオ豆の買い付け、場合によっては生産指導から、チョコレートにするまでを、ひとつの工房で一貫して行うのが特徴です。
日本でもビーン・トゥ・バーチョコレートを製造、販売するお店が登場、関東だけでも10店舗ほどの専門店が展開しています。
本当の「手作りチョコ」を求めて…
先月にはバレンタインデーがありました。手作りチョコをプレゼントした女性も、もらった男性もいるのではないでしょうか。
筆者が小学生の頃のバレンタインデーは、板チョコを溶かしてアルミのカップに入れ、アザランやカラースプレーをトッピングしたものを「手作りチョコ」と言って、クラスの女子同士で交換している光景をよく見かけました。
しかし、これを「チョコレート」を「作った」と言って良かったのでしょうか?
本当の「手作りチョコ」と謳うには、豆から作るべきなのでは…!? でも、豆から作るなんて、やり方も分からないし、全くの素人にはハードルが高すぎます。すると、ビーン・トゥ・バー専門店「ミニマル」で、カカオ豆の段階からチョコレートを作るワークショップを開催しているとのこと。そこで、長年心にひっかかっていた「手作りチョコ」への問いを解消するべく、チョコレート作りを学んできました。
カカオ豆からチョコレートを作ってみた!
ワークショップは10名ほどの少人数で実施されます。教えてくださるのは、チョコレートを愛してやまない、ミニマルの「カカオ男子」荻野さん。作る工程を説明するだけでなく、それぞれの意味や、カカオ豆知識、さらにはカカオ豆の生産者のもとへ足を運んだ時の様子や、現地生産者との交流についても聞かせてくださいます。
「カカオ豆を作っていても、チョコレートを食べたことがない現地の生産者に、チョコレートを作って食べさせてあげたらとても感動してくれたのが嬉しくて…」「その日の天気や湿度によって、焙煎の時間や温度は変わるし、粒子は0.001ミリ単位で調整するんですよ」などなど。ほとばしるカカオ愛が止まりません!
焙煎したカカオ豆を向いてゆくと、「カカオニブ」が出てきます。これを挽くと、ペースト状の「カカオマス」になり、砂糖を加えることでチョコレートの生地ができるのです。
加工のそれぞれの段階で、テイスティングもさせてもらえます。驚いたのは、段階によって全く風味が変わること。酸味の強いタイプの豆は、最初は「酸っぱい!」と、強い酸味を感じたのに、ペースト状になる頃にはとてもフルーティーで、甘味すら感じられるように変化しました。他にも、カカオ含有量を少し変えるだけで随分味が変わることを体験したり、カカオの不思議な世界にどっぷり浸ることができます。
ワークショップが終わる頃には、すっかりカカオと荻野さんの虜になることでしょう。
ビーン・トゥ・バーは素材志向の日本人にピッタリ
我々日本人が口にしている日本食は、もともと素材の味を活かす方法で調理されています。ミニマルのビーン・トゥ・バーチョコレートも、素材を100%生かす製法なので、「繊細な味覚を持つ日本人にはきっと楽しんでもらえる」と荻野さんは語ります。
チョコレートの味を決めるのは、産地、気候、発酵、製法、焙煎、粒度の6つの要素。これらの組み合わせによって、全く味わいが変わってくるのです。
ミニマルでは、「ミルキー」「シトリック」など、味を3カテゴリ12種類に分けて表現していますが、豆の段階では分からず、実際にチョコレートにしてみて初めて、どの種類の味になるのかが分かるそうです。だからお店を訪れるタイミングによっては、お目当ての味が買えないことも。荻野さんは、チョコレートに「出会う」と表現していましたが、本当にその通りですね。
ホワイトデーのお返しが未だ決まっていない男性も、値段ではなく労力を3倍にしたチョコレートをプレゼントしてみてはいかがでしょう?
【Minimal 富ヶ谷本店】
住所:東京都渋谷区富ヶ谷2-1-9
ホームページ:http://mini-mal.tokyo/
※ワークショップ開催日はミニマルのホームページに掲載