【Tampa Pro 2025】白井空良が初優勝! 3連覇がかかった堀米雄斗は準優勝 根附海龍4位の大健闘

2025/04/07
放送作家 小嶋勝美
 
 
 
 
 
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フロリダ州タンパで毎年開催され、今年で31回目の開催となる世界最高峰のスケートボードコンテストTampa Pro(タンパプロ)2025の決勝が4月6日(現地時間)に行われ、白井空良(23)が初出場にして初優勝を飾り、日本2人目となるタンパプロ制覇の快挙を成し遂げた。

準優勝は堀米雄斗(26歳)タンパプロ史上初の3連覇に大きな期待がかかったが、今回は白井に優勝の座を明け渡す形となった。3位にはペルーのアンジェロ・カロ(25)が表彰台入りし、4位に根附海龍(21)が入賞を果たした。

優勝候補のナイジャ・ヒューストン(2014年&2020年優勝者)は今大会出場していない。

 
 
 
 
 
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今大会活躍したスケーターは5月23日にサンタモニカで行われるStreet League Skateboarding(略してSLS、ストリートリーグ)が新たに開催する大会(スポット テイクオーバーイベント)ワイルドカードジャムの招待を受けることができ、3位のアンジェロ・カロがゲット。

サンタモニカの伝説的なスポットをオマージュしたセクションが特設されるとのことで、どんなイベントになるのか今から楽しみだ。
※堀米、白井、根附はすでにSLSプロとして活躍しているので該当しない。

【Tampa Pro歴代のチャンピオン】

 
 
 
 
 
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スケーターなら誰もが愛してやまないお祭りのような世界最高峰の大会、タンパプロ。この大会はオリンピックなどとは違い、世界的に認められたプロスケーターのみが参加を許されるプロスケーターの祭典のようなもの。

普段コンテストを見ることのないスケーターでも、この大会は毎年必ずチェックしているという人も多く、世界中のスケーターに最も愛される大会である。
そんなタンパプロ歴代の王者たちを見ると、その凄さも一目瞭然。

1995年 マイク・バレリー
1996年&2002年&2007年 エリック・コストン
1997年&1998年 アンドリュー・レイノルズ
2000年 ケリー・ゲッツ
2006年&2008年&2009年 グレッグ・ルツカ
2010年 ポール・ロドリゲス
2011年 デニス・ブセニッツ
2012年 トーリー・パドウィル
2013年&2015年 ルアン・オリベイラ
2014年&2020年 ナイジャ・ヒューストン
2016年&2021年 シェーン・オニール
2017年 ルイ・ロペス
2018年 ジャガー・イートン
2019年 カルロス・リベイロ(この年の3位は、日本の池田大亮)
2022年 ジェイミー・フォイ
2023年 堀米雄斗(日本人初優勝)
2024年 堀米雄斗(2連覇)

【Tampa Proのルール】

1分間コース内を自由に滑り、技を披露するランを行い、ベストラン方式で順位が決まる(100点満点)採点基準は、トリックの難易度、バラエティに加え、コース全体の使い方や、スタイル、オリジナリティ、技の完成度などが重視される。

予選はランを2本行い、1位と2位は直接決勝へ進み、3位から30位までの選手は準決勝へ進出。準決勝は、予選3位から30位までの選手に加え、過去のTampa Pro王者が加わり争われ、上位10名が決勝へ。

決勝は予選1位、2位の選手と、準決勝上位10名を合わせた、計12名がランを3本行う。

タンパプロの賞金は以下の通り
1st - $10,000 2nd - $5,000 3rd - $3,000 4th - $2,000 5th - $1,000
6th - $800 7th - $700 8th - $600 9th - $500 10th - $400
11th - $300 12th - $200

【タンパの醍醐味が詰まった予選】

(YouTube:https://www.youtube.com/live/rgbKdEmdEuY?si=ZJw6kQeNWP-1rVic)予選とベストトリックの映像

予選では通常のコンテストでは見ることのできないプロスケーターが見ることでできるのもタンパプロの醍醐味。
第1ヒートではパーク種目でパリオリンピックに出場した経歴を持つ、スペインのダニー・レオン(30)やオーストラリアのキーラン・ウーリー(21)が登場し、見事予選を突破。

 
 
 
 
 
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第2ヒートにはタンパプロ初出場となる白井空良(23)が登場。

1本目からフェイキービッグスピン フロントサイドボードスライドや、フロントサイド270ボードスライド、ノーリービッグスピン バックサイドテールスライド、バックサイドシュガーケーングラインド、キャバレリアル バックサイドリップスライドなど白井ならではの高難度トリックをサラッとフルメイク(ミスなく滑りきること)し、88.16点を獲得すると予選を首位で通過。ストレートで決勝進出を果たす。

ラン2本目ではプエルトリコのマニー・サンティアゴ(39)の滑走中、コース端のダウンレールで、観戦していたキッズが自撮り棒を伸ばして撮影しようとしたため、マニーがトリックをミスしてしまい、フルメイクできずに終わるというスケッチーなアクシデントが起こる。

問題の1トリックだけ特別に延長してもらうも、結局ミスしてしまい、笑顔がトレードマークのマニーがこの時ばかりは厳しい表情を見せた。

お祭り的な要素も強いタンパのコンテストなだけに、なんとも言えない雰囲気になってしまう場面であった。

ちなみに白井のラン2本目でもこの自撮り棒は伸びており、同じ箇所で白井もミスしている(ミス直後、白井はキッズのサイン攻めに応じていたが)。他に気になった選手が、2023年までタンパアマに出場していたスロバキアのリチャード・ターリー(31)だ。パリオリンピック5位の実力者が今年からはプロ戦に出場している。

第4ヒートには根附海龍(21)が登場。
白井同様、危なげない滑りで1本目からフルメイクの滑りを見せると、2本目では根附ならではの動きとなる、ヒールフリップからの複合トリックを織り交ぜてさらに得点を上げ86.37点を獲得し、予選3位で準決勝に進む。

このヒートで他に気になった選手はブラジルのケルビン・ホフラー(31)だった。これまでずっと履いていたCARIUMA(カリウマ)のシューズではなく、おそらくSKECHERS(スケッチャーズ)を履き、Tシャツもデカデカと“SKECHERS”と書かれたものを着ていた。

これはいろいろめまぐるしいなと思う瞬間であった。

この組はフランスのヴィンセント・ミルー(28)が87.24点を獲得し全体2位。白井とともにストレートで決勝進出を果たした。

 
 
 
 
 
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予選直後に行われたベストトリックジャムの優勝は、バンクからギャップ越えのダウンレールでトレフリップ フロントサイドノーズブラントスライドなどを決めたペルーのアンジェロ・カロ(25)。

準優勝はバンプtoレールでハーフキャブノーズスライド ノーリーヒールフリップ270アウト(残り10分10秒付近)を決めたアルゼンチンのマティアス・デル・オリオ(28)。

ラスト6分30秒付近では、ジェイミー・フォイがロングキンクレールでフロントサイドKグラインドtoハリケーングラインドを決め3位。

根附はラスト1秒の場面、バンプtoバンプでヒールフリップレイトビッグスピン(バックサイドヒールフリップ レイトショービット)をメイク。着地がブレたがなんとか持ちこたえ、最後の最後に意地を見せた。
白井はダウンレールでキャバレリアルキックフリップ バックサイドテールスライドに挑み続けたがメイクできずに終わった。

【準決勝からは過去の王者が登場】

 
 
 
 
 
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日本勢は昨年の優勝者、堀米雄斗と予選3位で勝ち上がった根附海龍が出場。

第1ヒートでは東京オリンピックのパーク種目にも出場したカナダのアンディ・アンダーソンがダークスライドやドッグウォークなどオリジナリティ溢れる滑りで会場を沸かせた。

第2ヒートに根附海龍が登場。
ヒールフリップからの複合トリックを織り交ぜたパーフェクトなランを見せ、82.48点で準決勝を首位通過。
完走した瞬間に決勝進出を感じさせる滑りだった。

新たにサポートが決まったレッドブルキャップをかぶった堀米雄斗(26)も第2ヒートに登場。

バンプtoレールでスイッチフロントサイドテールスライド、バンプtoバンプでトレフリップ、バンプto消火栓超えのノーリーフロントサイドヒールフリップを決める。

その後もバックサイドテールスライド、ノーリーフロントサイドノーズブラントスライド、ノーリーフロントサイド270ボードスライド、ノーリーフロントサイド180スイッチKグラインド、ハンドレールでノーリーバックサイド270ボードスライド、クォーターでフロントサイドブラントをフルメイク。

途中トレフリップで着地がスケッチー(完璧ではない)な場面もあったが、貫禄の滑りを見せて77.68点を獲得。4位で白井が待つ決勝進出を決めた。

2本目はトレフリップで失敗があり、その後は決勝に備え軽く合わせる程度の滑りで終える。
ちなみに履いていた靴は、先日ナイキから発売されたばかりのシグネチャー第2弾となる通称、抹茶ダンクではなく、ファーストモデルの堀米ダンクだった。

このヒートで気になったのは、かなり個人的な感想になるが、シェーン・オニールのランでスイッチヒールフリップをステアでミスした時に、デッキが裏返った状態でバンク下の鉄板に滑って行った際、デッキがチップ(板が欠けること)するシーンを見て「タンパのコースでもデッキを滑らせたらチップするんだ」と思った。
※コンクリートパークではセクションに繋ぎ目が無いのでこのチップするパターンはないが、木と鉄板で作られたパークでは時折この現象が起こる。

【日本勢3人の決勝の模様】

準決勝と決勝の映像

(YouTube:https://www.youtube.com/live/SagcRadPy9w?si=jyKmquB-2bg5kFC0)

決勝7番目の滑走となる堀米のラン1本目。
史上初3連覇を狙う堀米はフルメイクのランを見せる。

 
 
 
 
 
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以下、堀米雄斗1本目のラン
1〔バンプtoレール〕スイッチフロントサイドテールスライド
2〔バンプtoバンプ〕360キックフリップ
3〔クォーターパイプ〕バックサイドテールスライド
4〔バンプto消火栓越え〕ノーリーフロントサイド180ヒールフリップ
5〔クォーターパイプ〕フェイキーフロントサイドブラント
6〔バンプtoレッジ〕バックサイドテールスライド
7〔バンプtoレール〕ノーリーフロントサイド270ボードスライド
8〔ダウンレール〕ノーリーバックサイド270ボードスライド
9〔クォーターパイプ〕フロントサイド5-0グラインド
10〔レッジ〕ノーリーフロントサイド180スイッチKグラインド
11〔ダウンレール〕ノーリーバックサイドノーズブラントスライド
12〔ダウンレール〕スイッチバックサイド180 リアグラインド180アウト

堀米2本目。
1本目でノーリーフロントサイド270ボードスライドを決めた場所で、ノーリーフロントサイド270ノーズスライド(スイッチバックサイドテールスライド)にトリックの難易度を上げ、続くレッジでノーリーヒールフリップノーズスライドに難易度を上げるがここでミスしてしまい、フルメイクならず。

堀米3本目。
ノーリーフロントサイド270ノーズスライドを失敗。
白井の1本目に得点が及ばず、惜しくも3連覇の夢は断たれた。

 
 
 
 
 
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決勝10番目の滑走者となる根附の1本目。
途中まで素晴らしい滑りを見せるが、ラストトリックのヒールフリップ バックサイドテールスライドをミスしてしまいフルメイクできず。

根附2本目。
残り30秒の場面、ダウンレールでのヒールフリップフロントサイド ブラントスライドをミスしてしまい、3本目に全てをかける展開に。

根附3本目。
1本目同様、最後まで素晴らしい滑りを見せるが、ラストトリックのヒールフリップバックサイドテールスライド ビッグスピンアウトを惜しくも失敗。
決勝では残念ながらフルメイクの滑りを1度も見せることはできなかったが、それでも4位入賞を果たした。

 
 
 
 
 
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決勝最終滑走者となる白井のラン1本目。こちらも堀米同様に1本目からフルメイクの滑りを見せる。

以下、白井空良1本目のラン。
1〔バンプtoロングキンクレール〕バックサイド5-0グラインド
2〔バンプtoバンプ〕360キックフリップ
3〔ダウンレール〕フェイキービッグスピン フロントサイドボードスライド
4〔ギャップtoダウンレール〕アーリーウープからのフロントサイド180スイッチKグラインド
5〔バンプtoレール〕アーリーウープからのフロントサイド270ボードスライド
6〔ダウンレール〕ノーリービッグスピン バックサイドテールスライド
7〔ダウンレール〕バックサイドシュガーケーングラインド
8〔ダウンレール〕キャバレリアルキックフリップ バックサイドリップスライドフェイキーアウト
最後に最高難度の大技を組み込む構成と、パーフェクトランで一気に首位に立つ。
ちなみに毎回良い滑りをした後に見せる、サムライポーズは予選含め封印の様子だった。

白井2本目。
1本目より難易度を上げたランに挑むが残り11秒の所で、ノーリーヒールフリップ フロントサイドテールスライドを失敗しフルメイクならず。

白井3本目。
優勝候補の堀米、根附、ヴィンセント・ミルーが立て続けに失敗。
タンパは最後の表彰式まで得点や順位がわからないが、これまでの他の選手の滑りから見ても白井の優勝は決定のように思われるなか迎えた3本目のランは、序盤にフロントサイド270スイッチKグラインドでミスしてしまいフルメイクならず。
終わってみればやはり1本目のランを誰も越えることができず、初出場&初優勝の快挙を成し遂げる形になった。

【Tampa Pro2025リザルト】

 
 
 
 
 
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1位 白井 空良(日本)
2位 堀米 雄斗(日本)
3位 アンジェロ・カロ(ペルー)
4位 根附 海龍(日本)
5位 ミッキー・パパ(カナダ)
6位 ジェイク・イラーディ(アメリカ)
7位 ジャンカルロス・ゴンザレス(コロンビア)
8位 ケルビン・ホフラー(ブラジル)
9位 リチャード・ターリー(スロバキア)
10位 フェリペ・グスタボ(ブラジル)
11位 ヴィンセント・ミルー(フランス)
12位 ジュリアン・クリスティアンソン(アメリカ)

文・小嶋勝美
スケートボード放送作家

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放送作家 小嶋勝美
この記事を書いた人

放送作家 小嶋勝美

お笑い芸人として活動後、放送作家に転身。 スポーツ番組やバラエティ番組などに携わる傍ら、20年以上続けている大好きなスケートボードのライターとしても活動。 コンテスト記事の他、スケボーの情報や面白い発見を伝えていくと共に、スケートボードが持つ素晴らしさを多くの人に広めていきたいと思っています

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