カリフォルニアの刑務所でメキシコ人ギャングたちと兄弟分になった元ヤクザのドキュメンタリー映画『HOMIE KEI〜チカーノになった日本人〜』(4月26日公開)

2019/04/19
マガジンサミット 儀保

カリフォルニアの刑務所で、在米メキシコ人ギャング・グループ=チカーノと兄弟分になった日本人の元ヤクザの半生を描いたドキュメンタリー映画『HOMIE KEI〜チカーノになった日本人〜』が、4月26日から公開になります。

本作の主人公は元ヤクザのKEIさん。KEIさんの人生は、多数のメディアで取り上げられ、原作者として別冊ヤングチャンピオンにて連載された『チカーノKEI』(秋田書店)の単行本は、4巻合わせて発行部数40万部を突破。その中でも、自伝『チカーノになった日本人』や『アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人』を原案に、7年もの取材を敢行。KEIさんの壮絶な半生を描いていきます。

 

花咲く昔話が全然、笑えない!!

親のいない子供時代。敵対する族から日本刀を奪った歌舞伎町での暴走族時代。ヤクザの鉄砲玉になって刑務所へ。恐喝詐欺への関与。一緒に食事していた相手の頭が吹っ飛ばされて、皿が脳みその破片が飛び散ったエピソード。もはや、ヤンチャという言葉では片づけられない物騒でハード過ぎるエピソードの数々が矢継ぎ早に登場。

特に、ムショから出てきた兄弟分との再会時の話が最高で最悪。笑い話の流れで「アイツ、殺しておけば良かったな!!」って、花咲く昔話が全然、笑えない!!

 

でも、話の本題はこれから

コカインの密輸で、FBIのおとり捜査により逮捕。当時、新しい法律を作った程の密輸事件でした。刑務所にも関わらず、抗争や殺人が絶えない極悪囚人だらけの刑務所へ。

本作のインタビュー内で、元警視庁刑事の北芝健さんは、「アメリカの刑務所が日本と違うのは、弱肉強食を看守が止めない。止められない所」と恐ろしいコメント。

カリフォルニア内の刑務所で唯一の日本人のKEIさん。刑務所内で孤立。そんな中、小さな事からケンカになったのが、在米メキシコ人ギャング・グループ=チカーノのボスだったんです。最悪だと思ったこの出来事から物語は思わぬ方向に。よく昭和のヤンキー漫画で見る“本気で殴り合った者同士の間に友情が生まれる展開”。そのヤンキー漫画あるあるが現実世界の刑務所で発生。

刑務所内で上映されている映画による強制留学で英語スキルをゲット。KEIさんの男気に惚れ込んだチカーノたちと友情を深めていくKEIさん。

 

常人に想像を絶する10年以上の刑務所ライフ

そんな常人に想像を絶する10年以上の刑務所ライフと現在のKEIさんの生活。それを、KEIさん本人や友人(兼共犯者)たちや関係者へのインタビューで構成。

現在のKEIさんは、児童虐待や引きこもりなど問題を抱える少年少女を救済する相談窓口「Good-Family」で活動中。親にほったらかしにされる子供たちの避難場所を作ろうと悪戦苦闘している様が写し出されます。子供たちと遊んだり、家族と過ごすKEIさんの姿は穏やかなグッドファーザー。それでも、物騒なエピソードの数々を淡々と語るインタビュー映像からは緊張感が漂ってきます。サラリと答えた「人生は実力とかは関係ないんですよ、運ですね」という言葉にゾッさせられます。ネットやSNSでの匿名による発言やゲームなど、やり直しの効く社会の中で、一歩でも歩く道が違えば終わりな雰囲気が一番、怖いです。

 

クライマックスでまさかの感動!!

そんな物騒な本作ではありますが、挨拶も出来ずに別れたムショ仲間に会う為、KEIさんが再度アメリカへ渡るクライマックス。まさかの感動がこみ上げてきます。足を踏み入れたのは、2015年の『ストレイト・アウト・コンプトン』の舞台となった危険な街です。普段は対立しているメキシコ系ギャングたちが一同に揃って、酒を飲みながらバーベキューを楽しむ前例のないパーティ。チカーノのラッパーの自宅で開かれたKEIさんの歓迎パーティです。メキシコ人でないと受け入れられないチカーノ・ギャングの世界で、仲間として、家族として受け入れられたKEIさんとの友情に男泣きです。

ドキュメンタリー映画『HOMIE KEI〜チカーノになった日本人〜』は、4月26日からヒューマントラストシネマ渋谷など全国公開になります。

(C)映画「HOMIE KEI チカーノになった日本人」製作委員会

映画『HOMIE KEI〜チカーノになった日本人〜』

出演 KEI / 監督 サカマキマサ / 撮影 加藤哲宏 / 編集 有馬顕 大畑創 Travis Klose

音楽 原夕輝 / プロデューサー 中村保夫 YAS / 配給統括 守屋文人

原案 東京キララ社『チカーノになった日本人』 『アメリカ極悪刑務所を生き抜いた日本人』

動画プロモーション エル・エー/ 宣伝ビジュアル カルファ / 宣伝協力 秋田書店 

プロデューサー MASA  戸山剛 / 配給 エムエフピクチャーズ 

制作プロダクション・配給協力 マウンテンゲート・プロダクション

2019年|日本|カラー|5.1ch|ビスタ|DCP|73分

©「HOMIE KEI~チカーノになった日本人~」製作委員会

HP http://homie-kei.com/

4月26日(金)~:ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開。

5月以降:北海道 デイノスシネマズ札幌劇場 浦河大黒座、青森 青森松竹アムゼ、宇都宮 宇都宮ヒカリ座、横浜 横浜シネマジャック&ベティ、長野 シネマポイント、名古屋 シネマスコーレ、大阪 シネ・リーブル梅田、神戸 元町映画館、で公開が決定、その他全国公開。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

マガジンサミット 儀保
この記事を書いた人

マガジンサミット 儀保

表の顔はディレクター兼カメラマン。実は、年間700本の映画を観賞する映画好き。どんな作品でもオススメのポイントをピックアップ。映画好きから、普段、あまり映画を見ない方にも、幅広い映画の楽しみポイントをご提供できればと日々邁進中? 映画関連tweetも日々、更新してます @yungibo

マガジンサミット 儀保が書いた記事

あなたへのおすすめ

カテゴリー記事一覧

pagetop