ロシアで上映禁止の問題作が日本上陸! 【黒歴史】映画『スターリンの葬送狂騒曲』

2018/07/24
マガジンサミット 儀保

ロシアで上映禁止に

ロシアの独裁者スターリンの死をブラック・コメディとして扱った映画『スターリンの葬送狂騒曲』が8月3日より、いよいよ日本公開決定! メチャクチャ笑えるのに、実は、ほぼほぼ実話という所が凄いです!

今年の1月、ロシアでの劇場公開3日前に「歴史映画としても芸術映画としても価値がない」との理由で上映中止に。未だにロシアでは、上映禁止が続いています。原作は、「驚くべき物語が、さらに驚くことに、ほとんど実話」とフランスで出版されるや、ベストセラーに!

それを映画化した本作も、ロシアでこそ上映禁止になったものの、アメリカやイギリス、フランス、スペインなど、様々な国でスマッシュヒット!そこで早速、観て参りました!

20世紀の独裁者スターリン

ヒトラーやムッソリーニと並び、30年近く国を統治していた20世紀を代表する独裁者スターリン。

物語は、1953年。突然、倒れたスターリン。それを発見した側近たち。そこから、後釜を狙ったドタバタ喜劇へ発展。誰も信用できない最悪な状況。ゆえに、独りよがりなアホみたいな計画を乱立。案の定、狂いまくる計算。状況が刻一刻と変わっていく展開から目が離せなくなります。

そして、最後に笑うのは誰なのか?

自己中な登場人物たち

とにかく登場人物たちは自分の私利私欲を中心に、一生懸命、現状を何とかしようと必死な訳です。所が、ご存知の通り人間とは時に、本気であれば本気である程、滑稽なもので。随所に三谷幸喜的なタイミングのズレや思惑と逆になっちゃう設定など、細かい笑いが炸裂!

倒れたスターリンを見つけた側近たちのテンパり芝居が最高なんです!! 生前、スターリンは自分に反抗してきた人間を"粛清"の名の元、ブチ殺すリストに追加。それにより、倒れたスターリンを見てもらう医者を呼ぼうにも有能な医者たちは殺害済み。側近たちの「アイツを呼ぼう」「いや、アイツはこの前、殺しちゃったじゃん」「あぁ、そうだった!」みたいな会話を展開。それがメチャクチャおかしい!!

全然、ロシア人が出てこない

スターリンの側近たちのキャスティングに、アメリカやイギリスの役者たちを招集。全然、ロシア人が出てこないんです!! 勿論、セリフも英語!! このフザケっぷりは!!

フルシチョフ役に至っては、コーエン兄弟映画でお馴染みのスティーヴ・ブシェミ。さらに、『ヘルボーイ』シリーズのジェフリー・タンバーやティム・バートン作品の常連でもあるポール・ホワイトハウス、モンティ・パイソンの元メンバーであるマイケル・ペイリン……とコメディ寄りのベテラン芸達者たちが集結。笑いの時間がフルスロットル!!

メガホンを取ったのは、スコットランド生まれのアーマンド・イアヌッチ監督。監督いわく、「緊張と恐怖が支配する世の中では、不思議なことに幾分ヒステリックな滑稽さが生まれる。だから、おかしさと不気味さが感じられる作品にしたかった。」との事。なるほどねとは思わないけど、安定の名演技と英語のセリフ回しで、滑稽さがデッドヒート!!

秀逸&爆笑映画に仕上がっていますが、ロシアで上映禁止になった理由はよく分かりました。

 

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マガジンサミット 儀保

表の顔はディレクター兼カメラマン。実は、年間700本の映画を観賞する映画好き。どんな作品でもオススメのポイントをピックアップ。映画好きから、普段、あまり映画を見ない方にも、幅広い映画の楽しみポイントをご提供できればと日々邁進中? 映画関連tweetも日々、更新してます @yungibo

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