【動画】残された父親が仕事と育児に悪戦苦闘‼映画『パパは奮闘中!』ギヨーム・セネズ監督へインタビュー取材を敢行!!

2019/04/18
マガジンサミット 儀保

YouTube動画:https://youtu.be/5KhGXRPMXKg

4月27日から公開の映画『パパは奮闘中!』

母親が家族のもとを去り、残された父親が仕事と育児に悪戦苦闘。そんな中、初めて子供と向き合い、深い絆を結んでいくまでを描いくヒューマンドラマ。

メガホンを取るのは、長編映画初監督作となる『Keeper』で、70を超える映画祭に招待され20以上の賞を受賞したベルギー生まれのギヨーム・セネズ監督。長編2作目となる本作も2018年のカンヌ国際映画祭批評家週間に出品、称賛されました。

そんなギヨーム・セネズ監督が来日してると聞いて、マガジンサミットでインタビュー取材を敢行!!

家族の愛と葛藤という普遍的なテーマに、ときにユーモラスに。ときに切なく演出された本作の裏話や製作するキッカケなどについて聞いて来ました。

 

Q、妻の失踪から物語が始まるのが面白いですね?

「普通は子供を見捨てるというのは女性にとってタブーであり、批難されがちなんですが、本当の意味での女性の自由を描きたかったんです。確かに妻がいなくなるんですけど、本作では彼女を批難や糾弾しないというのが、テーマなんです。

母親であり、妻である女性はいなくなるんですけど、その不在によって、存在感がますます増すというのを意図しています。彼女はそれにより批難させず、愛され続ける。不在が喪失感と存在感を生むという事なんです。」

Q、本作に取り掛かるキッカケは?

「私の子供の母親でもあるパートナーとの別れがキッカケです。その別れは、自問自答する機会になりました。つまり、実際は交代で親権を持つことになっていたのですが、それが無くなったらどうなるか。現実的には一週間毎に子供の面倒を見ていて、問題はなかったんですけど、突然、彼女が「私は遠くへ行くので子供の面倒は見れない」と言われたら。主人公のようになってしまう訳です。その頃、長編第一作を準備中だったので、仕事の責任もある。子供の面倒も見なくてはならない。そうなったら、どうなるんだろう?……と考えました。

毎回、モチーフは私の中から見つけています。今回も自分ならどうだろう?という自分自身の問題から始まってシナリオを書き始めました。ただ、書いているうちに自分の話からは遠ざかっていきましたが。

ちなみに共同脚本は女性なので、女性の視点も取り入れられました。主人公を囲む女性たちのリアルを書くのにも助けられました。本作を男女のペアで書けて良かったです。」

Q、主人公の兄妹の関係が、主人公の子供たちの兄妹とリンクしていきますね?

「面白いのは、ママがいなくなってしまうと、長男が妹の面倒を見るようになる。でも、最後の方では妹がママのように兄の面倒を見るようになっています。

その描写は、家族の継承を意識しました。主人公は自分の家長的な父親を再現しようとするけど、現代社会ではそれが上手くいかない。

一方、主人公の妹は、自分の育った家族とは反対の道を行っているんです。そんな兄妹の関係。絆の強さ。それが主人公の子供たちも兄と妹という所で、今度は家族の血筋として、主人公の子供たちの兄妹の強さで再現されています。」

Q、重たい話の中でもユーモラスな描写が印象的ですね?

「あまり明るくないドラマが基調になっているので、ユーモアやライトな感覚というのは意識的に取り入れました。主人公の妹が一家にやって来るシーンは彼女が太陽のように明るいというのは意識しています。ちょっとしたラブストーリーなど別の要素も入れてあります。

この作品のキーワードは“バランス”だと思っています。色んな要素が含まれていますが、一番、柱になっているのは、主人公が父性と仕事の間で、どうやってバランスを取るのか。家族への愛、仕事への責任。それらをどのようにバランスをとっていくか。バランスというのは、家族の中でのバランス。母親が欠けてしまうとバランスが崩れてしまいます。」

Q、脚本を使わない演出はどのように?

「台詞は用意はしていました。ただ、話し合いの中で、その台詞が自然と俳優たちから出てくるように導いていきます。なので、集団作業によるリサーチという感じですね。

この仕事のやり方のいい所は俳優に自由を与え、自発的なリアリティを引き出される事なんです。それによって観客は、描写を信用できますし、リアルな登場人物に感情移入できるんです。結果的に登場人物が言葉に詰まったり、言葉を探したり、台詞がバッティングしたり。

なぜか他の映画はそういう自然さを消そうとしますよね。」

Q、日本の観客にメッセージをお願いします

「私は一度、完成した映画はお客さんのものだと考えております。是非、劇場へ足を運んでもらい、皆さんのものにして下さい。想像の自由が残された作品なので、様々な事を想像してみて下さい。」

 

【ストーリー】

妻のローラと幼い二人の子供たちと、幸せに暮らしていると信じていたオリヴィエ。ところが、ある日突然、ローラが家を出て行ってしまう。オンライン販売の倉庫で働くオリヴィエには、ベビーシッターを雇うお金もなく、残業続きの仕事と慣れない子供の世話の両立を迫られる。朝は子供たちに着せる服も分からないし、夜は寝かしつけることさえできない。料理もまるでダメで、夕食にシリアルを出す始末。次から次へと巻き起こるトラブルに奮闘しながら、ローラを捜し続けるオリヴィエだったが、彼女の行方も姿を消した理由も一向に分からない。そんな折、妻の生まれ故郷ヴィッサンから一通のハガキが届き、さらなる騒動が起きる―。

2018年 カンヌ国際映画祭 批評家週間 出品

2018年 トリノ映画祭 観客賞、Interfedi賞 受賞

2018年 ハンブルグ国際映画祭 批評家賞 受賞

2019年 ベルギーアカデミー賞(マグリット賞)作品賞、監督賞 含む5部門受賞

2019年 セザール賞 最優秀男優賞、外国映画賞 ノミネート

監督・脚本:ギヨーム・セネズ 共同脚本:ラファエル・デプレシャン

出演:ロマン・デュリス『タイピスト!』『モリエール 恋こそ喜劇』レティシア・ドッシュ『若い女』

ロール・カラミー『バツイチは恋のはじまり』、バジル・グランバーガー、レナ・ジェラルド・ボス、ルーシー・ドゥベイ

ベルギー・フランス/2018年/99分/フランス語/字幕:丸山垂穂

配給・宣伝:セテラ・インターナショナル 宣伝協力:テレザ、ポイント・セット

協賛:ベルギー王国フランス語共同体政府国際交流振興庁(WBI)

@2018 Iota Production / LFP – Les Films Pelléas / RTBF / Auvergne-Rhöne-Alpes Cinéma

http://www.cetera.co.jp/funto

4月27日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

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マガジンサミット 儀保

表の顔はディレクター兼カメラマン。実は、年間700本の映画を観賞する映画好き。どんな作品でもオススメのポイントをピックアップ。映画好きから、普段、あまり映画を見ない方にも、幅広い映画の楽しみポイントをご提供できればと日々邁進中? 映画関連tweetも日々、更新してます @yungibo

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