
「お酒離れ」が進んでいる――。
そんな言葉を耳にする機会が増えた一方で、着実に市場を拡大しているカテゴリーがある。それが「無糖チューハイ」だ。
キリンビールは6月10日を「無糖チューハイの日」として一般社団法人日本記念日協会から認定を受けたことを発表した。あわせて、「無糖チューハイ」市場の変化や消費者動向をまとめた「無糖チューハイ大全2.0」を公開。急成長を続けるカテゴリーの実態を明らかにしている。
5年間で5倍に拡大した無糖チューハイ市場
近年、健康意識の高まりやライフスタイルの変化を背景に、「甘くない飲み物」を選ぶ人が増えている。
その流れはアルコール市場にも及び、糖類や甘味料を使用しない無糖チューハイ市場は、この5年間で約5倍に成長。中でも2020年に発売された「キリン 氷結®無糖」は、発売からわずか数年で18億本(350ml缶換算)を突破し、キリンRTDカテゴリーで売上No.1ブランドへと成長した。
さらに酒類購入率ランキングを見ると、2015年にはほぼ存在感のなかった無糖チューハイが、2025年にはビール、有糖チューハイに次ぐ第3位へ浮上。ハイボールや新ジャンルを上回るポジションを獲得している。

もはや「新しい選択肢」ではなく、日本の酒文化を支える主要カテゴリーのひとつになりつつある。
約2人に1人が「氷結®無糖」で無糖チューハイデビュー
今回キリンは、他のお酒から無糖チューハイへ切り替えた20〜60代の男女1,000人を対象に調査を実施した。
その結果、初めて飲んだ無糖チューハイブランドとして「氷結®無糖」を挙げた人は51.6%。実に約2人に1人が同ブランドを入口として無糖チューハイの世界に触れていたことがわかった。」

切り替えた理由として最も多かったのは「スッキリしているから」(40.3%)。続いて「飲みやすいから」(36.8%)、「飲んでみたら美味しかったから」(30.0%)という結果となった。

また、切り替えた人の92.6%が「満足している」、95.9%が「今後も選び続けたい」と回答しており、一度体験すると高い確率で定着するカテゴリーであることも浮き彫りになっている。

「健康のため」だけではない人気の理由
無糖チューハイ人気を単純に「健康志向」と片付けるのは早計かもしれない。
トレンド評論家の牛窪恵氏は、背景にあるのはAI時代の「パーソナライズ志向」だと分析する。
かつては「とりあえずビール」が当たり前だったが、現在は最初の一杯から自分に合うものを選びたいという人が増加。食事との相性やアルコール度数、コストパフォーマンス、気分とのマッチングなど、多角的な視点で商品を選ぶ時代になったという。
つまり消費者が求めているのは「我慢して健康的なお酒を選ぶこと」ではなく、「自分にちょうどいいお酒を選ぶこと」。
無糖チューハイはそのニーズに応える存在として支持を集めているようだ。
「どんな料理にも合う」が最大の武器
調査で特に目を引いたのが、食事との相性に関する評価だ。
無糖チューハイへ切り替えた人の86.7%が「食事との相性が良い」と回答。和食、中華、洋食、居酒屋メニューなど、調査したすべてのジャンルで有糖チューハイを上回る評価を獲得した。

実際に飲用シーンでも「食事中」が69.5%でトップ。食前・食後を含めると、多くの人が“食中酒”として楽しんでいることがわかる。甘さで主張するのではなく、料理を引き立てる。その立ち位置が、家庭での食事シーンが増えた現代のライフスタイルと相性が良かったのかもしれない。

「無糖」は新しいスタンダードになるのか
今回の調査では、無糖チューハイを選ぶ人の多くが「シンプル」「定番」「日常の充実」を重視する傾向も明らかになった。華美なものよりも、自分らしい心地よさを選ぶ価値観が見えてくる。お酒の世界でも、「たくさん飲む」から「自分に合うものを選ぶ」へ。
無糖チューハイの成長は、単なる商品のヒットではなく、消費者の価値観そのものの変化を映し出しているのかもしれない。
6月10日の「無糖チューハイの日」は、その変化を象徴する新たな記念日として定着していきそうだ。







