【東京☆今夜はここで独り呑み】 ~新駅高輪ゲートウエイと“討ち入り蕎麦”~(高輪泉岳寺編)~

2019/12/03
遠藤 昇輝

『家呑みよりも、気になる町で独り呑み』今回は1971年の西日暮里駅以来となる、山手線の新駅『高輪ゲートウエイ』開業が迫るエリア、高輪泉岳寺へ繰り出します。ふと脳が欲したのは、新駅というワードが引っ掛かっていたせいなのか?新そばでした。となれば、迷わず駅前の老舗「伊勢久」へ。

写真の通り、浅草線泉岳寺駅(A3出口)から徒歩数秒。夜は店頭にある晩酌セットのお品書きがサラリーマンを誘います。その内容は料理を2品と酒を2種類選べるなど、コスパも抜群。独りのみには実にうれしいシステムです。

この店は建物も味わい深く、暖簾をくぐると昭和の雰囲気漂う空間が広がります。そして、出迎える店主がまたイイ感じ。「何名様ですか?」とか「禁煙席ですか?喫煙席ですか?」とか「ただいまお席にご案内いたしますので少々お待ち下さい」という類のことは一切聞いてこない。昨今の外食タイムでこうしたマニュアル的なやり取りが無いことがどれほど新鮮&快適なことか。

席に着くとスッと箸とおしぼりが出てきて、まずは飲み物を聞いてくれる。すっかり肌寒くなってきたのでおすすめを聞くと「うちは蕎麦屋なので蕎麦焼酎。飲み方も蕎麦湯でどうでしょう」と店主。もちろん即決!酒は2種類選べるので「刈干(あっさり系)」と「珠玉(濃いめ)」を順番にいただくことにします。

一口飲むと…たしかに「スッキリして飲みやすい」。あったかい蕎麦湯割りにして本当に良かった。ちなみに昼間は近くに企業が多いせいか、サラリーマンで混み合う同店。今どき珍しく各席に灰皿があることも吸引力のひとつになっているようです。

料理は迷った挙句『揚げ出し豆腐』と『アジフライ』を注文。濃い目の出汁が効いた揚げ出し豆腐もおいしいが、揚げたてアジフライもサックサク。焼酎がすすみます。

「伊勢久」は三代続く地元の老舗。店内には歴史を感じる白黒写真が誇らしげに飾ってあります。そして、高輪泉岳寺にある蕎麦屋さんらしさを感じさせるメニューが『討ち入り蕎麦』。蕎麦の上にはんぺんと海苔の天ぷらをのせ、別皿に餅が付く同店のオリジナルで、忠臣蔵を具材で表現している。私はまだ食べた事がありませんが、気になる方はぜひお試しあれ。

ここで蕎麦焼酎を2銘柄目の『珠玉』にチェンジ。晩酌セットだけでもかなりの満足感を得られますが、新蕎麦の時期なので、〆に『もりそば』を注文しました。

細めの蕎麦がたっぷり。いかにも町の蕎麦屋さんの「もり蕎麦」といった感じで、とってもgood。蕎麦といえば、同店には『揚げ蕎麦のカレー南蛮』という変わり種もあって、人気のだそうです。さて、蕎麦もしっかりいただいたところでお勘定といきますか。

店を出ると第一京浜のすぐ向こう側は『高輪ゲートウエイ』関連の建設地。開業したら様々な情報番組や雑誌で取り上げられ、流行りの店も次々生まれることでしょう。でも、すぐ近くに「決して愛相は良くないが、目配りが行き届いた心地良い老舗の蕎麦屋さん」があることをお忘れなく。

店名:おそば『伊勢久』

住所:東京都港区高輪2-17-6

電話:03-3441-1685

営業:(平日)11:00~14:00、17:30~20:20 (土)11:30~13:30

定休日:日曜・祝日

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遠藤 昇輝
この記事を書いた人

遠藤 昇輝

1968年東京生まれ 放送作家として数々の「東京の町歩き番組」を手掛ける傍ら“情報収集”と称してテレビ業界の面々が通う「独り呑みの店」を渡り歩く。東京の町の貴重な遺産を紹介するため一般社団法人東京遺産協会を設立。 町歩きプランナーとして自治体の魅力発信事業等にも参加。

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