コロナ禍を経て家庭菜園を始めた人が増えたという。栽培には土づくりが肝心というが、これが始めたばかりの素人には意外に難しい。
一般的に植物が育つ良い土は、窒素・リン酸・カリウムといった成分や水分の透水性、通気性、PH値などのバランスが整っている、いわゆる“ふかふかの土”といわれるものだが、特に有機栽培にこだわる場合はそれにくわえ、化学肥料成分が含まれていない土を選びたい。正直、培養土だけでも種類が多すぎて、何をどう選べば良いか分からない人も多いはずだ。
そのような土の“良さ”を測る物差しが「SOFIX(ソフィック)」(土壌肥沃土指標)だ。2023年3月21日にはSOFIXで最高位の特A判定を得た初めての家庭菜園用の完全有機土™「THEO(ジオ)™」(以下THEO)も発売される。
SOFIX(土壌肥沃土指標)とは?
立命館大学生命科学部 久保幹教授が考案したSOFIXは、有機農家や循環型農業家のために開発された土壌の肥沃度や健康度を測る指標。これまで数字で表すことが困難だった土壌の生物性を科学的に分析し、土壌1gあたりに何匹の微生物がいるのかを示す「細菌総数」をもとに評価する。環境遺伝子eDNA解析法をもちいているという。
この総細菌数に加え「窒素循環活性」「リン循環活性」といった有機量や、微生物が育つための餌となる「土壌バイオマス量」のバランスなどを加味し、8~9パターンに分類した土壌をさらに特A~Dの5段階で判定する。各農家はそれぞれのランクに基づき、肥料をどのくらい与えるかといった施肥設計が可能だ。
しかし、過去1万件以上のSOFIX診断において最高ランクの特Aと判定された土壌は全体の3%にも満たず、特Aを達成するのは厳しい。このパターン判定において特Aを取得した「THEO」は、1gあたりに6億個以上の微生物が生息しているそうだ。
「THEO」を開発した「株式会社クレイ」代表取締役社長の小西英夫氏は、「持続可能な社会を目指す今、誰もが簡単に自宅で有機栽培を楽しむためには、基準が明確で栽培するのにちょうどいいサイズ量の有機培養土が必要。そのようなニーズは今後、ますます増える」と話す。「THEO」ならば、化学肥料を使わずとも十分に作物が育ちやすく、有機栽培ならではの野菜や果実本来のうま味を楽しむことができるという。
写真)「株式会社クレイ」代表取締役社長 小西英夫氏。
ちなみに、久保教授によると日本の農地は1haあたり化学肥料使用量が271㎏。中国は256㎏、フランスは203㎏、アメリカは110㎏、オーストラリアは48㎏であり、日本は世界で一番、化学肥料を使っている国だそうだ。久保教授は「SOFIXで誰もが再現性の高い物質循環型農業、有機や減農薬、減化学農薬農業を目指せる」とし、さらに、SOFIX指標をもとにつくりあげた「SOFIXパウダー」で、有機物と微生物を調和させ、地域の資源を循環させながら日本の農地をより豊かなものに変えていきたいと目標をかかげている。
完全有機土™「THEO(ジオ)™」は、2023年3月21日から全国の園芸関連ショップやホームセンターなどで発売予定。容量は5L、10L、20Lの3種類が発売される。詳細は「株式会社クレイ」 https://clay.co.jp/ まで。