最近“ケトダイエット”や“ケトジェニック”というコトバを日本でも普通に耳にするようになりました。糖質制限とセットで語られることが多い “ケト”ですが、アメリカでは2018年のグーグル検索で上位に食い込むなど数年前から関心が高く、実践する海外セレブたちの姿が頻繁にSNSにアップされ話題になりました。
従来のカロリー制限を主としたダイエットと違い、高たんぱく、低糖質、高脂肪な食事と運動を心がけるケトダイエット方法ですが、このケトダイエットと同じようなメカニズムで無理なくカラダをスリムに導く効果があるとされるのがMCTオイルです。
日本では、MCTオイル市場が約6.7億円と過去最高を記録しており、2017年の1.5億円から実に4.5倍※となっています。※インテージ社SCI-pデータをもとにした日清オイリオグループ推計
オイルなのに痩せるってどういうこと? 不思議ですよね。そこで今回は “ケトダイエット”とMCTオイルとは何か?「MCTプラス・コンソーシアム」が開催した各分野の専門家によるメデイアセミナーを取材しました。
写真左から)株式会社グローバルニュートリショングループ代表取締役社長 武田 猛 氏、虎ノ門中村クリニック院長/ 内科医/日本抗加齢医学会専門医 中村 康宏 先生、管理栄養士で料理研究家の金丸 絵里加 先生
“ケト”とは何か?
ケトとはケトン体のこと。ケトン体とは脂質からつくられるエネルギー源であり、通常は血液中にはほとんど存在しません。しかし、脳や筋肉などのエネルギー源である糖質(グルコース)が空っぽ、または何等かの理由で利用不可能な場合(糖尿病などの疾患)に増えて値が高くなります。
つまりケト…糖質制限ダイエットとは、この糖質制限時や絶食時に枯渇した糖のかわりに、正常範囲内でケトン体が増えた状態(ケトーシス)になることで、糖ではなくケトン体(脂質)で代謝を良くし脂肪を燃焼させるダイエットということになります。
実は、このケトン体を生産する成分を多く含むのがMCTオイル。一般的な食用油よりもケトン体を生産し素早く肝臓に入るため、継続して摂ることで脂肪を燃やしやすい体質になるとされています。また、MCTオイルには脂肪燃焼以外にもさまざまな効果が期待されており、疲労回復や脳機能の維持・向上、持久力の向上、睡眠の質、抗老化などに良い影響があるのではないかとされています。
どのくらい摂ると効果的?
では、このMCTオイルを実際にどのくらい摂れば良いのでしょうか。「MCTプラス・コンソーシアム」が行った検証試験によると、小さじ1杯(4.6g)のMCTオイルを他の油との置き換え、2週間継続して摂取してもらった調査では、体内のケトン体が1.7倍に増え、平均でウエストサイズがマイナス1.8㎝になる結果が出たそうです。
※30歳~49歳の女性12名による検証結果
さらに、20歳のころと比べて体重増加が10㎏以上になった「食べても太りやすい」と自覚している人と、体重増加が3㎏未満の「食べても太りにくい」と自覚している人を比較すると、太りやすい人は、ケトン体が平均40.5→44.5 (umol/L)に微増、一方、太りにくい人は56.3→113.3(umol/L)と大きく増えており、太りにくい人は太りやすい人よりもケトン体が増加しやすい傾向にあることが分かったそうです。
また、別の試験結果では、太りやすい人でもMCTオイルを2か月間継続で摂取することで、ケトン体が増加することが分かっています。つまり、太りやすい人もMCTオイルを習慣化することで、太りにくい体質を目指せるのだそうです。
どうやって摂ればいい?
MCTオイルは、『中鎖脂肪酸』100%の油のことで、主成分はココナッツなどのヤシ科植物の種実にも含まれています。熱に弱く、発煙点が低いため調理用オイルとしては不向きですが、無味無臭なため、いつもの食事に“ちょいがけ”し、混ぜ込むなどして食べるのが効果的です。
ちなみに食用油を食べると、舌のうえで水溶性×脂溶性の2種類の味蕾が機能することになり、より味が伝わり食事の満足度をあげる効果があるそうです。また、鶏の胸肉や野菜などパサつきのある食材を、しっとりと食べやすい食感に変えたり、梅干しなどの酸味をマイルドな味に仕上げてくれたりといった効果もあります。
おススメは、わかめと豆腐のお味噌汁。お椀に小さじ1杯を加えると味噌の風味が柔らかくなり美味しさが増します。また、発酵食品である味噌は腸内環境を整える他、わかめや豆腐にはビタミンやミネラル類がアミノ酸のかたちで多く含まれているため、MCTオイルを加えることでPFCバランス(タンパク質、脂質、炭水化物)がより良い状態になる効果もあります。
健康系オイルのあれこれ
MCTオイルに限らず、カラダに良いオイルは積極的に摂っていこうというマインドが日本でも定着してきたように思えます。例えば、荏胡麻オイルや亜麻仁オイル、オリーブオイルなどのオメガ3系脂肪酸を含むオイルなどは、長鎖脂肪酸(LCT)に分類されますが、中性脂肪や血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値を下げる機能性オイルとして一般的に受け入れられています。
ケトン体に関係し脂肪を効率良く燃やす中鎖脂肪酸(MCT)オイルとは、それぞれアプローチする機能が違うため、摂りいれる消費者個人の目的にあったオイルを選ぶと良いでしょう。
いまや油は、調理用オイル、料理のアクセントになるオイル、健康面の機能をサポートするオイルと選択肢が豊富で多様化する時代となりました。良い脂質は食生活を豊かにし、健康的な毎日を送るためのエネルギーになります。ぜひ、健康オイルをプラスオンしてヘルシーで美味しい、新しいオンオイル生活をはじめてみませんか。