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世間では、東京五輪の最年少出場がなにかと話題になるが、逆にスケートボードでの最年長出場は誰なのだろう?と思い、調べてみると驚きのスケーターがいる事がわかった。
46歳で東京五輪出場権を手にし、長年X Games(Xゲームズ)などコンテストシーンにおいても輝かしい成績を持つ、デンマークのプロスケーター、ルーン・グリフバーグ(Rune Gifberg)。
そして彼と同じく46歳で五輪出場権を獲得し、南アフリカ共和国のスケートボード界では多大な功績を残しているダラス・オーバーホルツァー(Dallas Oberholzer)の両名。
東京五輪スケートボードの出場資格には、各国3人まで、5大陸(アフリカ・アメリカ・アジア・ヨーロッパ・オセアニア)から必ず1人が参加するという制度がある為、オリンピックランキングでは57位のダラス氏にもアフリカ大陸代表として、出場権が与えられた。
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正確に最年長出場者を決めるのなら、数ヶ月早く生まれているルーン・グリフバーグ氏になるが、日本ではあまり知られていない、ダラス氏の方を調べているうちに、いろんな事実が分かった。
そこで本人に「あなたの記事を書きたい」とコンタクトを取った所「もちろん!」との返事が!
こうして今回、東京オリンピックスケートボードで“2番目に最年長”のスケーター、ダラス・オーバーホルツァー氏に迫ってみた。
ちなみに、スケートボード最年少出場の開心那選手12歳と比べると、その差は34歳。10代から20代が選手の中心となるスケートボードで、これはまさに脅威の年齢となる。
【南アフリカでのスケートボード事情】
南アフリカ共和国はオランダ、イギリスによる植民地化や、戦争、アパルトヘイトなどの困難な歴史を乗り越えたものの、今なお人種グループごとの教育格差は大きく、経済面においても世界的に経済格差の大きい国の1つとなっている。
自由な表現方法を持つスケートボードは、そんな南アフリカの若者の間で、急速的に人気が広がっているという。
2015年に制作されたドキュメンタリー映画「アイ・アム・タレント」は南アフリカの貧しい家庭に育ち、スケートパークをねぐらにして路上生活をする少年が、プロスケーターとして成功するべく、懸命に夢を追い求める姿を映し出し、ロサンゼルス映画祭観客賞を受賞している。
【南アフリカスケートボード界の英雄】
ダラス氏は南アフリカのバーティカル種目において20年以上チャンピオンの座を守り続けたレジェンドスケーターだ。
彼は南アフリカのスケートボードが成長する唯一の方法は、全ての南アフリカ人がスケートを利用できる環境にする事であると考え、今もたゆまぬ努力を続けている。
例えば、農村部に住む社会的に弱い立場の若者でもスケートボードに取り組めるように、ダラス氏はスケートボードとは無縁のような場所でも「スケートボードを継続して続けれる環境」を育てる事に着手。
それがバレー・オブ・1000ヒルズにある、ズールー族の村で設立されたプロジェクト・インディゴスケートキャンプ。
インディゴスケートキャンプは、ダーバンから車で約40分の場所に位置するイシトゥンバの村に位置する。この地域は失業率が高く貧困にあえいでおり、その上ANC(アフリカ民族会議)とIFP(インカタ自由党)のメンバーが衝突した歴史などがある為、この地域は旅行をするのに安全な地域とは見なされていない。
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この地域でインディゴスケートキャンプは、ズールー族の村人にスケートボードの乗り方や、その情熱を追求する方法を教えることによって力を与える運動を行っている。
スケートボードへの参加者が増えるにつれ、彼らはトレーニングマニュアルを開発。インディゴスケートキャンプの優秀なスケートボーダーがインストラクターとなり、近隣の村や地方にもそのプログラムを実施している。
【スケートボードは世界を変える事が出来る】
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インディゴは若者と協力する事がコミュニティに力を与えるとともに、スケートキャンプへの訪問やイベントを通じて、社会的統合を促進するための道であると信じて行動している。
これらの功績が称えられ、2015年にダラス氏は、南アフリカスポーツアワーズ(SA SportsAwards)でインディゴスケートキャンプを代表してBestRecreational SportingBody賞を受賞した。
これは南アフリカでスケートボードが必要とされているという事実と共に、インディゴの努力が実った事の証となった。
スケートボードの神様ともいわれるトニー・ホークも「インディゴは、スケートボードが世界を変えることが出来るという証明だ」と語っている。
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ダラス氏はインディゴユースムーブメントが、貧困やギャングへの道など、危険にさらされている若者に力を与え、若いリーダーを育成している事を喜んでおり、スケートボードでさらにより多くの雇用を創出したいと考えている。
スケートキャンプ設立のほかにも、南アフリカ全体にスケートパークを建設することで、南アフリカでのスケートボードの発展に人生を捧げている。
【五輪を機に知る、スケートが持つスポーツ以外の可能性】
南アフリカの複雑な事情が、これで全て理解出来るという訳では決して無いが、南アフリカのスケートボードの発展に貢献してきたダラスさんが五輪に出ることによって認知度が広まり、スケートボードが南アフリカを知るきっかけになるかもしれない。
スケートボードというカルチャーが、遠く離れた場所で、若者がギャングになるのを阻止し、貧困から救い出す一つのツールになっているという事。そして、スケートボードの持っているスポーツ以外の可能性を、少しでも知ってもらえたらと思う。
世界中にいる、自分のようなライターが、オリンピックを機にこのような事実を知り、記事を書き、スケートボードの可能性が、もっともっと多くの人や国に伝わってほしいと願っている。
【参考】
・Good Things Guy「Skateboarding is changing the Lives of Zulu Kids in South Africa」URL【https://www.goodthingsguy.com/people/indigo-skate-camp/】
・IOL「skateboarding gives hope to at-risk kids」URL【https://www.iol.co.za/news/south-africa/western-cape/skateboarding-gives-hope-to-at-risk-kids-2013689】
・INDIGO YOUTH MOVEMENT「PROJECTS」URL【http://indigoyouthmovement.org/projects/】
・INDIGO YOUTH MOVEMENT「A word from the founder,Dallas Oberholzer」URL【http://indigoyouthmovement.org/a-word-from-the-founder-dallas-oberholzer/】
・BackaBuddy「Get Dallas to 2020 Olympics」URL【https://www.backabuddy.co.za/champion/project/dallas-oberholzer】
翻訳 岡田 寛司(足長)
文 小嶋 勝美 Twitter:@KatsumiKojima1
スケートボードを趣味としており、ライターとしてスケートボード関連の記事を執筆。約10年間お笑い芸人として活動後、現在は放送作家としても活動中。