
(C)HEROs AWARD 2025
スポーツを通じた社会貢献活動をたたえる日本財団のアワード「HEROs AWARD 2025」の表彰式が12月15日に都内で開催されました。AIを活用する「AIスマートコーチ」で部活動の指導者不足解消などに取り組むプロジェクトが評価されたソフトバンクなどが表彰された式や、囲み取材の模様をリポートします。
■スポーツ指導の未来を変える?注目のAIスマートコーチ誕生秘話
9回目となる同アワードは、⾃薦、他薦によりノミネートされた候補の中から、社会課題の周知や、⽀援者が拡⼤しているか、スポーツの⼒を活⽤しているか、といった視点で審査を実施。笹川順平さん(⽇本財団 理事⻑)、中井美穂さん(アナウンサー)、中江有⾥さん(俳優・作家)らが審査員を務めました。
受賞したソフトバンクは、表彰の際に代表取締役副社⻑執⾏役員兼COOの榛葉淳さんが登壇。「このプロジェクトはゼロから⽴ち上げ、地域の先⽣や⽣徒さんの声を拾い集めながら進めてきました。このような素晴らしい賞を受賞することができ、本当に嬉しく思います」と喜びをにじませつつ、「スポーツのトレーニングは、マラソンは持久⼒、サッカーは瞬発⼒のように競技によって求めるものが違います。AIは、データを蓄積しながら最適な指導を提供できるので、AIのデータを活⽤したスポーツ指導を広めていきたいです」と述べ、これまでの活動を振り返るとともに、テクノロジーを活⽤した社会貢献のさらなる可能性を⽰唆しました。

(C)HEROs AWARD 2025
さらに、榛葉さんは「ソフトバンクは、創業者の孫(正義さん)の『スポーツと我々のテクノロジーは融合していく、我々のテクノロジーはスポーツの役に⽴てる』という想いのもと、福岡ソフトバンクホークスのようにスポーツとテクノロジーを融合させる活動に取り組んできました。スポーツというのは多岐に渡り、野球だけではない、サッカー、バスケットボール、ダンス、バレーボール、さまざまなオリンピックの競技があります。やはりそのような全ての競技に、何らかの形で貢献できないかということで『AIスマートコーチ』プロジェクトをスタートしました。しかし、最初から全部できるわけではありません。いろんな声を伺う中で、地⽅の⽣徒さんたちは『⾃⾝の競技をもっと頑張っていきたい』と思っても、なかなか教えてくれる指導者がいない。本当に素晴らしいスポーツですが、こうして指導にも課題があるということで、『AIスマートコーチ』を始めました」とプロジェクト発足の経緯を説明。
また、スポーツ指導でのAI活用の可能性について「(AIを)広めていきたいと思っていますが、我々だけでは広げていくことはできません。このプロジェクトは、ゼロから様々な先⽣や学⽣、プレイヤーの⽅々のご意⾒をいただきながら、試⾏錯誤してきました。そのような意味では、同じ競技でも⼩学⽣に対する教え⽅と、中学⽣・⾼校⽣への指導の仕⽅は全く違います。それはプレーのテクニックだけではなく、トレーニングの⽅法⼀つとっても違います。マラソンでは持久⼒を求め、サッカー・バスケットボールでは瞬発⼒を求めます。お⼦さんの成⻑の過程や選択する競技に合っていくものでなければいけないと感じています。AIの⼀つの強さは、そのような中で⻑期のデータを蓄積しながら最適なものを提案してくれる点だと思います。それを広げて⾏きたいと思います」と展望を語りました。

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この他に⼤相撲の元横綱・⽩鵬翔さん、フェンシング元⽇本代表の池⽥めぐみさん、⽇本サッカー協会(JFA)が受賞。⽩鵬翔さんは「15年前の相撲界の問題によって⼦どもたちが相撲から離れてしまうのではないかと危機感を感じていました。そのような中、⼦どもたちの笑顔のために活動を続けてきた結果、このような賞をいただけて本当に嬉しく思います」などとコメントしました。
■囲み取材リポート!AIが地方や指導者少ないスポーツの救世主になる日
受賞後の囲み取材では、ソフトバンクの榛葉さんが「ゼロからメンバーが⽴ち上げたプロジェクトだったので、最初は⼿探りでした。各学校の先⽣、⽣徒、⾃治体の⽅々の困り事に対して、⼀つ⼀つ答えを出しながら進めてきました。⾒本があったわけではないので、いろいろな意⾒、困り事に解決策を出していくことが⼀番苦労したところではないかと思います」とプロジェクトの苦労を告白しました。

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さらに「スポーツには、⼈々に対して勇気や感動を与え、そして国を元気にしていく⼒があります。『AIスマートコーチ』プロジェクトを通じて、スポーツの⾯⽩さ、素晴らしさ、感動を今⼀度認識しました。本プロジェクトでは、スポーツの⼒をしっかりとサポートしていきたいと思います」とスポーツへの熱い思いを吐露。
最後に「AIスマートコーチ」の今後の広がりの目標について、「基本的に⽇本全国ですが、さまざまな機会がある東京や⼤阪のような⼤都市ではなく、我々の最初の挑戦のように、なかなかスポーツ学習の機会に恵まれない地⽅や離島を中⼼に進めていけたらと思っています。スポーツの中でも競技⼈⼝が少ない、指導者が少ないというスポーツもあるので、そういったスポーツにも我々の『AIスマートコーチ』を使っていただくということで、両⾯から頑張っていけたらと思います」と意気込みを明かしました。
また、⽩鵬翔さんは囲み取材で今後の挑戦として「世界150か国もの国に相撲があることが分かりました。その国の伝統⽂化になっている国もあります。こんなに世界に相撲があるとは思わなかったので、毎⽇ワクワクドキドキしながら仕事に励んでいます。オリンピックというのはゴールではないですが、オリンピックや、テニスやゴルフで⾔う四⼤⼤会のようなものを増やしていきたいです」と夢を語っています。







