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パリオリンピックの予選を兼ねた「ワールド・スケートボーディング・ツアー(WST)ローザンヌ・ストリート2023」の決勝が9月16日(現地時間)スイスのローザンヌで開催され、西矢椛(16歳)が優勝、織田夢海(16歳)が準優勝でワンツーフィニッシュを飾った。
他にも日本勢は吉沢恋(ここ13歳)が4位に入賞。
東京オリンピック銅メダリストの中山楓奈(18歳)はベストトリック2本目の際に、今年5月に骨折した左の鎖骨を再度負傷するアクシデントに見舞われるも、ベストトリック4本目ではトリックを行い得点を加算し、6位に入賞した(3本目と5本目は棄権)。
前回大会優勝の赤間凛音は、8月のストリートリーグ東京の練習の際に負った怪我のため、今大会は不出場だった。
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男子は佐々木音憧(とあ16歳)が準優勝、根附海龍(20歳)が4位、堀米雄斗(24歳)が5位、青木勇貴斗(20歳)が6位にそれぞれ入賞。
優勝はアメリカのナイジャ・ヒューストン(28歳)で、ベストトリック3本目まではなんとノーミスの滑りを見せる(ラン1本目終了後には「スケッチー(メイクしたものの完璧ではないこと)!!」と叫ぶシーンもあったが)。
最終的には、ランとベストトリックで90点以上を4つ出し、前回大会に続き圧倒的な強さを見せての連覇を果たした。
東京オリンピック金メダリストの堀米雄斗は、ベストトリック2本目では8月のストリートリーグ(SLS)東京大会で見せた新技、ユウトルネード(ノーリーバックサイド270ノーズスライド 270アウト)を9段ステア(階段)横のハバレッジで決め、今大会最高得点96.95点を叩き出すなど、素晴らしい滑りを見せたが45秒のランをフルメイク(ノーミスで滑りきること)することが出来ず5位で終えた。
前回大会準優勝の白井空良は、8月のSLS東京の練習の際に負傷した腰の怪我が悪化し、今大会は不出場だった。
【パリ五輪出場のためのランキング】
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パリオリンピックスケートボードは1種目につき22名までの出場が予定されているが、1ヵ国最大3人までの出場となるため、オリンピックランキングで上位に入っていたとしても国内選手との上位争いも重要になってくる。
今年6月に行われたローマ大会終了時点で日本勢男子のオリンピックランキングは、5位に白井空良、6位に小野寺吟雲、東京オリンピック金メダリストの堀米雄斗は18位に位置していたが、
今大会の結果を受けてオリンピックランキングは5位に白井空良、7位に小野寺吟雲、8位に佐々木音憧、12位に堀米雄斗、15位に根附海龍、17位に青木勇貴斗となった。
日本勢女子のオリンピックランキングは、今大会前は20位以内になんと8人がランクインする大混戦。
上から2位が赤間凛音、4位に東京オリンピック金メダリストの西矢椛、5位に織田夢海、6位に東京オリンピック銅メダリストの中山楓奈、9位に上村葵、10位に吉沢恋、11位に伊藤美優、15位に中島野々花と続いており、
今大会の結果を受けて上位は1位に西矢椛、3位に織田夢海、4位に赤間凛音、6位に中山楓奈、8位に吉沢恋、11位に上村葵、13位に伊藤美優、16位に中島野々花となった。
※プロツアー大会で獲得できるポイントの内訳
1位 50000
2位 40000
3位 34000
4位 28900
5位 24565
6位 20880
7位 17748
8位 15086
9位 12069
10位 10258
【ストリート種目のルールと今後の予定】
・45秒間自由にコース内を滑るランを2本と、一つのセクションで1発技を行う、ベストトリックを5本行い、ランのベストスコア1本と、ベストトリックの上位2本の合計得点で順位が決まる。
採点は前回の東京五輪までは1トライにつき10点満点だったが、パリ五輪予選では100点満点で採点され、小数点以下2点まで(最高得点は300.00点)となる。
東京五輪と大きく違う点はラン2本中、どちらか1本は必ず得点にカウントされるため、ランで大きくつまずいてもベストトリックで大逆転、という事は難しくなった。
・ストリート種目の今後の予定は12月10日から17日に日本で世界選手権、来年2024年1月14日から21日にUAE(アラブ首長国連邦)シャルジャで予選大会の開催が予定されている。
※9月16日時点、日付は現地時間
【念願のWST初優勝・西矢椛】
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決勝2本目のランでKグラインドからノーリーヒールフリップアウトやサラダグラインドといった高難度のトリックをノーミスで決めた西矢椛は88.91点を獲得し、首位でベストトリックへ進む。
以下、西矢選手のベストトリック()内はセクション名
「1本目(ハンドレール)」サスキグラインドをミス。
「2本目(ハンドレール)」サスキグラインドを決め、83.99点を獲得。
「3本目(ハンドレール)」ビッグスピンフロントサイドボードスライドをミス。
「4本目(ハンドレール)」ビッグスピンフロントサイドボードスライドをミス。
「5本目(ハンドレール)」ビッグスピンフロントサイドボードスライドを決め、86.91点を獲得。
3本目、4本目で惜しくもミスしてしまったビッグスピンフロントサイドボードスライドを決めれば優勝に大きく近づく最終5本目。
一番プレッシャーのかかる場面で、完璧にメイクするところは流石の強心臓であり、2位に10点差をつけてWST(ワールド・スケートボーディング・ツアー)初優勝を飾った。
【世界最高峰の技・織田夢海】
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ラン2本目で66.41点を獲得した織田夢海は4位でベストトリックに臨む。
以下、織田選手のベストトリック()内はセクション名
「1本目(ハンドレール)」バックサイドオーバーKグラインドを決め88.11点を獲得。
「2本目(ハンドレール)」キックフリップフロントサイドフィーブルグラインドを決め、95.25点を獲得。
「3本目(バンクtoレール)」バックサイドKグラインドからノーリーフリップアウトを狙うがミス。
「4本目(バンクtoレール)」続けてバックサイドKグラインドからノーリーフリップアウトを狙うがミス。
「5本目(バンクtoレール)」さらに続けてバックサイドKグラインドからノーリーフリップアウトを狙うも決めきれず。
前回大会では3本続けてトライしたが、決めきれなかったキックフリップフロントサイドフィーブルグラインドを今大会では1発で決めることに成功。
女子の中では今大会最高得点を叩き出し、見事準優勝に輝いた。
【準優勝の快挙!・佐々木音憧】
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佐々木音憧はラン2本目で、9段ステア(階段)横のハンドレールでビガースピンフロントサイドボードスライドなど、高難度のトリックをノーミスで決め89.66点のハイスコアを叩き出し、ナイジャ・ヒューストンに次いで2位でベストトリックに臨む。
以下、佐々木選手のベストトリック()内はセクション名
「1本目(ハンドレール)」ビガースピンフリップフロントサイドボードスライドを決め85.14点を獲得。
「2本目(ハンドレール)」ノーリーフロントサイド180
スイッチフロントサイドスミスグラインドを狙うも途中、トラック(車軸)がレールから外れてしまい、着地には成功するが本人はキャンセル(技を成功しても、より高得点を狙える場合はキャンセルすることが出来る)。
「3本目(ハンドレール)」ノーリーフロントサイド180 スイッチフロントサイドスミスグラインド180アウトを成功させ、90.88点を獲得。
「4本目(ハンドレール)」キャバレリアルバックサイドノーズブラントスライド フェイキーアウトを決め、89.99点を獲得。
「5本目(ハンドレール)」キャバレリアルバックサイドノーズブラントスライドから、おそらくビッグスピンアウトを狙うもミス。
ラストトリックは決まれば優勝すらも狙えたトリックだけに、今後のパリオリンピック予選での活躍も大いに期待できる結果となった。
【あのナイジャのブランドに!?】
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今大会で気になったのが、スケートボード界のキング・オブ・キングス、ナイジャ・ヒューストンが手がけるデッキブランド“Disorder Skateboards(ディスオーダー)”のデッキに佐々木音憧が乗っていたという点。
あまり関係ないかもしれないが、ナイジャと佐々木がお揃いのTシャツ(色違い)を着ていた点も「お?」と思うシーンであった。
ともあれ、一昔前ではほとんど考えられなかった日本人スケーターがアメリカの有名ブランドからスポンサーを受ける機会が増えているのは事実であり、さらなるスケートボード界のビッグニュースがあるかも!?という展開に、大いに期待してしまうシーンであった。
決勝の映像はこちらからご覧になれます。
[https://www.youtube.com/live/zELSszD7WYY?si=RxRhR3le3F3AZXZg]
【WSTローザンヌ・ストリート2023・女子リザルト】
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1位 西矢 椛(日本) -259.81
2位 織田 夢海(日本) -249.77
3位 ページ・ハイン(アメリカ) -243.93
4位 吉沢 恋(日本)-224.47
5位 パメラ・ローザ(ブラジル) -213.26
6位 中山 楓奈(日本)-180.37
7位 ライッサ・レアウ(ブラジル) -163.45
8位 ロース・ズウェツロート -140.86
【WSTローザンヌ・ストリート2023・男子リザルト】
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1位 ナイジャ・ヒューストン(アメリカ) -275.94
2位 佐々木 音憧(日本) -270.53
3位 ジオバンニ・ビアンナ(ブラジル) -268.06
4位 根附 海龍(日本) -265.82
5位 堀米 雄斗(日本) -264.69
6位 青木 勇貴斗(日本) -249.18
7位 リチャード・ターリー(スロバキア) -243.75
8位 オーレリアン・ジロー(フランス) -212.05
文・小嶋勝美
スケートボードに関する情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。10年間のお笑い芸人生活を経たのち、放送作家をしています。