奈緒、「私は大丈夫です」 インティマシー・コーディネーター起用見送りで大炎上した主演映画公開で

2024/07/09
石井隼人

漫画家・鳥飼茜氏による映画『先生の白い嘘』。7月5日には都内映画館で公開初日舞台挨拶が実施され、主演の奈緒、共演の猪狩蒼弥、三吉彩花、風間俊介、そして三木康一郎監督が参加した。

まずは『先生の白い嘘』製作委員会の見解として下記のようなコメントが読み上げられた。「本作では出演者から要望があったインティマシー・コーディネーターを入れずに撮影をした、という内容のインタビュー記事が掲載されました。本作の制作にあたり、出演者側からインティマシー・コーディネーター起用の要望を受けて製作チームで検討いたしましたが、撮影当時は日本での事例も少なく、出演者事務所や監督と話し合い、第三者を介さず直接コミュニケーションをとって撮影するという選択をいたしました。

インティマシー・シーン撮影時は、絵コンテによる事前説明を行い、撮影カメラマンは女性が務め、男性スタッフが退出するなど、細心の注意を払い、『不安があれば女性プロデューサーや女性スタッフが本音を伺います』とお話をしていたので、配慮ができると判断しておりました。しかしながら、この度様々なご意見、ご批判をいただいたことを受け、これまでの私共の認識が誤っていた事を、ここにご報告申し上げると共に、製作陣一同、配慮が十分ではなかった事に対し、深く反省をいたしております。本作を楽しみにお待ち頂いているお客様、原作の鳥飼茜先生、出演者・スタッフの皆様に不快な思いをさせてしまったことを、心よりお詫び申し上げます」

その後、キャスト&監督陣がラインナップ。三木監督は「私の不用意な発言により、皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことをこの場を借りて謝罪したいと思います」と今回の騒動に対してキャスト、スタッフ、関係者、漫画家・鳥飼茜氏、観客に向けて深々と頭を下げて猛省した。

主演の奈緒は「公開前日に色々なことがありましたが、一言私がここに来てお話をしなければいけないと思いながら今日来ました。私としてはここにいる誰もが心痛めるようなことなく一緒にいたいと切に願っています。なので一言、…私は大丈夫です。それだけは絶対に伝えようと思いました。色々な葛藤がある中でこの場に足を運んでいただき、作品を見届けていただき、ありがとうございました」と観客に気丈な笑顔を見せた。

猪狩は「この数分の挨拶からもわかる様に、奈緒さんの強さに支えられながら僕も一生懸命頑張って演じました。エンターテインメントの枠を一つ超えたメッセージを受け取ってもらえたら嬉しいです」と呼び掛けていた。

また猪狩は完成した作品について「初めて作品を観た時に、こんな形になるんだという感動と撮影時の記憶が鮮明に蘇って、これが演じるという事、作品を作るという事なのかと感じました。それを色々な方々に観ていただき、形に残っていくというのが嬉しいです」としみじみ。

撮影に入る前に奈緒から「私はこの作品を撮り終わった時に猪狩君がまた演技をしたいと思ってくれたら私の中ではそれが一番だ」と言われたことを明かし、奈緒に向かって「演技、またやりたいです。楽しかったし、撮影期間で積み上げたものが形になってそこに色々な人の気持ちや情熱が乗ってそれが沢山の人に届いて作品として半永久的に残る。こんな素晴らしいことはないと本当に思いました。率直に僕はこの映画が公開されたことが心から嬉しいです」と時折声を詰まらせながら感謝。これに奈緒は涙を流しながら「ありがとう」と感激していた。

そして奈緒は「どんなに綺麗な川でもよどみはあります。そのよどみばかりを見てしまうと、どうしてもそこばかりが大きくなり、全体の綺麗な部分に気づけなくなってしまうこともあります。それもこの作品で学びました。もしみなさんが自分の誠意を誰かから脅かされるようなことがあれば、まずは自分の気持ちを守ってください。誠意を脅かすような言葉にはNOと自信を持って言ってください。それが自分を守ることに繋がります。ただその相手にも家族や大切な人がいます。そういう人たちが一緒に集まってこの社会で生きている。そんな事を少しでもこの映画を通して想いを馳せてもらえたら嬉しいです」と願っていた。

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石井隼人

映画好きエンタメ系フリーライター。「来るもの拒まず平身低頭崖っぷち」を座右の銘に、映画・音楽・芸能・テレビ番組などジャンル選ばず取材の日々。ありがたいことに映画作品のパンフレット執筆、オフィシャルライター&カメラマンを拝命されたり、舞台挨拶の司会をしたり…何でもやります!

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