絵本作家が主人公だったり、絵本作家が登場したりする映画って、お目にかかる機会が非常に少ないのですが、なぜか今、2作が同時上映中でございます。
ただ、両方とも単館系の作品のため、ご存じないかもしれないので、ここでご紹介させて頂きます。2作品共とても上質で、とにかく美しい映像に浸れる映画でございます。
まず一本目は、女性誌「anan」で絶賛連載中！稲垣吾郎様の「シネマナビ」で紹介されていた「マイ ビューティフル ガーデン」。
出典：http://my-beautiful-garden.com/
稲垣様もコラム中で、「絵本のように可愛らしい映画です。」と書かれております。
内容はというと…。
まず、主人公のベラが、図書館に勤めながら絵本作家を志す女の子なのでございます。そんな彼女は几帳面な性格なのですが、植物恐怖症。そのため借りているアパートの庭が荒れ放題に。ガーデニング大国として知られるイギリスが舞台。
大家は荒れ果てた庭を許してはくれません！ある日、「一か月以内に庭を再生できなければアパートを出て行ってもらますからね！！」と退去勧告をベラに突き付けます。困ったベラは、仲が悪かった隣に住むガーデニング好きの偏屈な老人の力を借りることに…。
庭が再生されていくのと同時進行的に、二人の関係も予想外の展開に！ガーデニングをモチーフにした、現代版シンデレラストーリーのような、そうでないような…。上質なコメディ的なところもありフランス映画「アメリ」とどこか似た感じもございます。
美術を担当したのは「ハリー・ポッター」シリーズなどを手掛けたアレクサンドラ・ウォーカー様。ファンタスティックな映像、庭の風景は是非、DVDではなく映画館のスクリーンで体感して頂きたい！
そして、もう1本はこちら。
「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」。
こちらは、アメリカを代表する絵本作家として70年間活躍したターシャ・テューダー様のドキュメンタリー映画でございます。
絵本作家として70年間活躍したターシャ様は、子育てを終えた56歳の時にバーモント州の山奥に引っ越し、18世紀風の農家と広大な庭園を造りました。
絵本作家以外に、ガーデナーの肩書をもつ、彼女の庭は、まさに絵本から飛び出してきたかのような美しい風景でございます。こちらも、是非、映画館の大きなスクリーンでその映像を体感して頂きたい作品でございます。
ターシャさんについて補足すると、1996年に日本で「ターシャ・テューダー 手作りの世界 暖炉の火のそばで」という本を出版、一躍、彼女のナチュラルライフが注目を集めます。その後、名言集やガーデニング本、絵本など合計66タイトルが出版され、トータル350万部超えの驚異的な大ヒットを記録！まさに「スローライフの母」的な存在なのでございます。
ちなみに、ターシャ様の映画に対する日本の絵本作家のコメントとしては…。谷川俊太郎様が「天国とは、こういうところかと思いました。ひとりの女性と自然の豊かな合作の記録」と。
山本容子様が、「彼女の手はすべての世界と繋がっている。その手が動くとイマジネーションはカタチになる」と、感想を語っていらっしゃいます。
今回紹介した2作品、絵本作家の映画というだけでも珍しいのに、ガーデニングものというところまでかぶっております。さらに、それが日本で同時に上映されているなんて、ただの偶然とは思えないのでございます。
絵本作家が主人公の映画、「マイ ビューティフル ガーデン」、そして「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」、是非、ゴールデンウィークに足を運ばれてみてはいかがでしょうか。（文：N田N昌）
