「唾液検査」で虫歯の原因を検査するなど、なるべく歯を削らない・抜かないをモットーとした歯を残すための予防歯科を取り入れている川田歯科クリニック 院長 川田 隆央さん

2022/06/16
マガジンサミット編集部

なるべく歯を削らない・抜かないをモットーとし、歯を残すための予防歯科を取り入れている川田歯科クリニックの院長 川田 隆央さん。予防歯科の大切さや3代続く歯科医院の取り組み、大切にしている想いなどについて聞いた。

川田歯科クリニックは上野毛駅から徒歩1分の場所にあり、祖父の代から3代続く、約80年の歴史を持つ歯科医院だ。昔は虫歯になると抜いてしまうことも多く、入れ歯も多かったが、父の代になると、なるべく歯を削らない・抜かないをモットーとした歯を残すための予防歯科を取り入れはじめ、川田氏も意志を引き継いだ。

幼少期は歯科医になる意志はなかったものの、祖父と父が歯科医だったこともあり、次第に興味を持ち始め、大学入学時には歯科医を自然と目指しはじめた。大学卒業後は他の歯科医院に勤務。最終的には川田歯科を継ぐことを頭に入れていたため、ホームドクターとしての技術や知識を得ることに努め、川田歯科クリニック3代目院長に就任した。

父の時代から予防歯科が中心の歯科医院で、アットホームな雰囲気が特徴だ。祖父、父の時代に患者としっかり会話をして信頼を得ていたこともあり、何世代にもわたって通院する患者も多い。今でも時々、父が医院に顔を出すと患者と会話で盛り上がる。川田氏自身もそのマインドを引き継ぎ、「歯」だけではなく、「人」を見ていると話す。

多くの人は痛みが出てから歯医者に行くことに関して聞くと、虫歯になる前に定期的に歯医者に行くことの大切さを伝えるのは難しいと川田氏は話す。患者が訪れる度に様々な検査方法を用意して定期的な来院の大切さを根気よく伝えている。川田歯科クリニックでは「唾液検査」を取り入れている。検査することで患者の口内がどんな状況で、何が原因で虫歯になる傾向があるのか、虫歯にならないためには何に気を付けたら良いのかがわかる。検査によって歯ブラシの仕方、食事のアドバイス、細菌に対しての処置などを行うことができる。また、検査結果を説明すると患者も納得し、予防メンテナンスとして数ヶ月に1回、通うようになるとケースが多いと言う。

虫歯は歯ブラシだけで全て防げるわけではない。食べ物が原因の場合もあれば、口内の細菌が原因のケースもある。検査すると見た目は良くてもデータが悪く、5年〜10年後には虫歯や歯周病になる可能性が高い患者もいる。このような患者に検査結果を説明すると将来的な予防歯科に繋がると語る。また、マイクロスコープを取り入れた用いた正確な根管治療も実施している。

子供の歯科治療にも力を入れていて「SH療法」を行っている。これは歯を抜かないために顎を広げて歯並びを整える治療法だ。顎のサイズに対して歯が大きいとバランスが悪くなってガタガタしてしまうため、顎という土台を大きくしてあげると隙間ができて歯を抜かずにすむ。幼少期は顎も成長しているので装置で顎が大きくなるようにサポートする手法が「SH療法」だ。

治療後、大人になってから歯ブラシがしやすくなり、将来的な予防にも繋がる。ただ、幼少期でないと効果が低くなってしまう。大人になってから歯並びを治すには、歯を抜いて並べることが前提となる。健康な歯を抜くことで顎が小さくなってしまうこともあり、舌が適切な位置に収まらず、喉の方へ落ちてしまい、睡眠時無呼吸症候群やひどいイビキを引き起こすリスクもある。特に筋力が落ちた40歳以降の方が罹患しやすいと言う。

子供の頃から定期的に歯医者に通った方がよいのかと聞くと、先ずは医院に慣れることが一番なので、治療ではなく、痛くないクリーニングなどで定期的に来院してもらいたいと話す。定期的に通院する習慣をつくることで、保護者に歯ブラシのアドバイスや仕上げ磨きの大切さを伝えることもできる。というのも、8歳〜9歳くらいまでは最低でも週に1回は仕上げ磨きをしないと磨き残しが発生するためだ。小さい頃から通うことで歯並びのチェックもできて大人になる前に矯正を行うこともできると川田氏は話す。

続いてコロナ対策について話を聞いた。密にならないように、予約の時間を分散させるのはもちろんのこと、月に1回、専門の清掃業者が入って除菌などを行っている。最近はマスクをしているため口が空いて口呼吸が多くなり口内が乾燥して汚れもつきやすく、虫歯にもなりやすい。そのため、定期的にクリーニングを行い、見てもらうことが大切だという。

その他の取り組みを伺うと、患者さんの口内の状況が少しでも改善するため、歯ブラシや歯磨き粉など、その人にあった商品を提案していると話す。様々な商品がある中で歯科医が検査結果をもとに提案するので喜ばれる好評である。最近では公式LINEの配信もスタートしており、既存患者への情報発信も積極的に行っている。

また、歯の健康だけでなく全身を見るのも大切だと話す。歯の健康と全身の健康との関係性を聞くと、先に述べたように呼吸に影響すると話す。鼻の下である顎を広げることで鼻呼吸もしやすくなる。そのため耳鼻咽喉科などのクリニックと提携して病状によっては紹介を行っている。例えばレントゲンで花粉症などのアレルギーや鼻が曲がっているなどの鼻の状態がわかるので、必要な時は耳鼻咽喉科のクリニックを紹介する。これは他のクリニックではあまり見ない取り組みでもある。

最後に川田氏は今後の展望を次のように話す。

歯医者には定期的に通うことが大切です。ただ、クリニックを頻繁に変えてしまうとデータや患者情報が途切れてしまうので、なるべく信頼できる歯科クリニックを見つけて長く通うことをお勧めしています。川田歯科クリニックも変わらず、安心して長く通ってもらえる場所であり続けたいと切に願っております。

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