ビッグデータ、AI、自動運転。第4次産業革命に必要な人材が足りない?

2020/02/07
Shoichi Sato

私たちの暮らしに大きな変化を与え、より豊かな社会を生み出してきた産業革命。18世紀末には蒸気機関を動力とした機械化により、生産力が高まりました。蒸気船や蒸気機関車の登場で交通網も発展。これが第1次産業革命です。その後、電力を利用した大量生産が実現。第2次産業革命がスタートしました。1900年代後半はコンピューターが台頭。人間が指示を入力することによって、機会がオートメーションで作業する第3次産業革命です。

そして現代。人工知能や学習機能の精度を上げることで、コンピューター自身が判断して最適な行動をとるという第4次産業革命の、今まさに真っ只中です。第4次産業革命下では、産業構造が大きく変化します。このような社会で必要とされる人材や、求められるスキルは何でしょうか。

都内では1月30日に「CompTIAメディアセミナー」が開催されました。CompTIAは様々なIT規格の標準化を提言するグローバル団体。IT関連人材の教育や認定、政策支援活動などを展開しています。

今回のセミナーではCompTIAプレジデント兼CEOのトッド・ティビドー氏、チーフテクノロジーエバンジェリストのジェームス・スタンガー博士が講演。IT業界における昨今のトレンドなどを解説しました。

「詰め込み式では人材が育たない」

トッド氏は「世界中でIT技術が加速している中、仕事やポジションは多くあるのに対し、人材の不足が否めない」と問題を提起。特に日本については「オリンピックによって構築される何千というネットワークを管理する人材が求められる」と語りました。

もう一つの課題はトレーニング。トッド氏によるとIT人材の教育は詰め込み式で、実践が取り込まれていないケースが多いそう。「5日間という短期間でトレーニングが行われており、IT関連の知識を持っていない人に対してこのトレーニング期間は不足している」と指摘しました。

ジェームス博士は、第4次産業革命による経済成長について言及。「人間の活動が情報に変換される世界。この情報を守り、管理していく人材が必要となる」とし「企業はこれらのデータを活用することで大きな収益を得ることができる」と述べました。

ITに携わる人材が現在行っている領域は「データベース管理」、「予測分析」、「データの可視化」、「データマネジメント」など。ジェームス博士は「IT人材がITに携わっていない人たちと一緒に仕事を進める必要がある。サーバールームの外に出て、課題の解決や準備を一緒にすべき」と話しました。また、AIとの関係については「相互補完」をキーワードに挙げ、「AIの得意な分野と人間の得意な分野をすみ分けて考えることが重要」としました。

いよいよ5Gという新興テクノロジーも登場します。新たな技術は便利さが注目されがちですが、正しく管理しないとその分リスクも高まります。加速するIT社会を支える人材の教育は、喫緊の課題といえるでしょう。

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Shoichi Sato
この記事を書いた人

Shoichi Sato

地域ミニコミ紙の編集記者、広告代理店を経てフリーライターとして活動中。趣味は山登りなど、スポーツ全般の元高校球児。未確認生物や宇宙、戦国時代 などが好きなロマン追求型。座右の銘は「気は遣うものではなく、配るもの」。 ブログ:s1-thats-WRITE

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