働き方改革はコミュニケーション改革。職場環境向上の秘訣はサイボウズに学べ

2019/09/11
マガジンサミット編集部

2019年4月から本格的に始まった「働き方改革」。約半年がたち実際に皆さんの職場環境は良くなりましたか? 働きやすさの定義は個人によって異なり百人百様ですが、そんな多様性を尊重するのも働き方改革の目指すところのひとつと言われています。

この、働き方の多様化にいち早く着手し成果をあげてきたのが「kintone」でお馴染みのサイボウズ株式会社(以下、サイボウズ)です。最近では、成功事例企業としてサイボウズ流働き方改革メソッドやノウハウが注目を集めています。

今回、サイボウズでは「サイボウズ 働き方改革の最新動向レポート 〜 メディア Meetup vol.1~」を開催。「チームワーク総研」シニアコンサルタト なかむらアサミ氏が実際の事例を交えながら働き方改革の今後について考えるメディアセミナーを行いました。

人事制度の方針「100人いれば、100通りの人事制度があってよい」

「働き方改革」は、従来の労働法では働き手の利益や幸せを維持できないために、今後も持続可能な働き方を模索し将来につなげる活動といえます。残業を減らすのも休日を設けるのも育児制度を導入するのも、労働時間を減らして身体を休めたり家族と協力したりしながら持続可能な働き方をするためです。

しかし働き方改革に着手した結果、私生活を大事にしたい若手と私生活を犠牲にしてきた管理職との分かり合えない関係が顕著になり、チームワークコミュニケーションについての相談が増えているそうです。

1997年創立のサイボウズは、かつて4人に1人が辞めてしまう会社でした。そのため2005年から「働き方の多様化」に着手。その結果、離職率は7分の1に激減し以後業績も成長し続けています。

同社では、人事制度は変えるものでなく増やしてゆくものと考えており、従業員が100人いれば100通りの人事制度があってもよく、そのためには「制度」(在宅勤務・人事評価と給与・育児休暇・副業制度など)、「ツール」(情報共有クラウド・遠隔会議・リアルオフィスなど)、「風土」(多様性重視・公明正大・議論など)の3つ組織改革がキーワードになります。

例えば、サイボウズでは以下のような働き方の取り組み「制度」を設け、従業員はこれらの選択肢を自由に組み合わせライフスタイルにあわせたワークスケジュールをたてています。

働き方の宣言(残業なし、短時間勤務、週3日勤務など)

都合に合わせて働く(場所と時間帯を選べるウルトラワーク)

最大6年の育児介護休暇

副業(複数)の自由化(基本的には会社への申請不要)

退社しても再入社できる育自分休暇

多様なスケジュールを管理把握するために社内の情報共有クラウドや遠隔会議システムなどの「ツール」を活用し、従業員同士の個性や多様性を認める「風土」を育む活動を行ってゆくわけです。

資料)サイボウズが取り組んできた社内改革の変遷 「働き方改革の最新動向レポート サイボウズ株式会社」より。

日本人が陥りやすい「心理的安全性」の罠

しかし、このような従業員一人ひとり異なったワークスケジュールはマニュアル化がしづらく、管理し企業組織として存続させるためには今までよりも密なコミュニケーションとマネージメントの個別化が必要になってきます。

理想的なのは社内で言いにくいことを言っても壊れない関係を築くこと…すなわち心理的安全性の構築ですが、求める安全性は個人によって異なり、チームワーク力を発揮するためには同一の安全性と共通の理想があることが望ましいそうです。

チームワーク力を発揮するために必要なことは以下の5つ。

理想をつくる

役割を分担する

コミュニケーションする

情報を共有する

モチベーションをあげる

チームは主に「創発的なチーム」「プロフェッショナルなチーム」「同質的なチーム」の3つの属性に分けられ、それぞれのグループで安全性に対するイメージが異なるので、それらをふまえて組織作りを進めると効果的です。

資料)グループごとの「心理的安全性」の内訳。「働き方改革の最新動向レポート サイボウズ株式会社」より。©サイボウズチームワーク総研×スコラ・コンサルト

密なコミュニケーションは情報の共有から

従業員同士の人柄を知り信頼関係を築くために、飲みにケーションやレクリエーション活動(例えば社内部活)などの場を設けることは従来の企業でも行われてきたことですが、サイボウズ流では参加者の仲間意識以外に同調圧力や疎外感といったマイナス感情を育てないように心がけています。

例えば、飲み会や部活動報告をオンラインで社内シェアし誰もが閲覧でき共有する。また、会話上手な人とキーボードで伝えるのが上手な人それぞれのコミュニケーション方法を設け、オンライン/オフラインで意見を出しやすい社内システムを実地するなど「情報は統制するものでなく共有するもの」と定義づけています。

情報をもっている人が偉く組織やチームの中心になるのでは、必ずしも同じ空間と時間を共有していない労働環境では成り立たないため、プライバシーやインサイダーに関わる情報以外は積極的に公開しアクセスできる制度とツールを整えています。

さらに、目指す価値観の明確化とそれに沿う場作りや共通言語の取り入れを行い、規範ではなくビジョン(理想)で束なることで、物理的な規則や制度から解放され個性や多様性を尊重する働き方を実現させているのです。

中間管理職が共感すれば組織も変わる

サイボウズ「チームワーク総研」で開催している『チームワーク研修』では、これらサイボウズが10年かけ行ってきた新しい組織作りの試行錯誤や、実際に変化を経験したノウハウを外部の企業に情報公開し提供しています。

企業や団体からの問い合わせ件数は2019年の7月時点で84件と、2018年の総数68件を大幅に超えそれにともない実地研修数も約3倍に増えているそうです。多様な研修プログラムに加えインターン制度も設けており、1週間社内で一緒に働きその成果や経験を持ち帰ることもできます。

なかむら氏は「特に、その企業の中間管理職が共感すると社内の働き方改革は進みやすい」と話し、トップダウンではなく“ボトムアップ”がカギとなるとアドバイスします。改革は始まったばかり。社内の働き方環境を刷新させる要は現場で日々頑張っている “あなた”かも知れません。詳細は https://teamwork.cybozu.co.jp/ まで。

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