難病患者の約3人に1人が発症から診断までに1年以上、約1割は10年以上も…難病取り巻く課題が明らかに

2023/05/26
佐藤 勇馬

アストラゼネカグループの希少疾患部門アレクシオン・アストラゼネカ・レアディジーズの日本法人であるアレクシオンファーマ合同会社は、指定難病の患者500名および指定難病に携わる医師500名を対象に「難病に関する意識調査」を実施。5月23日の「難病の日」に合わせ、その調査結果を発表しました。

調査の結果、難病患者のおよそ3人に1人が「症状発症から診断までに1年以上」と回答。同じく「難病患者の約2割が診断までに3年以上、約1割が10年以上」との回答があり、難病の診断までに長い時間を要している現実が明らかになりました。

難病を取り巻く環境について「課題と感じていること、その中でも最も課題だと思うこと」を質問すると、難病患者、医師の双方で「最適な治療方法がない」が最多となりました。難病患者は1位「最適な治療方法がない(46.8%)」、 2位「周囲の疾病理解が不十分である(33.6%)」、3位「就労に困難がある(23.4%)」で、医師は1位「最適な治療方法がない(50.0%)」、2位「正しい診断がされない(42.2%)」、3位「非専門医の疾病理解が十分ではない(37.2%)」となっており、他の課題に比べて「最適な治療方法がない」は大きな差があります。

続けて、難病の症状発症から診断までに要した期間について尋ねると、難病患者の34.4%、医師の24.5%が「1年以上~3年未満」と回答。難病患者のおよそ3人に1人が診断までに1年以上を要していることがわかりました。また、難病患者の19.4%が「3年以上~10年未満」、10.0%が「10年以上~20年未満」と答えており、過半数が半年以内に診断されている一方で、10年以上を要した人も少なくありませんでした。

医師とのコミュニケーションにおける課題が何かを尋ねたところ、難病患者の回答は「医師とのコミュニケーションをサポートしてくれる医療従事者が少ない(46.6%)」が最多に。一方、医師の約8割が「難病ではない患者さんに比べて、より疾患や症状の説明に時間をかける必要がある(78.6%)」と回答し、患者のニーズに応えるために、より多くの診療時間が必要と考えていることがわかりました。

そのほか、難病患者の約6割が「生活」において課題と感じていることとして「通院負担が大きい(59.8%)」を挙げ、「難病に対する社会の理解」に関する課題としては6割超が「難病の理解向上への啓発活動が不足している(62.6%)」と回答。また、医師が感じる「難病に対する社会の理解」に関する課題としては、1位「難病についての企業の理解が十分でなく、就労の困難がある(72.8%)」、2位「難病の理解向上への啓発活動が不足している(72.4%)」、3位「難病患者さんが社会のなかで孤立しがちである(68.6%)」となりました。

この結果を受けて、同社は「難病患者さんや医師ともに最大の課題として挙げられた『治療方法がない』ことに対しては、製薬企業として今後も継続して研究開発を進め、難病患者さんにより早く治療薬を届けるため、たゆまない努力をしてまいります。また、『より早期の診断』、『最新情報の提供』や『難病に対する周囲の理解促進』などの課題に関しては、当社のみならず、より多くのステークホルダーが協働し、難病を取り巻く社会環境を整えていく必要があるという認識を深めました」とコメントしました。

同社は「難病・希少疾患の患者さんの環境を変えるためのプロジェクト」の一環として、9月30日に今回の調査で分かっ課題をもとに、「難病看護学会」にてセミナーを開催するとしています。

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佐藤 勇馬
この記事を書いた人

佐藤 勇馬

新宿・大久保在住のフリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にスカウトされて以来、芸能、事件、ネットの話題、サブカル、漫画、プロレスなど幅広い分野で記事や書籍を執筆。著書に「ケータイ廃人」(データハウス)「新潟あるある」(TOブックス)など。 Twitter:ローリングクレイドル

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