世界中のおもちゃを日本で楽しめるワケ!海外おもちゃに精通する「TOYアレンジ」のプロに聞いてみた

2017/04/11
放送作家 鴨島妙実

レゴブロックやバービー人形など、日本でも大人気の海外のおもちゃはたくさんあります。実は海外で人気のおもちゃが日本でも楽しめるのは、ある陰の立役者のおかげなのです。それは、「TOYアレンジ」という、日本市場向けにおもちゃをカスタマイズするプロ。今回はこの道13年の目利き、株式会社ハピネットの城田さんにお話をうかがいました。

 

安全性を追求!「爆爆バルーン」が再び日本で楽しめるようになったワケ

 

城田さん:「爆爆バルーン リターンズ」でご説明しようと思うのですが、まずは実際にやってみてください! このサイコロを振って、出た目の数だけスティックを押し込んでください。

 

赤いフレームの中に閉じ込められた青い風船の周りには、細いスティックが9本、風船めがけてセットされていて、1段階押し込むと「カチッ」と音がします。サイコロを振って、出た目の数が例えば「3」だった場合、「カチッ、カチッ、カチッ」と、3段階押し込むのです。

 

城田さん:1本のスティックを3段階押し込んでもいいですし、3ヶ所それぞれ1段階ずつでもいいですよ。

 

とのこと。スティックを押し込んでいくと、風船が徐々にいびつな形になっていきます! 爆発音や破裂音が大の苦手な筆者、終始ヒヤヒヤしっぱなしです…。

まるでバラエティ番組の罰ゲームのようなハラハラ感を、間近で味わえるとは思いませんでした。ホームパーティーなどで使ったら盛り上がりそうですね。

 

「リターンズ」と言うように、実は過去に1度、日本でも販売されており、人気商品だったのだとか。では、前作はなぜ販売が終了してしまったのでしょうか?

 

城田さん:日本にはST(セーフティ・トイ)マークと言って、日本玩具協会が認定している安全基準があります。実は「爆爆バルーン」を発売した2年後に規定が少し変更され、新たなSTの更新ができなくなってしまったのです。「爆爆バルーン」は小さいお子さんから、家族みんなで楽しんでもらいたいおもちゃだったので、新規定に合わせてカスタマイズし直し、再度発売に至りました。

 

STマークの認定取得については、現時点ではメーカーの判断に委ねられています。STマークがないおもちゃでも、販売自体は可能です。ですが、厳しい基準適合検査をクリアすることは、おもちゃを製造・販売しているメーカーがどれだけ安全性を追求しているかを示しているとも言えるのです。

 

日本人の好みに合わせて色やデザインもチェンジ!「R/Cホバークラフト ホバーシャーク」

 

他にも、カスタマイズする必要がある部分はあるのでしょうか?

 

城田さん:実は色やデザインも、日本人の好みに合わせてカスタマイズしています。例えば、この「R/Cホバークラフト ホバーシャーク」。その昔、日本のおもちゃメーカーが開発したのですが、海外で話題になり、今回逆輸入の形になりました。でも、海外で売られているのは、ピンクに近い、薄赤だったんです。

 

R/Cホバークラフト ホバーシャーク」は、水上、陸上、さらには氷の上をも疾走するラジコンです。ということは、楽しみたい人には男性が多いはず。ラジコンという時点で、自然と男性ユーザーが多くなるだろうことは予測されますが、それでも、日本人男性により「カッコイイ!」と思ってもらえるよう、TOYアレンジのプロは、デザインやパーツのカスタマイズにも手を抜きません。

 

R/Cホバークラフト ホバーシャーク」は、「スペックはいいのに見た目で損しそう。」と見立てた城田さんが、ボディやパーツを青にし、スーパーカーを思わせるデザインへの変更をプロデュースしました。

「動いているところを見たい」と言ったら、少年のようにキラキラした目で操縦してくれた城田さん。ラジコンが大ブームだった80年代に少年だった世代には、懐かしさを感じるかもしれません。

 

日本版カスタマイズが海外で採用されることも

 

城田さんによれば、海外のおもちゃがそのまま日本で発売するということはほとんどないのだとか。そのため、海外メーカーからは時に「ガラパゴス」と言われるそうです。メーカーとしては、世界向けに大量に作っているものをそのまま販売できれば、手間がかからず楽ですよね。それでも仕様変更にこだわるのは、より日本で受け入れられやすくするための努力なのです。

 

城田さん:日本向けに仕様変更したものの方が「良い!」と海外に受け入れられ、使用されることもあります。爆爆バルーンのパッケージなどは、日本向けにカスタマイズしたデザインの方が「伝わりやすい」「親しみやすい」と、本社に絶賛されたりしました。

 

城田さんは、アメリカはニューヨーク、ロサンゼルス、カナダや香港、中国、ヨーロッパはイギリス・ロンドンや、ドイツのニュルンベルクに足を運び、常に3040の海外メーカーと情報交換をしては新しいおもちゃを発掘しています。日本で楽しめる海外生まれのおもちゃたちは、城田さんたちのような「TOYアレンジ」のプロたちが、何度も何度も海外メーカーとの交渉を重ねた成果、と聞くと、おもちゃを見る目が変わるのではないでしょうか。週末はご家族で、おもちゃ屋さんに足を運んでみてはいかがですか?

 

 

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この記事を書いた人

放送作家 鴨島妙実

ラジオ番組の構成や、コラムを執筆中。 「ADVANCE EARTH(NACK5)」や「マイナビ学生の窓口」などに参加。 明日が1ミリでも楽しい日になるような情報をご紹介したいと思っています。趣味は大喜利(のお題作り)。

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