【注意】日中の突然の眠気、それ病気かも!「ナルコレプシー」の怖さ

2017/03/25
naokiyama

「過眠症」といえば読んで字のごとく、眠り過ぎてしまう病気です。(えっ、眠ってしまうのが病気なの……?)と戸惑う人もいるかもしれませんが、じつはこの「ナルコレプシー」(Narcolepsy)という病気、バカにできない深刻な症状だったりするのです。

日中に突然襲いかかる睡魔

 

ちょっと眠いなと思うときって、前日の夜にあまり寝ていなかったり、生活リズムが乱れていたりするものです。お昼過ぎに、ついつい居眠りしてしまったなぁという人も多いでしょう。でも、このナルコレプシー、普通じゃありえないタイミングで眠くなります。

 

たとえば、食事をしているとき、電話をしているとき、大事な打ち合わせをしているとき……。脳が覚醒しやすい緊張状態のときにも、突然急激な眠気に襲われます。その睡魔は三日三晩徹夜したほど強烈なもの。日中に、場所や状況をかまわずにやってくるのが特徴です。

 

日本人がいちばん多い?他人事ではない発症者の傾向

別名「居眠り病」ともいわれるナルコレプシーですが、日本人の発症率が多いといわれ、世界で約1000~2000人に1人が発症するのに対し、日本では約600人に1人の割合。発症する年齢は10代が多く、14~16歳の思春期前後がピークだといいます。

 

また、ナルコレプシーになった場合、周囲の理解がないと、本人は辛い状況に追い込まれます。なぜなら、自分の意思とは関係なく、抗えないほど強力な睡魔が襲ってくるので、病気だとわからなければ、いつも眠っていてアイツは不真面目、やる気がないといった誤解を受けてしまうからです。

 

病気のサインを知っておく

病気なのか、ただの眠気なのか――。見極めるためにはナルコレプシーならではの特徴を理解しておくことです。日本睡眠学会によれば、以下の特徴があるといいます。

 

情動脱力発作(カタプレキシー)

大笑いしたり、興奮して怒ったり、主に強い感情の起伏をきっかけに、全身あるいは膝や腰、顎などに力が入らず、脱力状態になってしまう症状です。脱力状態は瞬間的で、ときに数分間~数十分間、脱力状態が続くこともあるとか。ただ、てんかんの発作と違い、意識ははっきりしていて、呼吸が苦しくなることはないそうです。

 

入眠時幻覚

眠りについた途端、現実感をともなったリアルな夢を見ます。得体の知れない人や物が襲い掛かってくる幻覚によって、強い恐怖感をともなうそうで、現実と幻覚の区別がつかなくなるほどだといいます。

 

睡眠麻痺

入眠時幻覚による不安や幻覚とともに、全身の脱力状態が起きる症状です。強い恐怖にかられるのですが、身動きが取れないため、俗にいう「金縛り状態」になってしまい、声を出すことさえできないといいます。

 

ナルコレプシーの診断基準としては、①の情動脱力発作があり、日中反復する居眠りが毎日、3カ月以上続くこと、とされています。②の入眠時幻覚と③の睡眠麻痺はよく起こりがちな症状だそうですが、必ずしも発症するものでもないといいます。

 

脳内物質「オレキシン」を日本人が発見、根本治療へ

これまでの研究によって、ナルコレプシーの発症に、脳内物質「オレキシン」が関係していることがわかっています。日本人が1998年に発見したこの物質、簡単にいうと、脳の覚醒状態を維持する機能があるそうですが、この物質が不足してしまうために、急激な睡魔に襲われてしまうと考えられています。

 

とはいえ、オレキシンが本格的な治療に活用されるのはまだまだ先のこと。

 

現在は、薬によって眠気をコントロールしながら、生活指導をして症状を改善していくのが主な治療で、これで症状改善ができるといいます。もし、眠くて日常生活にも支障があるという人は、インターネットなどで専門医を探してみるといいかもしれません。

 

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元雑誌の編集担当。政治、経済等。

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