【高校野球の丸刈り】過去に一度あった脱丸刈り革命と丸刈りイメージを変えたカリスマ芸人とは!?

2019/05/17
放送作家 石原ヒサトシ

令和は丸刈り禁止時代に?

4月、春夏合わせ8度の甲子園出場を誇る新潟明訓高校野球部が「丸刈りを辞めて髪を伸ばす」ことを決定し、これがちょっとしたニュースになった。

近年、野球人口が急減少していて、平成30年度の一年生部員は前年より約4千人減って約5万人に。6年前は約6万人だったのでその減少速度が伝わるだろう。実はこの裏に「丸刈りが嫌だから野球部に入りたくない児童が多い」というデータがあり、中学や高校の野球部で丸刈りを強制させない動きが広がっているのだ。

何年かおきに「なぜ野球部だけは丸刈りなのか?」という話題になる。これまでは人権侵害とかパワハラ的な疑問が主だったが、今回はそれに加えて“底辺の野球人口を減らす”という深刻な裏事情がテーマとして乗っている。

世間的には監督が部員に丸刈りを強制している印象が強いだろう。しかし調べてみたら丸刈りを“強制・命令”している高校はさほど多くないようなのだ。

そこで、この高校野球丸刈り問題の歴史を振り返ってみた。この考察はちょっと笑われるかもしれないが、実は、あるタレントの丸刈りスタイルの影響で世間のイメージが左右された!? と思うのだ。

「平成の野球部脱丸刈り大革命」

過去に『なぜ野球だけが丸刈りなのか?』で日本中を巻き込んだ一大事があった。

25年ほど前、きっかけは1993年にスタートしたサッカーJリーグの、その影響で注目度が増した高校サッカーだった。ピッチを駆ける少年たちを見て多くの人が違和感を持ったのだ。

「サッカー少年は長髪の子までいるのに、どうして野球少年はみんな丸刈りなの?」

週刊誌やテレビでも取り上げられ物議を醸し、「坊主頭は古い」「ダサい」、そして「大人がやらせているなら人権侵害だ」という声まであがった。

長髪は憧れだった

さあ驚いたのは全国の球児だ。サッカーという思わぬところから奇跡のロングパスが飛んできた。丸刈りにイエローカードが出て、球児にフリーキックの大チャンスが巡ってきたのだ。

なんせ今まで「野球少年はなぜ丸刈り?」なんて議題に上がったこともなかった。私も野球経験者だが丸刈り球児にとって長髪は憧れである。これはまさに「平成の野球部・脱丸刈り大革命」だ。

そしてこの騒動がきっかけとなり、本当に全国で丸刈りじゃない野球部が一気に増えた。

指導者も時代の流れを感じて部員と対話したとか、逆に部員の方から監督に掛け合って丸刈り撤廃を許してもらったとか。革命は広がりを見せた。

甲子園大会で、いわゆる短髪の球児が沢山登場し変化を感じた。堀越学園高校(東京)の投手が長髪だったのには驚いたが、その他、強豪の天理(奈良)、柳川(福岡)、仙台育英(宮城)なども丸刈りじゃなかった記憶がある。“丸刈りで精神と根性を鍛え集中しろ、甲子園へ行けないぞ!”というイメージがあったが、“丸刈りじゃなくても甲子園行ける”ということが証明されたわけだ。これで丸刈り時代は終って行くだろうと思った。

丸刈り減少データ

日本高校野球連盟と朝日新聞では加盟校を対象に1993年から5年おきに実態調査をしている。

その中で、丸刈りについてのアンケートも行われている。

〈丸刈りを行っている〉

1993年 51%

1998年 31%

“行っている”の解釈は、丸刈りを強制しているのか、自由だが自主的なのか、特に何も公言していないのか、そこまで詳しくわからないが、とにかく減ったのは間違いない。

丸刈り復活・・・

しかし、21世紀に入ると時代は逆流した。。

〈丸刈りを行っている〉

2003年 46%

2008年 69%

2013年 79%

2018年 77%

年々増えている。なぜだ!?

丸刈りを変えたカリスマ!

このデータの裏に一人の男が大きく影響したと推測する。

まず、皆さんに伺いたい。

「丸刈りの男性、かっこ悪いですか?」

たぶん今は、93年頃の常識だった“丸刈りダサい”イメージはあまり持たれないはず。実は「脱丸刈り革命」が浸透しつつあった1998年、世間の丸刈りのダサいイメージをガラリと変えた人物がいた。

誰かと言うと、ダウンタウンの松本人志さん。この人の影響力は絶対にあった。

松本さんが丸刈りにしたのは1998年7月のこと。奇しくも高野連の実態調査で丸刈り率が31%まで減った年だ。松本さんは、それまで前髪を垂らしたリーゼントっぽい感じだったが「長髪だと手間がかかる」という理由で丸っと坊主にしてしまった。

これには多くの人が驚き話題となった。それから毎日のように丸刈りの人気者がテレビに登場するようになると、世間の丸刈りいいね感が高まり、女子から「男らしい」「清潔感がある」と好感度も上がった。そしてスポーツ部員はもちろん一般学生、社会人でもにわか丸刈り男子がかなり増えた。そして忘れちゃならない、嫌でも強制丸刈りだった球児の救世主にもなったわけだ。

丸刈りの芸能人も増えた気がする。市川海老蔵さん、加瀬亮さん、窪塚洋介さん、さらにジャニーズ系のアイドルでも映画の役作りで丸刈りにしたら“カッコイイ”となった。EXILEのATSUSHIさんなど刈り込みや濃淡を付けたオシャレ丸刈りスタイルが飛び出すとトレンドに。芸人でも、タカアンドトシのトシさん、澤部佑さん、あばれる君、大悟さんなどの存在は丸刈りに親しみやすさも与えた。こうして世間の丸刈りのイメージはナチュラルになっていった。

高野連の実態調査の年とのリンクに誤差を感じるかもしれないが、丸刈りから開放されたい球児がすぐに戻すとは考えにくい。中学から高校へ、下から丸刈りに抵抗がない世代が上がってきたとすれば2003年前後から高校球児の丸刈り率が上がってきたのは頷ける。

再び嫌われた理由?

それが今の子どもたちにとって丸刈りはバッドイメージに変わったことになる。ふと思った。

「松本さん、今は金髪だ」

2014年11月に「白髪が目立って嫌」と金髪にした。そして今では丸刈りよりも髪が少し長い。

丸刈りのカリスマ・代表・象徴・番長が引退した。金髪の衝撃からもう5年が経とうとしているが、あれが大きかったのか!?… いや、あの脱丸刈り革命から25年以上経ち時代は一周したのだろう。長い髪がなくなる経験のない子どもにとってみれば、丸刈りは受け入れがたいに違いない。

部員にとって丸刈りはトレンド!?

今年の選抜高校野球出場32校の頭髪をチェックしたら全部丸刈りだった。去年の第100回夏の甲子園代表56校では、確認できただけで3校が丸刈りじゃなかった。

ただし、ここまで約25年の流れを考えると、おそらく丸刈りを強制している学校はあまりないと思われる。というのも、昨今、丸刈りは選手の間でちょっとしたブームになっているそうなのだ。

ある学校では数年前から「秋の大会後は髪を伸ばしなさい」と公言している。これは、髪を伸ばしたときの身だしなみを学ぶことも必要と考えてのことだが、しかし部員は春になると自主的に「気合を入れる」と言って全員丸刈りにする。

顧問が「別に丸刈りじゃなくてもいい」と言っても、大会前には部員がバリカンで互いを丸刈りにして一致団結している、そんな学校もあるそうだ。

更に、今や野球部だけでなくいろいろなスポーツ部で丸刈りにする学生が増えているという。実は、一度丸刈りを経験すると抵抗感が薄れ、逆に「髪が長いとウザい」「手入れが楽」「集中できる」などメリットを重視する声は多く、ちょっとトレンドになりつつあるらしい。

つまり、今の15歳前後に丸刈りをNOとする境目があるのだと思われる。

未来の野球のため

ともかく深刻なのはこれから先。“丸刈り嫌世代”がずっと続くのだ。

だとすると、高校野球部は、「丸刈りは強制じゃない」とか「頭髪は自由」という決まりではなく、冒頭で取り上げた新潟明訓高校のように髪を伸ばすことを強制する「丸刈り禁止」を明確に呼びかけなければ、ますます部員数は減り、野球人口は減ってしまうのかもしれない。

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この記事を書いた人

放送作家 石原ヒサトシ

放送作家 「クイズ雑学王」、「ボキャブラ天国」等 バラエティを中心にイロイロやってきました。なんか面白いことないかなぁ~と思いながら日々過ごしています。野球、阪神、競馬、ももクロ、チヌ釣り、家電、クイズ・雑学、料理、酒、神社・仏閣、オカルトなことがスキです。

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