今最も熱い邦画『さがす』を今最も熱い監督2名&『全裸監督』女優が今最も熱く語り尽くす

2022/02/21
石井隼人

現在公開中の日本映画で最も注目すべき作品『さがす』。その舞台挨拶が19日都内で行われ、出演者の森田望智、片山慎三監督、そして映画『ミッドナイトスワン』などで知られる内田英治監督が参加した。

指名手配犯を見たと告げた翌日、忽然と姿を消した父(佐藤二朗)と必死に父を捜す娘(伊東蒼)の姿を描いた本作は、すべての予想を裏切るストーリーが展開される唯一無二の衝撃作。すでに観客動員数4万人を突破し、興行通信社の発表するミニシアターランキングでは実写では4週連続となる第1位に輝く快挙を達成している。SNSや各メディア上でも絶賛評が相次ぎ、観客の後押しを受け、拡大公開中だ。

この日登壇した3人、実は全世界配信されたNetflixドラマ「全裸監督」(19)の繋がりでもある。同作では内田監督が演出、片山監督が助監督、森田はヒロイン・佐原恵美/黒木香役で出演した。

森田は『全裸監督』での助監督としての片山監督について「この役はどうすればいいか?どんな映画を観たらいいか?など親身に相談に乗ってくれて、よくアドバイスを貰いに行っていました」と全幅の信頼を寄せ、内田監督については「『全裸監督』のオーディションで内田監督に見つけてもらえなければ私はここにはいません!」と感謝しきりだった。

本作について「人間心理に潜む恐怖と、親子の純愛を見事に融合させた傑作。片山慎三の才能には嫉妬しかない。」とコメントを寄せるなど、『さがす』大激賞の内田監督。改めて「(森田の)役柄も作品も含め、正直『全裸監督』より面白い!」と手放し絶賛で「僕は片山のファン1号。前作『岬の兄妹』を見た時に“傑作ではないか!”と。あまりにも『岬の兄妹』が面白いので、これを超えるのは無理だろうと『さがす』を見たら…“超えとるやないかい!”と思った」と片山監督の底知れぬセンスに脱帽していた。

死に場所を探す女性・ムクドリを演じた森田は「自分とはかけ離れているという点で、ムクドリも黒木香も自分からキャラクターに寄せなければいけなかった」とアプローチ法を明かし「個性的な喋り方など片山監督のこだわりを活かしつつ、喋りは寄せるけれどモノマネにならず、演じる上では心が伴っていなければいけない。その点が難しかった」と演じる上での心境を解説。

劇中の森田について内田監督は「ムクドリが登場する海辺のシーンから期待してしまうというか、何をしでかすキャラなのか!?とドキドキした。サスペンス性という点では黒木香よりもムクドリの方が面白い」と太鼓判を押していた。

片山監督はムクドリというキャラクターを生み出すうえでは、森田の類まれなる存在感も大きかったという。「当初は暗くてボソボソ喋るようなキャラクターをイメージしていたけれど、森田さんに決まったときに“どうすれば面白くなるだろうか?”と考え、森田さんが演じることで別の意味も持たせたいと思った」とインスピレーションを刺激された様子。森田は「準備稿とは違い、決定稿の段階でムクドリの言葉使いも変わって、口が悪くなった」とキャラ変に驚いたようだが「単なる嫌な奴にするのではなく、心を持った一人の人間だと思ってムクドリを演じていきました」とこだわりを打ち明けた。

片山監督は、死ぬために積極的に行動を起こすムクドリの姿について「普通の人間では出せないようなエネルギーを死ぬために使うムクドリの姿を通して、逆に生のエネルギーが出ているように見えないかと思った。描いていることはネガティブだけれど、本人としてはポジティブな気持ちを持って目的に向かっている。そこに生命力を感じてしまう矛盾を感じてほしかった」と狙いを明かした。

内田監督は「暴力を伴ったサスペンス作品にはお客が入らないという現状がある中で、大ヒットしているのは嬉しい」と映画人として祝福。森田も「“陰”の部分を描きつつも、エンタメ性もドラマ性もあって、見れば見るほど何層にも見え方が変わるのが『さがす』の魅力。映画として面白いと思った作品が、このようにお客さんにしっかりと伝わっていることが嬉しい」と感動。片山監督は「公開してもうすぐ一ヶ月。満席で見てもらえていることが何よりも嬉しい。これからも『さがす』を広めてほしい」と映画ファンに訴えていた。

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石井隼人

映画好きエンタメ系フリーライター。「来るもの拒まず平身低頭崖っぷち」を座右の銘に、映画・音楽・芸能・テレビ番組などジャンル選ばず取材の日々。ありがたいことに映画作品のパンフレット執筆、オフィシャルライター&カメラマンを拝命されたり、舞台挨拶の司会をしたり…何でもやります!

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