ブームになり、たしか流行語大賞にもノミネートされていた「もしドラ」こと、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』。2009年に発表、200万部を超えるベストセラーになり、映画化もされております。
その原作小説の作者といえば、岩崎夏海様でございます。秋元康様に師事、放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』等の番組を担当、さらに、AKB48のプロデュースにも関わっていたことでも話題になっておりました。
その岩崎夏海様は、今、何をしているのか…なんと出版社の社長でございます。それも老舗児童書出版社の岩崎書店のでございます。実は岩崎様の祖父が岩崎書店の創業者で、2016年に社長に就任、会社を引き継いでいらっしゃいます。
そんな岩崎様が最近編集を担当した絵本が今年1月に発売されております。岩崎様が大人にも読んでもらいたいとの思いで担当された絵本でございます。
それがこちら!
「いきもの特急カール」(作・絵 木内達朗)
こちらの絵本、絵がとにかくゴイスーでございます。木内達朗様はニューヨーク・タイムズのイラストレーション、さらに、ペンギン・ブックスの書籍装画など国際的に活動されている国際派でございます。もちろん、ボローニャ国際絵本原画展、アメリカン・イラストレーション年鑑等入選などの経歴も。もちろん、絵本もアメリカ・日本でたくさん出されております。
この絵本は、そんな世界的イラストレーターの木内様による21世紀型新感覚機関車絵本でございます。ちなみに、岩崎様の発注コンセプトは、「機関車トーマスに次ぐ永く続く機関車絵本」。主人公の機関車カールは列車を引っ張ることのできる大きくて不思議な生き物。ある嵐の日、山崩れで閉じ込められた人々の救出を依頼されるという近未来の物語でございます。
この絵本、最初の1ページに大きな特徴がございます。なんと、スターウォーズを彷彿させるプロローグがございます。プロローグなるものを絵本では初めて体験いたしました。この辺りも大人を意識した造りかと。さらに、絵本では漢字も使われております。もちろん、ルビが入っておりますが、絵本では、こちらもかなりめずらしいことかと。
イラストが、とにかくカッコよいのでございますが、さらにゴイスーなのが木内様のこだわりでございます。影の方向性も全ページに渡り計算しつくされております。太陽の位置を設定した上で描かれております。見返しに地図があるのでご確認くださいませ。ちなみに、車窓から見える風景も是非、地図と照合して頂きたいのでございます。正確に描かれているのが分かるはずでございます。
最後にもうひとつ、「いきもの特急カール」トリビアを、駅のフォームの天井の絵は、取り壊される前の東横線の渋谷駅をモデルにしているとか。こちらも是非、ご確認くださいませ。
「もしドラ」作者が編集を担当した、イラストがとにかくカッコいい大人絵本、「いきもの特急カール」、是非、一度ご体験くださいませ。
(文:N田N昌)