保活の季節を終えて…あらためて知っておきたい!待機児童はどうして減らないの?

2017/12/26
マガジンサミット編集部

4月入園を希望する園児のママにとって10月~12月は“保活”の季節。来春の入園にむけて保育園のリサーチ、見学、各自治体の保育課へ書類を取り寄せるなどの活動がはじまります。なかには、まだ誕生していない子どものために保活をするママもいます。

認可保育園に預けられるのは生後57日以降から。(労働基準法により母体保護の観点から産後8週間は産休を取る必要を定められている)1月中に誕生予定ならばギリギリ間に合う計算です。

通知が来るのは翌年の2月頃。しかし、希望する保育園に入園できれば万々歳! 10件以上に申込みをし、やっとの思いで入園にこぎつけたり、あるいは全滅したりすることも珍しくありません。

なかなか改善されない待機児童問題ですが、なぜ、少子化なのに保育園や保育士さんが足りないのか疑問に思ったことありませんか。

実は、保育士を目指す人は多く、平成28年度の保育士受験申請者数は7万人以上。過去10年間、その数は増えつづけています。…不足しているならば園を増やせばいいのに?しかし、問題はそんなに簡単ではないようです。

そこで今回は「週4日正社員」「時短正社員」「遅番なし正社員」「早番シフトなし正社員」など保育士の「働き方改革」にいち早く取り組んだ企業として注目されている『マミー・インターナショナル』代表取締役、伊藤勝康氏にご協力いただき、待機児童問題と保育士不足についてお話しをうかがいました。

 

少子化なのに、なぜ保育園が足りないのか?

伊藤:まず、保育園にはいくつか種類があり、児童福祉法に基づいて設置された「認可保育園」、各都道府県が独自に定めた基準を満たした「認証保育園」、そして、それ以外の「認可外保育園」に分かれます。公費の補助がうけられる「認可保育園」を作るのにはかなりの制約があり、園児1人に対してのスペースや、確保すべき保育士の人数※がしっかりと決まっています。

 

0歳児は3人につき、職員数は1人以上

1歳児、2歳児は6人につき、職員数は1人以上

3歳児は20人につき、職員数は1人以上、

4歳以上児は30人につき、職員数は1人以上 

 

乳児室またはほふく室:0歳児および1歳児1人あたり3.3m2

保育室等:2歳児以上1人あたり1.98m2

屋外遊技場:2歳児以上1人あたり3.3m2以上(保育所外の公園等を含む)※

 

以前は、開園するのに必要な園児数は60人以上でしたが、それでは、あまりにも新規参入条件のハードルがたかく、保育園が増えないため、政府は「子ども・子育て支援新制度」(2015年度)を新たに設け「小規模認可保育園」が誕生しました。

「小規模認可保育園」の定員は6~19名。3つの事業形態があり、それぞれに認可基準が設けられています。少人数保育なので、敷地も従業員もそれにあわせた規模ですみ保育園を新設しやすくなったものの、なったら、なったで保育士さんが足りない!という問題に直面することになりました。

そこで、国をあげて50万人以上いるといわれている、保育士免許をもちながらも現在は保育士として働いていない“潜在保育士”の掘り起こしを始めたのですが…なかには「正直、給料が上がっても保育士に戻りたくない」という声もあります。

 

 

保育士の心のケアーが大切

保育士さんには「保育士資格をもっていれば働き口に困らない」「自分の子育てにも役立つ」などのイメージがあり、実際にその通りの職業だと思われます。しかし、いちど現場を離れてしまうと復職を迷う人が多いのが現実です。

保育士さんはじめ保育園を営む者は、子どもの命を預かるという責任のある仕事をしています。日本は以前とくらべ共働きの保護者がふえ、保育時間の延長にくわえ、食物アレルギーの対策、幼児期の語学教育など、さまざまなリクエストに応えなければなりません。そんな保育士さんたちには、なによりも心のケアーが必要です。

そこで、マミーでは新人保育士さんに現場の技術指導はもちろん、プライベートの相談などメンタル面のサポートをする「ブラザー・シスター制度」を設け “心のささえ”に気を配っています。

 

マミーのホスピタリティー

私は若いころ、単身渡米しオハイオ州で羊飼いの労働をしていたことがあります(笑)。英語もろくに話せない私は、まるで奴隷のような扱いでした。半年過ぎたころ、なんとか喋られるようになり「ぼくの自由はどこにある?」と聞いたのが会話の最初。次の日から劇的に労働環境が変わりました。話せる環境、聞いてあげられる環境って大切なのですね。自らの経験をふまえて、マミーの従業員とは定期的に一対一で語りあう場を設けるなど、希望や悩みを話しやすい環境であることをこころがけています。

もうひとつ大切なこととして、マミーでは“定年”を設けていません。体力のある新人保育士さん。経験のあるママ・パパ保育士さん。そして知恵のあるおばあちゃん保育士さん……それぞれのチカラが現場には必要なのです。ちなみに、今までの最高年齢は81歳の方。皆さんのバックボーンに応じたシフトを組み、働きやすい職場をめざすことが質の良い保育環境をうむのです。

 

「放課後支援事業」に積極的に参入

マミー・インターナショナルが力を入れている事業として、小学1年~6年生を対象とした「放課後支援事業」があり、江東区を中心に民間の業者としては最大規模の11ヶ所を営んでいます。

放課後支援事業とは、厚生労働省及び文部科学省が連携して策定した「放課後子ども総合プラン」に基づき、文科省所管のすべての子どもを対象に、両親が共働きの家庭以外の子どもでも参加できる「放課後子供教室」と、保護者が労働等により昼間家庭にいない児童に、適切な遊び及び生活の場を提供する厚労省所管の「放課後児童健全育成事業」(いわゆる学童クラブ)を包括的に運営する事業です。

この事業では、指導員と呼ばれる保育士さんや教員免許を持った方が付き添います。我々はさまざまな形で保育士さんのチカラを必要としており、また、保育士さんにとっても保育園だけが務め先ではありません。ご自身の環境にあった場所や働き方で、ぜひ、活躍の場を広げていただきたいです。

 

従業員のためにマミーはある

保育現場は、労働集約型であるのに奉仕の精神は当然とばかりに保育士さんのメンタルや仕事環境は省みず、理不尽な残業や仕事を平気でおしつけてきたのではないでしょうか。

出典http://www.mommy-int.co.jp/

 

マミー・インターナショナルの企業スローガンは“Mommy, always there for you”(マミーはいつも人のためにあります。)です。この“人”の第一は従業員のこと。保育士さんを含め従業員たちが、遣り甲斐をもてる職場であるのは当然。できれば、プライベートも充実したものであってほしいと思っています。今、この国の保育や福祉の現場に大切なものは、仕事に従事する方々のココロの余裕ではないでしょうか。

 

■株式会社マミー・インターナショナル(Mommy International Inc.)

平成6年3月(マミー保育センター茅ヶ崎設立)設立。

従業員数、400名

認可保育所、マンション内保育施設(東京都認証保育所)など8施設を中心に、放課後子ども教室11ヶ所、指定管理事業(千田福祉会館・児童館、江東区・青少年交流プラザ(平成29年4月開設)、マミー・インターナショナル マニラ校など、保育・福祉事業を幅広く運営する。※平成28年4月現在

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