子どもから高齢者まで、歯の健康から社会にコミットする

2023/05/31
マガジンサミット編集部

 大阪で開設されているクレモト歯科診療所の院長であり、同院の母体である医療法人時和会の呉本勝隆氏は、大阪大学大学院歯学研究科での研究生活を経て、インプラントと根管治療の経験豊富な専門医となったかたわら、法人の代表として先進的な歯科医療経営を行っている。クリニックをはじめとした施設の強みや、歯科業界の課題、患者への思いについて話を聞いた。

クリニック・法人の強み

 私が院長をしているクレモト歯科診療所では、インプラントと根管治療に重きを置いています。根管治療とは、虫歯になった歯の根元の感染を取り除き、歯自体は保存する治療です。インプラントは歯を抜いて人工歯に入れ替えるのですが、私は両方の専門医資格を持っていますので、歯を抜くか、それとも抜かずに保存するかの判断を客観的に行うことができると考えています。

 また、法人としては、保育園を2施設ほど経営しています。なぜ歯科クリニックを経営しながら保育園も経営しているかというと、まず小さな子どものときから歯を診ていきたいからです。もともと歯並びが悪いお子さんもいますし、口呼吸や指しゃぶりなどの癖があって歯の成長が阻害されるお子さんもいます。私としては、歯が悪くなる前の上流の部分で予防していきたいという思いがあり、保育士さんと協働しながら、歯の部分では私たち歯科医が診ていきたいと考えています。そういった歯科医療を行っているところはなかなかないでしょう。

歯科業界の現状と今後

 歯科業界におけるホットトピックスは、やはり治療のデジタライゼーションではないかと思います。今までは歯科医の経験に頼っていた技術、例えば私が専門とするインプラントでも、数ミリ単位で誤りのない治療をはじめ、人工歯を作る際も口腔内の3D画像をとり、コンピュータがセラミックを削り出して自動的に作ることができるようになっています。当法人もいかにデジタライゼーションに投資するかについて、優先順位をつけて判断をしながら経営を行っています。

 もう一点は、教育については課題があると思います。今までの歯科業界は、経験のあるベテラン歯科医が新人を教えるという体制でした。ただ、そうすると指導に時間がとられ、クリニックの運営にも支障が出ます。ですから当法人では、新人教育のカリキュラム動画を作成しており、一人でも多くのスタッフが理解できるよう教育の標準化を目指しています。とはいうものの、研修に労力やコストをかけなければ人は育ちません。外部講師を招いたり、ときには休診をしてその時間に勉強会を行ったりして、教育の質を担保するようにしています。

患者様への思い

 最初に、私は子どものときから患者様を診ていきたいとお話ししましたが、高齢者の方においても、健康寿命を延ばすためにぜひ歯科にかかっていただきたいと思っています。歯の状態の悪化から全身的な疾患のリスクも高まりますし、また食べたいものをおいしく食べるという生活の質にも関わってきます。歯の健康をいかに意識するかによって、健康で長く幸せに生きていけるかを左右するといっても過言ではありません。

 そう思うのは、歯並びを直したことで人生が明るくなったという方や、ご高齢でもインプラント治療を行って90歳を過ぎても健康に暮らしている方など、さまざまな患者様との出会いがあったという背景があります。

 また、自分の子どもが生まれるまでは、いかに悪くなった歯を治療するかということばかり考えてきました。しかし、子どもが生まれたことで、やはり子どものときから予防を行っていくことが重要であると改めて気付がされました。お子さんからご高齢の方まで、それこそ社会全体にコミットできるような歯科治療をこれからも行っていきたいと考えています。

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