かつて日本では高級食材の一つとして、庶民からも憧れられていたフルーツ、パイナップル。今ではすっかりおなじみのもの、女子には堪らないスイーツの定番として使われるなど、多くの人に親しまれています。
ですが、もしこのパイナップルが単に“甘くておいしいフルーツ”というだけでなく、健康や美容に最適な食べ物と聞いたら、いかがでしょう?意外にもこれまで検証されていなかったパイナップルと健康・美容の関係について、株式会社ドールが運営する「バナナ・パイン研究所」が、初めての臨床試験を実施、その結果発表が7日に、東京にて行われました。
■見直されるパイナップル
そもそも、今なぜパイナップルなのか?それはかつて食と健康の意識として考えられた「食べ過ぎない」「毒になるものを摂取しない」という考えなどから「栄養に気をつかう」という「守りの栄養学」から、近年「どれだけ能力を高められるか」「どれだけ健康の維持ができるか」といった「攻めの栄養学」に人々の意識が移行してきたことが発端となります。
1990年代にはアメリカ国立癌研究所によって癌を予防するために、フィトケミカル(植物化学物質)を特定し、加工食品に加える目的で開始された計画「デザイナーフーズプログラム」がスタートしました。この計画の中で、植物や果物を主に食べる人は、平均寿命が長い傾向にあることがわかり、 健康や美容に影響するビタミン、ミネラルといったものが注目されるようになりました。
中でもパイナップルは、抗酸化作用やコラーゲンの生成を担うビタミンC、便通によい作用を与える食物繊維、さらに美肌効果があるというグリコシルセラミドなどを多く含み、これらを摂取することで健康や美容によい影響を与えると考えられます。これらのことを踏まえ、パイナップルを定期的に摂取した場合の、健康や肌の美容に対する効果を実証する今回の実験が行われることになりました。
■意外に少ない糖分の影響、加えて健康や美容にも効果!
今回行われた試験では、便秘気味の日本人女性35名を対象に、パイナップルを毎日100g摂取、これを4週間続け、血液検査と共に肌や排便状況などに関するアンケート、及び腸内細菌叢の解析により、健康増進効果を調査しました。
今回の実験は、機能性食品・特に酸化ストレス制御食品開発研究の第一人者である名古屋大学名誉教授の大澤俊彦先生を中心に、美容に関しては皮膚のプロフェッショナル、医療法人財団 青輝会 アオハルクリニックの院長を務められる小柳衣吏子先生が参加されて実施。小柳先生は「美肌」「美容」という観点での考察に力を発揮されています。
結果、肌の改善や排便に関しては「有意に改善した」という傾向が確認されました。美肌と言う面では肌の調子、キメ、うるおい、シミなどといった面に関して、排便に関しては回数や便量、スッキリ感などに効果が出た模様。また腸内の善玉菌増加などの効果も確認され、健康/美容効果によい影響を与えるという総括を得ています。
一方でフルーツには糖分、という心配事がつきもので「逆に悪い影響はないの?」と躊躇されるかもしれません。しかし今回被験者の定期的な血液検査で、特に異常はみられなかったとのこと。健康科学者の本田由佳先生によるとパイナップルのカロリー量は、100gで53kcalと少なく、逆に食事の上で毎日100gのパイナップル摂取では、他の食物を合わせて必要カロリーを補う格好となります。
また、今回は試験の対象項目ではないですがパイナップルには必要なミネラルの一つ、マンガンの含有量がフルーツの中では最も高く、ミネラルを補うという面でも効果が期待できるようです。
一方、この日は管理栄養士の二宮真樹先生による、「パイナップルを毎日100g摂取する」ために“パイナップル 100gチャレンジ”メニューの紹介なども行われました。こんな料理があったのか!?と目からウロコですが、実際に食べてみると、とてもおいしい!皆さんも興味があれば、是非パイナップルに改めて注目してみてはいかがでしょうか?
パイナップルとアボカドのワカモレ レシピ
〈材料〉
アボカド 1個
パイナップル 100g
赤玉ねぎ 50g
パクチー 5g
すりおろしにんにく 3g
塩 小1/2
レモン 10g
青唐辛子 少々
〈作り方〉
1. パイナップルと赤玉ねぎは、さいの目切り、青唐辛子は みじん切り、アボカドは皮をむき、種を取って 適当な大きさに切っておく。
2. ボールにアボカドを入れ、フォークでつぶしながら、 全ての材料を混ぜ合わせる。