
都市部のマンション化が進む現代、多くの家庭で「防災備蓄の収納スペース不足」が深刻な課題となっている。株式会社ストレージ王は、この課題に着目し、トランクルームを「第二の備蓄庫」として活用する「分散備蓄」を提案する。限られた住空間の課題を論理的に解決する同社の取り組みと、そのビジネスの本質に迫る。
住空間の限界が招く防災危機を「外部化」で解決する逆転の発想
近年、都心部を中心にマンション居住者が増加する一方で、居住スペースの限られた環境が防災上の大きな壁となっている。災害時に推奨される備蓄量は、飲料水だけでも1人1日3リットル、4人家族の1週間分で84リットルに達する。
さらに、排水設備損傷時に不可欠な携帯トイレは同条件で約140回分が必要となり、これらを限られた住空間にすべて保管することは、家庭によっては大きな負担となる。多くの生活者が「備えの必要性は理解しつつも置き場所がない」というジレンマに直面していた。
こうした都市生活の構造的課題に対し、従来の「すべての荷物を自宅内に収める」という固定観念を打破するアイデアとして生まれたのが「分散備蓄」という考え方である。発災直後の数日間を凌ぐ最優先の資機材は自宅に配置し、長期化する避難生活を支える追加の食料や衛生用品、大型の防寒具などを外部施設へと切り離す。生活空間を圧迫することなく十分な備えを可能にするこのアプローチは、都市部の収納不足に対する一つの解決策として提案されている。
確固たる建築基準と目的別収納ノウハウが生み出す安全基盤
外部施設を備蓄庫として成立させるには、トランクルームの環境の安全性と保管品質が不可欠となる。ストレージ王では、屋内型施設はもちろん、一部のコンテナ型施設では、必要な建築確認を受けたうえで設置している。屋内型店舗ではフロア空調や換気設備、断熱材を備え、防犯カメラやシステム錠、警備会社との連動によるセキュリティ体制を構築している。
さらに、ハード面にとどまらず、整理収納アドバイザーの知見を活かした運用ノウハウの提示も同社の強みだ。無料の収納シミュレーションを提供することで個々の生活に最適化された再現性の高い保管環境を実現している。


個人の荷物置き場から地域を支える強靭な「社会インフラ」へ
単なる荷物の保管場所から「暮らしのインフラ」への進化を目指す同社の見据える未来は大きい。巨大災害の発生時には、道路の通行止めや停電により、外部の備蓄庫へ即座にアクセスできないリスクも存在する。そのため、トランクルームを防災備蓄に活用する際には、自宅からの距離や移動経路、家族間での利用方法の共有など、災害時を想定した準備も重要となる。
ストレージ王では、こうした留意点も踏まえながら、トランクルームを日常の収納だけでなく、防災備蓄の選択肢として活用する考え方を提案している。限られた住空間を補う方法の一つとして、それぞれの生活環境に応じた備えに役立つ可能性がある。今後も、収納サービスを通じて防災に役立てる方法を模索していく。
トランクルームを防災備蓄に活用する「分散備蓄」は、限られた住空間を補う方法の一つである。発災直後に必要なものは自宅に備え、追加の食料や衛生用品などを分けて保管することで、日常の生活空間と災害への備えを両立しやすくなる。利用にあたっては、施設までの距離や災害時のアクセス方法なども踏まえて検討することが大切だ。

■取材協力:
株式会社ストレージ王(https://www.storageoh.co.jp/)
コーポレートサイト(https://www.storageoh.co.jp/)
坂上正洋
株式会社ストレージ王にて、トランクルーム事業の経営企画、広報、サービス設計に携わる。整理収納アドバイザーとして、収納改善や空間活用に関する専門知識を生かし、自社メディアをはじめ、外部メディアにおいても収納や防災に関する記事の執筆・監修を担当している。「専門知識をわかりやすく、暮らしの中で活用できる形で伝えること」をテーマに、収納改善、防災備蓄、分散収納など、日々の暮らしに寄り添った情報発信を行っている。







