移住に憧れる人が増えているそうです。都会から離れ、自然が身近にある暮らしをしてみたい、住宅価格の安いところで温泉に入りながら暮らしたい、農業をしてみたい、など、今より時間にも心にも余裕がある日常を望んでいるようです。実は自治体のなかにはそんな人たちのために「お試し移住」として、さまざまなプランを設けているところがあるのです。
人気ナンバーワンになった山梨県
私の故郷は山梨県で、2016年度の移住希望地で1位となったところです(NPO法人ふるさと回帰支援センター調べ)。なぜ人気かというと、東京に特急で2時間かからず到着するほどよい近さと、富士山がよく見える景観の良さ、さらに水がおいしいと評判らしいです。フルーツ王国と言われるほど果樹園やワイナリーが多く、陶芸の工房も多く、ちょっと知的にワインや陶芸を楽しめるのも、魅力なのでしょう。
地元の人間からすると、やはり富士山が自慢です。静岡側のなだらかなラインとは違い、いくつもの山に囲まれた中から頭を出す姿は、雄々しくたくましく、叱咤激励されているような気分になり、頑張ろうと思えるのです。高原野菜が新鮮で美味しいのも密やかな誇りですし、意外にも日本一寿司屋の軒数が多い県であり、美味しい店がいくつもあるのも隠れた魅力といえるでしょう。
魅力的なお試し移住
最近は若手の移住希望者が増えています。近頃はふるさと回帰支援センターへの相談の約半数が20〜30代なのだとか。地方自治体の受け入れも活発で、東京の銀座には移住・交流情報ガーデンがあり、移住についての相談ができるほか、そのウェブサイトでは全国1300を超える自治体の情報が掲載されています。『Discover Japan』2018年3月号の特集記事は、いろいろな自治体の移住体験プランです。
荷物のすべてをまとめていきなり田舎に移り住むのはかなりリスキーなもの。慣れないうちは、知り合いもいなくて孤立したり、田舎の濃密な人間関係に疲れてしまうなどという可能性もあります。なのでまずはお試しで短期間の移住体験プランを設ける自治体がいくつもあるのですが、なかには無料で宿泊までできるおトクなものもあるのです。
往復無料プランも!
たとえば、函館に近い北海道せたな町では、往復航空券や宿泊費、現地でのレンタカー代まで無料の2泊3日の体験ツアーを行っていますし、福島県田村市では1泊300円でシェアハウスに2ヶ月まで宿泊してお試し移住することができます。何度か通っているうちに自然と地域の人たちと親しくなれるよう工夫されたプランも少なくありません。
自分がどんな暮らしをしてみたいのかをまず考え、それにフィットする場所をたくさんの候補地から探してみるのもいいかもしれません。