皆さんは今朝、朝ごはんを食べましたか?この日、朝ごはんを食べずに取材をした私は、そのことをとても後悔することになりました。
ホテルオークラ東京で2月16日、海外メディア向けレセプション「和朝食:その魅力について」が開かれました。これは公益社団法人米穀安定供給確保支援機構が主催するもので、日本の優れた和朝食文化とその重要性を海外メディアに認知、告知してもらうことを目的に実施されたものです。
当日は複数の海外メディアが来場し、和朝食の健康性に関する講演や日本のホテル、旅館で提供される和朝食の紹介などに、耳を傾けていました。
片手に「ご飯」があり続ける日本の食卓
講演会では神奈川県立保健福祉大学学長で、栄養学の権威として知られる中村丁次氏が登壇。「和朝食は、なぜ健康長寿に優れているのか」をテーマに話をしていました。
中村氏は「日本がまだ貧しい頃、ビタミン欠乏症などで人は健康ではなかった。しかし、どんなに豊かになり食生活が変化しても、片手に『米』を持つ食卓というのは変わらなかった」と語ります。
戦後、著しい経済成長を遂げた日本。栄養価の高いものが輸入され、食生活も欧米化されていきました。しかし、米を食べる文化は変わらなかったのです。日本の朝食のスタンダードは、米を中心とし、主菜副菜や魚、牛乳、発酵食品などが並びます。味付けは食材をそのまま活かした「出汁」が基本です。だから、高エネルギー、高脂肪の欧米食が入ってきても、バランスが取れたのです。
「今では朝食はオムライス、夕食は中華料理など多様化されています。しかし、どのメニューにも米がある。このおかげで、完全な欧米食にはならず、現在の和食が形成された」と中村氏。
また、和食が海外から評価される理由については「南北に伸びる日本には海、山、畑などが豊富で四季もある。自然と融合した食文化だから、体にも環境にも優しい。そこが評価されている」と解説していました。
日本人の「ごはん」=「食事」
東京を中心に英語雑誌を発行しているメトロポリス誌は、「訪日、在日外国人の満足した日本のホテル・旅館の和朝食」の調査結果を報告しました。
同編集部の調査結果によれば、外国人が和朝食を選んだ理由は「美味しいから」が56.3%、「健康的だから」が50.5%だったとのこと。
編集部のライター、マンディ・リン氏は「日本の朝食には自然への尊重が表現されている。新鮮で、見た目が美しいところも外国人は感心している」と話していました。ホテルが出す朝食について、訪日外国人は「盛り付けが綺麗で食べるのがもったいない」「食材だけでなく食器にも旬を感じる」と言った感想が聞かれたそうです。
また、マンディ・リン氏は日本人の「ごはんを食べる」は「食事をする」とイコールであることに着目。外国人にとってみれば「ごはんを食べる」は「ライスを食べる」です。「それだけ日本の食卓に米が出るのは当たり前のこと」とマンディ・リン氏は述べていました。
恵まれた和朝食、摂らないと後悔するかも…
「和食」は2013年、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。観光庁が昨年「訪日外国人消費動向調査」をしたところ、「訪日前に期待すること」の69.9%が「日本食を食べること」でした。それだけ和食は、海外から注目、評価されているのです。特に和朝食を摂ることは、外国人にとってみれば理想なのかもしれませんね。
ところが近年、朝食を抜く人が増えています。厚労省の2015年の調査結果では朝食の欠食率は男性が14.3%、女性が10.1%となっています。また、30代男性は25.6%で、4人に1人が朝食を食べていません。
中村氏によると朝食を摂らない事で「午前中の脳の働きが不十分になる」「1日の生活リズムが崩れる」「まとめ食いの要因となる」「太りやすくなる」といったことが起こりやすくなるそうです。
恵まれた日本の食文化。「朝ご飯」の重要性について、私たち日本人も深く考えないといけないのかもしれません。
※和朝食を試食する海外メディア関係者