「今年の1枚」はアメリカ・メキシコ国境で泣く2歳の女の子…2018年の決定的瞬間を捉えた報道写真ギャラリー開催

2018/12/20
佐藤 勇馬

報道向け写真などのビジュアルコンテンツを提供している「ゲッティイメージズ」が、2018年の報道写真の中から「ニュース」「エンターテイメント」「スポーツ」「ダイバーシティ&インクルージョン」「オリンピック」のカテゴリ別に、2018年の “決定的瞬間”を収めた写真を展示する「Year in Focus(イヤー・イン・フォーカス)2018 Gallery」を開催。開催初日のイベントでは、2018年の世界を象徴する印象的な「今年の1枚」が発表された。

「今年の1枚」に選ばれたのは、6月に撮影された、アメリカの国境警察の取り調べを受ける母親の横で泣くホンジュラス人の2歳の女の子の写真。同社代表取締役の島本久美子さんは「この写真が多くのメディアで取り上げられた結果、それまで亡命申請中は子どもと大人が何カ月も別々にされる方針だったのですが、家族の場合は一緒に過ごせるように変わりました。写真一枚が世界に影響を与えうるという良い例です」と理由を説明。たった一枚の写真が世界を変えることがあるという、その影響力の大きさが決め手となった。

クレジット 973077510,John Moore/Getty Images

また、NTTデータによる脳科学と人工知能を組み合わせた技術「NeuroAI by NTT DATA」が選んだ「今年の1枚」も同時に発表された。選ばれたのは、今年9月に撮影された「イエメンで戦死した男性の遺体を野戦病院の安置所で見ている友人」の写真。NTTデータは「『恐ろしい』『空しい』といったネガティブな印象と、『繊細』『尊い』などのポジティブなイメージの両方を一番強く持ち合わせている写真」と選出理由を説明した。

クレジット 1042243084,Andrew Renneisen/Getty Images

さらに、ニュース、スポーツ、エンタメなどカテゴリ別の「今年の1枚」がそれぞれ選出され、そのほかに「今年多くダウンロードされた写真」が発表された。「今年多くダウンロードされた写真」のグローバル部門には、4月に米カリフォルニアで開催された音楽フェスに登場したビヨンセ・ノウルズの堂々たるワンショットが選出されている。

クレジット 946416208,Kevin Winter/Getty Images for Coachella

日本部門では、6月のサッカー・ワールドカップロシア大会の「日本対セネガル」戦で2点目となる同点ゴールを決めて歓喜する本田圭佑選手、大迫勇也選手、柴崎岳選手の写真が選ばれている。

クレジット 982884402,Clive Rose/Getty Images

イベント後半には、島本さんとゲッティイメージズ所属フォトグラファーのカール・コートさんによるトークショーが行われた。島本さんから「なぜリスクのある場所に取材に行くのか」と問われると、カールさんは「災害や戦地の現場に光を当て、その場にいる人々の苦労を世界中の人に届けたいからです」と説明。実践的なシミュレーションなどを通して、危険地帯でのリスクマネジメントを強く意識していると報道写真現場の裏側を語った。

今回選出された作品は、東京都港区の新虎通りCORE「THE CORE KITCHEN/SPACE」で18日から21日まで開催中の「Year in Focus 2018 Gallery」(開場時間11:00~23:00)で展示される。入場は無料。今年を象徴する数々の写真に囲まれながら、世界的にも激動の年となった2018年を振り返ってみてはいかがだろうか。

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佐藤 勇馬

新宿・大久保在住のフリーライター。個人ニュースサイト運営中の2004年ごろに商業誌にスカウトされて以来、芸能、事件、ネットの話題、サブカル、漫画、プロレスなど幅広い分野で記事や書籍を執筆。著書に「ケータイ廃人」(データハウス)「新潟あるある」(TOブックス)など。 Twitter:ローリングクレイドル

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