「IT×医療福祉」で世界初の地域モデルを実践 株式会社ドットラインが考える最先端のビジョン

2022/07/19
マガジンサミット編集部

今回お話しを伺ったのは千葉県No.1の事業所数の医療福祉企業である株式会社ドットライン代表取締役の垣本祐作さん。真の“人々の幸せ”を追求する最先端のビジョンについて語ってくれた。

■企業理念「幸せの循環創造」

垣本さんのこれからのビジョンは、会社の理念である「幸せの循環創造」に基づくものだという。「人の幸せとは何だろう?」と考えたとき、「幸せ」は人それぞれ異なるが、「不幸せ」は人類共通ではないか。その「不幸せ」をなくすことからスタートすることが、幸せの循環創造に結びつくという考え方を持っているという。ITやAIなどの最新テクノロジーがあれば幸せかといえばそうではない。テクノロジーはただの人類の不幸せをなくすための手段でしかなく、あくまで人間の幸せを中心に考えるべきであるという。

最も重要視しているのは「身近な人=自分の家族、友人・地域」。その身近な人の不幸せを消すことが幸せの循環創造になると考えた。実家が千葉県千葉市ということもあり、事業も千葉市でスタートしたと話す。

まず、どのような事業を始めたのか、それは、人にとっての一番の不幸せである「命」の問題。「人が命の危機にさらされている状態」が不幸せだととらえ、それを解決することが最も重要であり、急務だと垣本さんは話した。それは2025年問題、超少子高齢化社会に直面している日本の課題でもある。こうした背景から千葉市内で訪問介護事業を始めたという。

医療福祉事業における同社の強みは、制度的な縦割りや専門職の知識・経験と考え方の違いなどから大きく隔たりがあった医療・看護・リハビリ・介護・住まい・生活支援をワンストップでつなげている点だという。ケアプランを作るケアマネージャー、在宅の訪問介護や看護ステーション、医療の訪問診療といったあらゆるサポートをシームレスな体制で行えるようにしている。ITなどを駆使して、いかにグループでの情報共有をスピード速くするかというところを工夫しているという。

病院死から在宅死へのシフトの考え方が広がる中、同社は「在宅で最期を迎えたい」という意思を叶えたいと思っており、24時間365日の看取りができる状況の構築も行っているそうだ。

そしてこの事業は、「社会保障の持続可能性」を考えると、国全体の社会保障費の削減になるという面もある。

■ヒーローにあこがれて

「幸せ循環創造」のうち、1番大事なのは「命」という考え方は、祖母が亡くなり、訪問介護をやりたいと心から感じた垣本さんの原体験からきているという。

もともと垣本さんは、大学で福祉を学んでいた。志望理由は日本での世界でも類を見ない超少子高齢社会を解決すれば日本のヒーローになれるという想いからだった。アルバイトで在宅介護を経験する中、勤務先の社長から経営を学んだのが刺激となった。大学卒業後はさらに経営を学ぶために、大手人材派遣会社に就職したが大企業の体質に合わず、すぐに退職。起業を目指し、資金作りのために平均年収の高さからボートレーサーを目指し、合格率わずか2%のボートレーサー養成所入所試験を一発で合格。その後、狭き門の合格経験を活かし、入所試験予備校を立ち上げ、ほぼ同時期にIT事業にも参入し順調に資金を増やしていった。しかし、その過程で「ITでは日本を救えないし、本質的に人を幸せにできない」とも感じ、やはり人の命にかかわることが最も幸せにつながると考え、祖母の要介護状態の実体験を通じて医療福祉事業へ考えが戻っていった。

日本で唯一世界に対抗できる伸びる市場は、医療介護福祉分野しかない。だからこそ何かしらのアクションを起こすべきであり、世界最先端の事業の構想がすでにあると垣本さんは話す。

■中期目標「プロジェクト10」とは

垣本さんは新しいビジョンとして「プロジェクト10」の構想を話してくれた。その目標は「令和“10”年12月までに一万人の社員を雇用する(“10”thousand HERO)」「“10”億円規模の経営マネジメントができる人材を100人輩出する」だ。

これらの目標は、既存の日本の少子高齢化社会の問題を解決するために行う。現在の社員数は約1000名。令和10年、つまり6年後には“10”倍に増やすべく、積極的に採用活動や広報活動を行っている。

そして、世界初の地域モデルをつくるための方法論として地域の独自メディアの創出とテクノロジーの活用だと垣本さんは考えている。

先に命の問題が最大の不幸であると述べたが、不幸を生み出すのは「孤独」と「お金」の問題である。つまり孤独とお金の問題から人類を解放することが人を幸せにすることにつながると考えた。誰一人孤独にならない、お金に悩まない社会にするという価値観を実現する世界初の地域モデルのミッションが、この地域メディアの構想である。

具体的には、Webメディアの構築を行い、コミュニティの場、助け合いのカルチャーをつくる。そして助けた人、地域にいいことをした人に、地域通貨のようなものを発行するしくみにする。地域の店が無料で、ポイントを使えるなどする。そうすれば孤独とお金の問題が同時に解決に向かう。

また、実際、困っていることは、行政で解決できるものも多い。しかし情報発信におけるわかりづらさから認知がされておらず、より易しい表現で身近に感じられる情報発信する役割を同社が担う。行政とつながり、共に行っていく想定だ。「自分の周りの人たちを仲間だと信頼して、好きだったら、僕は結構幸せだと思う」と垣本さんはまとめる。

この地域で独自の経済圏をつくることは、はじめての試みではないかという。まずは地元の千葉で様々なモデルに成功したら、次はそれを日本全国へ広げていく。さらにその次は日本モデルとして海外へ輸出する。

垣本さんによれば、すでに日本は、最新テクノロジーの領域では、圧倒的に負けていてGAFAなどの世界企業にどう考えても勝てないという。日本には今後、人類がいまだ経験したことのないレベルの少子高齢社会があり、直接的に貢献できる医療福祉業界にベンチャースピリッツを持った若者が少ないのは、おかしい。この分野こそ最前線であるということを発信していき、良い若い人材を確保したいと述べた。

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