コンサルティングや研修を通して、組織開発や人材育成の支援を行なっている株式会社HRインスティテュートの代表取締役 三坂 健さん。新たな産業と雇用を生み出すリーダーの創出が不可欠という考えについてお話しを伺った。
先ずは株式会社HRインスティテュートの事業内容について聞くと、まもなく創業30年を迎える会社で経営コンサルティングからスタートし現在は組織開発や人材育成の支援をメインに行なっていると三坂氏は話す。企業向けの組織開発・人材開発を目的としたコンサルティングや研修を行なっているが、コンセプトとして「プロセス・コンサルティング」を掲げており、クライアントが成果を導くためのプロセス設計を支援し、そのプロセスを辿ってもらいながら成果を創出するアプローチを行なっている。その過程を通じて組織開発と人材育成を支援するのが特徴だ。こうしたプロセス・コンサルティングのアプローチを当社ではワークアウトと呼んでいる。
また、研修を行う上で、通常は営業と研修の講師を行う人が異なる会社が多いが、当社の特徴はコンサルタント自身がお客様の課題を引き出して、研修プログラムを設計して登壇・研修までを一貫して行う。そしてお客様と成果を確認しあい、新たな課題を発見し、更に提案をするというコンサルティングの中に研修を位置付けている。それにより研修を、よりクライアントの実態を踏まえながら経営課題、組織課題と結び付けて行うことが可能となる。
続いて、新たな産業と雇用を生み出すリーダーの創出が不可欠という考えについて三坂氏に聞くと、次のように教えてくれた。
ミクロでみると、企業は売上を上げて、利益を出し、社員の給料を増やし、株主をはじめとするステークホルダーに還元するのが日々の課題で必要なことだ。そのことに対して各企業は時間と知恵を出して取り組んでいる。それで業績が上がれば株主からも喜ばれ会社も潤う。ただその視点だけで考えているとすぐに結果が出やすい事業や答えが見えているところに時間とリソースを使うことになってしまう。それは、既にどこかがやっていることを再現することにつながることが多い。例えば、アメリカがうまくいったら同様に日本でも行なってみる。ある会社が行なって成功していたら別の会社が真似をするということだ。それで、上手くいっている時代はよかったが、昨今は技術が入れ替わるスピードも速まり、中国や韓国、アジアなどの競争相手も増えている。従来型の短期的な問題解決的なアプローチを繰り返しても中長期で見ても成長につながりにくくなっている。
その時に当社のミッションである「主体性を挽き出す」を改めて考えると、目の前の問題を解決したり、求められていることに答えたりすることは当然だが、それ以上に10年、20年、もっと言えば30年先を考えて企業やお客様、そして市場に対して価値のあるものを提案していく必要がある。世界と渡り歩いていけるような技術やプラットフォームを開発できる人材を育てていく。そしてそのような人が組織の中で生きやすい環境をつくってあげることが、私たちのミッションだと思っている。社会においてそのような人や組織の割合を高めていくお手伝いをしていくことが結果的には次の産業をつくることに繋がるのではないかと思っている。
このように、新たな産業と雇用を生み出す人材の創出には目の前の課題だけでなく先を見通したビジョンの立て方が大切になってくると三坂氏は話す。