昨年、児童書の「ざんねんないきもの事典」が大ヒットいたしました。「せつない動物図鑑」「泣けるいきもの図鑑」など同じようなコンセプトの本も続々登場しております。
これらの本は大人にも大人気でございます。図鑑、辞典は年齢を問わず知的好奇心をくすぐるのでございます。書店、図書館にいくと、様々なジャンルの辞典、図鑑がラインナップされております。そのバリエーションたるや凄まじいものでございます。
「てにおは辞典」、「コーヒー辞典」、「健康ことわざ辞典」「モノの呼び名辞典」「モノの名前大図鑑」「知っておいしい肉辞典」「猫グッズ図鑑」「大和言葉つかいかた図鑑」「美味しいマイナー魚介図鑑」「切り身の図鑑」…。
そんななか、絵本作家が描いた「図鑑」というものもございます。図鑑でもあり絵本でもあるような…、不思議なポジションでございます。しかし、確実に面白いのでございます。大人が楽しめるユニークで楽しい図鑑でございます。
「クレヨンで描いたおいしい魚図鑑」(作:加藤休ミ)
こちらは今年1月に出版されたばかり。できたてホヤホヤでございます。作者は、人気絵本作家の加藤休ミ様でございます。クレヨンとクレパスを用いた独特の画法と迫力あるタッチで有名。食べ物をリアルに美味しそうに描かせたら右に出るものはいない絵本作家様でございます。
そんな加藤様が描かれたのが、こちらの図鑑。大人にも子どもにも、もっと魚を楽しんで欲しいと、おいしい魚たちを描いた作品でございます。あまりのクオリティに、焼き魚は香ばしい匂いまでしてくるのでございます。「わざわざクレヨンで描く意味あるの?写真でいいんじゃないの?」と、思われた方、いらっしゃるかと思います。
答えは、写真より「美味しそう」だからでございます。是非、手に取ってお確かめくださいませ。この図鑑を片手(おかず)に白飯が食べられるレベルでございます。
「わくせいキャベジ動物図鑑」(作: tupera tupera)
こちらは、地球から831光年はなれた銀河のかたすみにある「キャベジ」という架空の惑星に住む不思議なキャベジ動物たちの図鑑でございます。作者は、「しろくまのパンツ」「パンダ銭湯」などの作品でもお馴染み、人気絵本ユニット、tupera tupera様でございます。
図鑑に登場する動物達は、tupera tupera様らしく、どれもポップで「ひょっとしらたいるかも。いて欲しい」と思えるキュートなものばかりでございます。
チョコっとだけご紹介すると…。
まるでしりとりな「リンゴリラ」、トマトの体を持つブタの「トマトン」、「ウマパラガス」などなど。ネーミングも凝っております。各ページに書かれている<生態・特長>も読み応えあります。(長いのではなく凝っております)さらに、架空の惑星にもかかわらず、生息する地域まで記されております。細かいところまで面白がりどころ満載の図鑑でございます。
絵本作家が描いた図鑑、是非一度ご体験くださいませ。
(文:N田N昌)