2020年度より個人むけ火災保険が値上ることが発表されました。参考純率の値上げは3年連続となり、今回は2005年の8.7%を上回る全国平均10.9%という過去最大の値上げ幅となります。
近年、国内で大規模な自然災害が頻発していることを受けた大幅値上げのわけですが、あらためて日本は自然災害大国であり、火災保険や家財保険の加入は私たちの生活に必要な選択であることを認識させられます。
火災保険加入は8割。しかし…
実際にどれだけの人が火災保険に加入し自然災害に備えているのでしょうか。株式会社ジュピターテレコムのグループ会社であるジェイコム少額短期保険株式会社(以下、ジェイコム少額短期保険)が行った、ミドル世代(30~40代)の男女523名の持ち家世帯を対象にした「災害、生活への備えに関する実態調査」によると、持ち家世帯の火災保険加入率(建物への補償)は全体の約8割にのぼる一方で、家財保険(家財への補償)は未加入または「加入を把握していない」が5割以上いることが分かりました。
また、災害時の備えが「食料、飲料、水の備蓄」と回答した世帯は5割を超え、生活再建のための保険加入や貯蓄をしている人は約2割に留まるという結果に。「災害への備えを十分している」と回答したのはわずか1%であり、全体の5割強が、備えが不十分であると認識しているそうです。
家財保険で補償される範囲はどこまで?
ひとたび大規模災害に見舞われると、被災時だけでなく、その後の生活再建に大きな影響が及ぶことを私たちは日常、想像しにくいものです。
備え・防災アドバイザーの高荷智也氏は家財保険に加入する世帯が少ないことについて、災害を受けた後まで考えが及ばない以外に「家財=家具・家電というイメージが浸透し、本来補償されるはずの範囲が正しく認知されていないのも「家財」に補償をつけない割合が多い理由の一因ではないか」と説明します。
ちなみに、火災保険や家財保険において補償となる家財の範囲は「生活用動産」といわれ、一般的に“家の中で動かせるもの”は補償の対象となります。衣類や身の回り品(靴、バッグ、アクセサリー、腕時計など)、寝具(ベッド、布団、まくらなど)、台所用品(食器、調理器具など)はもちろん、趣味・娯楽用品(釣り具、ゴルフ用品、楽器、ゲーム機、本、DVDなど)も含まれます。
防災はライフスタイルの一環
高荷氏は、「防災対策には“ここまで行えば大丈夫”という基準がなく終わりが見えない。命を守るための準備…家選び・家具の固定・避難場所の確認などはある程度集中して行うべきだが、生活を守るための準備…防災備蓄などの対策は無理をせず、出来る範囲のことを“続けていく”ことが大切」とアドバイスします。
つまり、食料備蓄にせよ保険加入にせよ、“防災専用”と決めてしまうよりも、日頃から活用できて災害時にも使えるプランを選ぶといったように、防災をライフスタイルの一部と考えることで、長いスパンで有事における対策をたてる必要があるわけです。各保険会社もそのような生活サポート型のサービスを拡充しており、例えば、上記のアンケート調査を行ったジェイコム少額短期保険では、火災や自然災害、盗難などが原因で家財が損害を受けた際に再調達するための費用だけでなく近隣トラブルに備える補償とサービスを組み合わせた「持ち家あんしん保険」(月額700円~)といったプランを今年6月から始めています。
火災保険、家財保険は住宅ローンとイコールではない
2022年度から参考純率が値上げされるとともに※、適用期間も最長で10年から5年へと短縮される見通しです。そのため、これからは火災保険、家財保険の契約期間が住宅ローンとイコールでない場合があることを踏まえる必要があります。※実際に参考純率をどのように使うかは各保険会社により異なる。
もはや火災保険や家財保険は“万が一”のために備えるサービスではなく、頻繁におこる自然災害とその生活再建、騒音、異臭、ペット問題といったご近所トラブルなどにも対応してもらえる“生活救済サービス”として捉えるべきなのかも知れません。火災保険の大幅値上げは、火災保険や家財保険の契約内容を見直してみる良い機会といえるでしょう。
参照:ミドル世代の持ち家世帯に対する「災害、生活への備えに関する実態調査」
全国の30~40代の男女523名※以下に該当する方/ご自身の住居形態が持ち家(戸建、分譲マンション)であること。/また、回答者のご両親(実父・実母)の住居形態が持ち家(戸建、分譲マンション)であること。[調査期間]2021年4月30日(金)~5月6日(木)[調査方法]インターネット調査(株式会社インテージ「マイティーモニター」利用)詳細:https://www.jcom.co.jp/service/ssi/house/