読書の秋。
“そういえば…”と以前耳にしたニュースを思い出し、ある物を手に入れようと公共の図書館へ行った。しかし残念ながらソレはなかった。
ソレというのは「読書通帳」。
“遅れてんな~”と思いつつネットで情報を調べてみたら、思ったほど普及していなかった。つまり今これを読んで「読書通帳って何?」と思っている人も多いってことだ。
読書通帳とは?
出典:http://www.uchida.co.jp/
読書通帳とは、図書館で作ってくれるもので、発行された通帳を銀行のATMのような専用マシンに入れると、借りた本のタイトルと貸出日付が印字されるというもの。
また、借りた本の定価まで印字され、”購入したならいくら分を借りたか”という値段まで分かるという。図書館でナンボ得したかが分かる仕組みはちょっとお得感が出て面白い。もちろん、このマシンを導入している図書館じゃないとこの読書通帳は作ってもらえない。
読書通帳は、2010年に公共機関を対象とした機械メーカーの株式会社内田洋行が開発し、山口県の下関市立図書館に導入したのが始まり。下関市立図書館ではすでに約2万人以上に通帳を発行している。
知のマイレージ?
ターゲットは特に子どもだ。通帳は子どもが食いつきやすいアイテムといえる。
まず、銀行の通帳に似ているだけで大人ぶるステイタスにもなる。そして、読んだ本が通帳に書き加えられて行くのは、ラジオ体操のハンコが貯まる感覚に似てきっと楽しいだろう。「今まで本を読まなかった兄弟の兄が、弟の読書通帳を見て図書館へ通うようになった」というエピソードもあるとのこと。子供の心はくすぐられる。
本を読むと、想像力、表現力、論理力がアップするなど、メリットの多さは無限大ともされる。小さい頃から読書を習慣づけることにデメリットはないと言ってもいい。子どもと読書をつなげるアイテムとして、読書通帳は一気に全国の図書館へ広がると思っていた。ところが、調べてみた結果が意外だった。
現在、読書通帳の機械が導入されているのはわずか12の市町だけ(台数ではない)。
普及しにくい理由
やはり、コストの問題が大きいみたい。なんと読書通帳のマシンは一台約500万円!近くの図書館に問い合わせたら「検討中です」とテキトーな答えが返ってきた。
一台500万円は高い買い物かもしれないが、大阪府八尾市では4ヶ所の図書館に導入し、市内の中学生に通帳を無料配布したところ、利用者が約2倍にアップ。兵庫県西脇市の西脇図書館では、市の人口4万2千に対し2万冊の通帳を無料配布。老若男女の利用者が増えた。例えば高齢者にとって読者は認知症予防にも効果はあるはずだ。
読書通帳に変わるもの
図書館業界に携わる人で、この読書通帳の存在を知らない人はいないはずだ。
「評判は聞いている、でも500万円は出せない」そこで図書館も考えた。似たような手段で子どもに読書を習慣づけようと考えたわけだ。パターンは主に2つ。
【記録シールを貼るパターン】
羽村市図書館HPより
東京都羽村市図書館では、オリジナルの「読書手帳 よむちょ」がもらえる。
借りた本の記録をシールにして手帳に貼り付けるというもの。この“お薬手帳”に似たタイプを道入している図書館は増えている。
【自分で書き込むパターン】
東金市HPより
千葉県東金市東金図書館では、オリジナルの読書通帳を無料配布。自分がどんな本を読んだか、感想などを書き込んで記録する。50冊読破すると記念品がもらえる。
このように、借りた本を記録できるシステムを取り入れている図書館は、わかっているだけで50以上もある。図書館を利用して沢山本を読んだ子どもは学力にどんな影響、効果が表れるかデータを取ってみれば良いと思う。