【プロフェッショナルスケートボーディングリーグ/PSL】謎のベールに包まれた全く新しいコンテストの動画が公開

2025/02/03
放送作家 小嶋勝美

Instagramより @pslskateboarding

以前からスケートコミュニティで話題になっていた新スケートボードリーグ「プロフェッショナル スケートボード リーグ(Professional Skateboarding League略してPSL)」のエキシビジョンマッチが、1月25日にカリフォルニア州ロサンゼルスで開催され、ナイジャ・ヒューストン&ザック・サラシーノが優勝。

この大会の全編映像が2月1日(現地時間)に公開された。会場には観客に混じってオリンピック2大会金メダリストの堀米雄斗が姿を見せるなど、トップスケーター界隈でも注目度の高い大会だったことがうかがえる。

【PSLのルールと成り立ち】

PSL解説映像

(YouTube:https://youtu.be/IrGN1aeAzpI?si=45Cc95qL4KWMtajD)

このリーグはアメリカのレジェンドスケーター、マイク・モー・カパルディが発案するスケートコンテストで、これまで行われてきたオリンピックやストリートリーグなどとは一線を画すフォーマットが注目されており、主なルールは以下の通り。

・個人戦ではなく2人1組によるチーム戦。
・得点を評価するジャッジはおらず、トリックの成功か失敗を判定する審判のみがいる。つま先やかかとが軽く地面につく程度ならOK。
・セクションは1つ(今大会はダブルセットのステア)。
・コイントスで先行と後攻を決め、オフェンスが行なったトリックをディフェンスチームが2人とも失敗したらオフェンスに1点が入る(1つのトリックに2回とも同じ選手がディフェンスすることも1試合につき2回までは可能)
・1つのラウンドにつき、オフェンスは3回ミスしたらオフェンスとディフェンスが入れ替わる。両チームのオフェンスが終わった時点で次のラウンドに移る。
・上記を5ラウンド繰り返し、得点の高かったチームの勝利。
・5ラウンド終了時点で、同点の場合はサドンデスで勝敗を決める。

要は、野球やサッカー(もしくはバスケなど)のようにルールを知らなくても、ポイント加算制にしてどっちが勝っているかをわかりやすくし、より観客が白熱できるようにしたかったとのことで、「誰が見てもわかりやすいシンプルなスケートボードコンテスト」といったところ。

出場選手もストリートリーグ最多優勝者のナイジャ・ヒューストンや、大人気ブランドのプリミティブを手掛けるポール・ロドリゲス、スケーターオブザイヤー(SOTY)に輝いたマイルス・シルヴァスやジェイミー・フォイなど、否が応でも注目を集める豪華な顔ぶれが揃った。

さらに今後の出場者リストにはSOTYスケーターが他にも数人いるとマイク・モーがインタビューで答えており、ルールも2人1組から、ベンチ選手を追加したり、チームの人数を増やしたりする構想があるとのこと。
そして、このリーグの構想は約8年前から練られていたという。

今回の出場選手は以下の通り。
ポール・ロドリゲス&ダショーン・ジョーダン組
マイルス・シルヴァス&アート・コルドヴァ組
クリス・ジョスリンが怪我により欠場し代わりに召集されたジェイミー・フォイ&ローマン・ハガー組
ナイジャ・ヒューストン&ザック・サラシーノ組

【記念すべきエキシビジョンマッチの模様】

PSLエキシビジョンマッチの映像

(YouTube:https://youtu.be/O_oqK69Mook?si=Lo6-ks3HzfrbOhV3)

エリック・コストンによるオープニングトリック(始球式ならぬ、始弾式といったところか)のスイッチヒールフリップ(残念ながら着地で失敗)で幕を開けたPSL。

第1試合はポール・ロドリゲス&ダショーン・ジョーダンVSマイルス・シルヴァス&アート・コルドヴァによる対決となった。

※ instagramより @pslskateboarding

会場となったスケートパークはポール・ロドリゲスのプライベートパークということもあり、序盤はポールチームが圧倒する展開だった。しかし、4ラウンド最後にマイルス・シルヴァスチームが逆転。
その後、5ラウンド目に先行のポールチームが3本続けてトリックを外してしまい、マイルスチームの大逆転で試合を終えた。

※ instagramより @pslskateboarding

第2試合はジェイミー・フォイ&ローマン・ハガーVSナイジャ・ヒューストン&ザック・サラシーノによる対決。ナイジャチームは1ラウンドで5点差をつけ、3ラウンドでは一時8対1と大きくリード。

しかし、最終の5ラウンドでジェイミーチームがナイジャチームの苦手とする、インポッシブルや、フェイキーワンフットオーリーなどのトリックを仕掛け、9対8まで追い詰める。しかし最後はローマン・ハガーがオーリーレイトショービットをミスしてしまい、ナイジャチームが逃げ切っての勝利となった。

決勝はマイルスチームVSナイジャチーム。
こちらはナイジャチームが終始ゲームをリードし、10対0で勝利。初めての大会を制した。

【PSLを観戦してみて】

オリンピックもストリートリーグもX Gamesもタンパプロも見飽きたなんていうスケーターはいないと思うが、新たなコンテストのフォーマットというのは見ていてとても新鮮だった。

ルールはスケーターなら誰もが知っているS・K・A・T・Eゲームに似た形でわかりやすいし、普通の大会ならみんな自身の磨き上げた得意トリックを披露するところだが、このゲームのルールでは相手の得意トリックを返さないといけないというところが見どころで、ナイジャはこのトリックが苦手なのか〜、やジェイミー・フォイは意外とこれ出来ないんだ!?など、これまでの大会を見てきた人にとっても面白い見かたができる大会なのではないかと思う。

まだ始まったばかりの大会なので、素人目から見て、例えばデッキやシューズのスポンサーごとにチームを組めば盛り上がりそうとか、もっとこうすれば、ああすればとか言いながら見れるのも面白いところか(もちろんそんなアイデアは何百、何千とこすられてきたに違いないのだが)。
ともあれ、このまったく新しい形のスケートコンテストは、今後ますます注目を集めることになりそうだ。

文 小嶋勝美
スケートボード放送作家のスケーター。

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放送作家 小嶋勝美
この記事を書いた人

放送作家 小嶋勝美

お笑い芸人として活動後、放送作家に転身。 スポーツ番組やバラエティ番組などに携わる傍ら、20年以上続けている大好きなスケートボードのライターとしても活動。 コンテスト記事の他、スケボーの情報や面白い発見を伝えていくと共に、スケートボードが持つ素晴らしさを多くの人に広めていきたいと思っています

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