トラウマ級に怖いと絵本「たべてあげる」がTwitter、ネット上で話題になっておりますが、実は、同じ「食べる」をモチーフにした知る人ぞ知るトラウマ絵本があるのをごぞんじでしょうか…
タイトルは、「くいしんぼうのあおむしくん」。
「くいしんぼうのあおむしくん」(作:槇ひろし 絵:前川欣三)
どんなお話かというと、ある日、男の子が空と同じ色をした虫を見つけます。あえて、「あおむし」、「青色の虫」と言っていないところが、のちに「なるほどね…」「やられた!」と思うオチにつながるのですが、そこは読んでのお楽しみでございます。
男の子は、そのあおむし君を飼うことにしたのですが、とにかく食いしん坊で、男の子のおやつまで食べてしまいます。しかし、そのあおむし君の食欲はそんなものでは満たされません。男の子のクレヨンなど家にあるものをバクバク食べ始めます。そこで、親は「そんなむし、捨ててきなさい」と。
しかし、優しい男の子は、捨てられません。ご近所さんに協力してもらい、町中の家庭ごみを食べさせました。そして、町中の家庭ごみを食べきったあおむし君はどんどん巨大になり、さらに「おなかが減った。もっと食べたいよ。死にそうだよ」と。食欲のレベルは、話題の『たべてあげる』を遥かに超えております。
そして翌日、男の子が目を覚ますと、自分の布団以外は何もありませんでした。あたり一面広大な空き地になっていました。まさかとお思いでしょうか、そのまさかでございます。町ひとつをぺろりと一晩でたいらげたのでございます。協力してくれた町の人たちや男の子の親までもペロリ、でございます。
その後、さらに過激な展開が…。まさか、そこまでは…という読者のハードルをことごとく越えていきます。『たべてあげる』では、主人公が食べられてしまいますが、こちらは、…。是非、読んでご確認くださいませ。
ちなみに、こちらの絵本の裏表紙にはこのような記述が「3才~小学校初級向き」。……
そして、もうひとつ! 余談ですが…。
タイトルの「くいしんぼうのあおむしくん」ですが、よーく見ると「はらぺこあおむし」とかぶっているのでは…。そう思われた方もいらっしゃるのでは。
そう、世界で累計3000万部を超える世界的な絵本作家エリック・カール様のベストセラー絵本『はらぺこあおむし』と、意味的にはかなり似通ったタイトルでございます。「青虫がバクバク食べる」とモチーフまでも同じ。もちろん、内容は先ほどお伝えした通りまったく別物でございまが…。
まさか、この作品は『はらぺこあおむし』のオマージュ!?調べたところ、気になる双方の出版年数ですが…。
「くいしんぼうのあおむしくん」は、1975年10月1日付で「こどものとも」として発行されております。一方、「はらぺこあおむし」は、1969年に出版。しかし、日本で出版されたのは1976年。なんと、「はらぺこあおむし」より、わずかに早いのでありあす。
…にしても、なにか因縁めいたものを感じてしまいます。
「くいしんぼうのあおむしくん」。こちらのトラウマ絵本も是非、ご体験くださいませ。(文:N田N昌)