未解決事件の関係者のその後を描く映画『赤い雪 Red Snow』(2月1日公開)

2019/01/30
マガジンサミット 儀保

今回は2月1日公開の映画『赤い雪 Red Snow』をご紹介します。

本作は誘拐事件を扱ったサスペンス作品です。しかも30年も前の誘拐事件。でも、その肝心の誘拐事件の全容が解らないんです。そこが本作の肝。

 

30年前の誘拐事件からスタート!!

男の子が誘拐されて30年。男の子も見つからず、事件も時効。迷宮入り。それでも、まだ一人で関係者へ聴き込みをしているルポライター(井浦新)がいます。

ルポライターが訪れたのは、行方不明になった男の子の兄である漆職人の孤独な男(永瀬正敏)。彼は、今でも、弟が行方不明になったのは自分のせいじゃないかと悪夢にさいなまれています。

そしてもう一人、ルポライターが訪れた人物がいます。男の子の足取りが消えた辺りのアパートに住んでいた女(菜葉菜)。当時はまだ子供で、母親との二人暮らしでした。彼女には母親から酷い虐待を受けていたトラウマが。現在は旅館の掃除婦をしてるんですが、客の金を盗んだり、初老の男と住んでたり、ルポライターにも塩対応。何かを知ってるっぽいけど何も話さない。

そんな男女が出会ったとき、30年前の誘拐事件の真相が徐々に明らかになっていきます。

 

2人の男女の人間ドラマが同時進行!!

前半は、30年前の事件の概要が解らず、話が追えないんです。でも、安心してください。徐々に解ってきます。ちょっとややこしい事件です。誘拐事件の真相を追っているのに、旅館で働く女の生活も謎で、さらにそっちでも興味を引っ張ります。ダブルミステリーです。

 

豪華ダブル主演のキャスト!!

事件の真相を知ってるとおぼしき女を演じるのは、菜葉菜。なんと前半、30分くらいセリフ無し!!表情のみで感情を伝える芝居が素晴らしいです。さらに、暴力的かつ簡素で全然気持ちがピンクにならない濡れ場シーンを体当り熱演!!

トラウマを抱えた漆職人を静かに演じるのが、ミステリー長篇映画『64 -ロクヨン-』やアメリカ映画『パターソン』と国内外での活躍を続ける永瀬正敏。本作では、自分のトラウマと向き合う為、ルポライターと共に事件の真実を探し始めます。常に感情を表に出さない静かな男なんですが、中盤で押さえ続けてた感情がスパーク。とんでもない行動に走ってしまいます。普段、静かな人が突飛な事をすると怖いですね。その信憑性を見事に表現しています。

 

脇も豪華共演陣!!

その他、事件を調べるルポライター役に、『ニワトリ☆スター』や『止められるか、俺達を』など2017年は4本の作品に出演した井浦新。好奇心旺盛なキャラを好演。どんどん調べていくうちに1番、酷い目にあってしまいます。

また、菜葉菜の演じる女と同居している初老の男を佐藤浩市。過去の事件にも関わりがあるっぽいけど、ラスト近くまでサッパリ正体の解らないキーマンを熱演!!女好きのアル中という隣人としては怖いけど、サスペンス映画のキャラとしては100点の人物です。

 

どんな方にオススメかと言うと……

重厚な人間ドラマ+ミステリー展開のコラボ技が巧みな本作。

全体的にグレーがかった現在のシーンの画面。セピア調の過去の回想シーンの画面。タイトルにもある"赤"だけが鮮明に栄える演出。ゆえに、雪の降る幻想的な画作りとマッチして、おとぎ話のようなテイストも。

ちょっとダウナー過ぎる作品ではありますが、重ためサスペンス好きorサスペンスだけじゃなく人間ドラマも確りとした作品が好き……という方にはオススメの一本です。

映画『赤い雪 Red Snow』は2月1日より公開です。

Ⓒ2019「赤い雪」製作委員会

ギボ・ログ★★★☆☆(星3つ)

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マガジンサミット 儀保

表の顔はディレクター兼カメラマン。実は、年間700本の映画を観賞する映画好き。どんな作品でもオススメのポイントをピックアップ。映画好きから、普段、あまり映画を見ない方にも、幅広い映画の楽しみポイントをご提供できればと日々邁進中? 映画関連tweetも日々、更新してます @yungibo

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