
漫画家・荒木飛呂彦氏による大人気コミックを原作にした劇場版シリーズ最新作『岸部露伴は動かない 懺悔室』(5月23日全国公開)。4月15日には都内で完成報告会見が実施され、主演の高橋一生、共演の飯豊まりえ、玉城ティナ、大東駿介、井浦新、そして渡辺一貴監督が出席した。
約70秒に渡るメイキングPVが上映されたのち、キャスト&監督がステージ上にラインナップ。人の心や記憶を本にして読み、指示を書き込むこともできる特殊能力を持つ人気漫画家・岸辺露伴役の高橋は「5年の月日を経て、ようやく完成いたしました。原作の最初の話である懺悔室の映像化ですが、満を持してこのステージに来たか、という感覚で身が引き締まる思いです。これほどまでに『岸部露伴』の世界観に溶け込んでいる迷宮のようなヴェネツィアの風景とキャスト&スタッフが作り上げた世界観が融合し、一つの大きな作品になっている事を喜ばしく思います」と手応え十分だった。

露伴の担当編集で露伴の取材にいつも付き添う泉京香役の飯豊。原作には登場シーンがないため「ちゃんと出れました!」と声を弾ませて笑わせて「この作品を届けたい、という気持ちでヴェネツィアに行きました!」と報告した。ヴェネツィアの迷宮に露伴が迷い込むきっかけとなる仮面職人マリア役の玉城。「実写化のファン、そして原作ファンも沢山いて、その中で原作には描かれていないキャラクターを担うのにはプレッシャーがありましたが、それ以上に楽しそう!というワクワクが勝りました」と気合十分だった。

ソトバを誤って死なせてしまったことで、不気味なほどの”幸運“に襲われる呪い“をかけられてしまった男・水尾役の大東。「出演は念願でした」といい「台本からすでにオーラが出ているような作品で、いざ現場に参加してみたらなぜ僕がそう感じたのか、その理由がすべてありました。まさに幸せの絶頂にいるような感覚で、全編ヴェネツィアでのロケということもあり、気を抜くと幸せを感じてしまう。それを押し殺す作業が難しかった。そんな現場でした」と笑わせた。
懺悔室で露伴に自らの犯した「あやまち」を告白する謎の男を演じた井浦も、原作及び実写版の大ファン。ゆえに「推し活しているような感じでドラマも映画もファンとして楽しんでいたので、そんなファンである自分が聖域に入っていく感覚が苦しく、好きすぎて具合が悪くなるような感じでした。それこそ“推し”の皆さんがいるところに入っていくわけですから、本読みも緊張して皆さんの顔が見えなかった」と嬉しい悲鳴を上げていた。
前作に引き続きメガフォンを取った渡辺監督は、本作について「本シリーズの実写化は毎回ミッション:インポッシブルですが、中でも今回はミッション:インポッシブル中のミッション:インポッシブルだった」と表しながら「大きなハードルが沢山あった作品でしたが、イタリアの現地クルーが心から我々を迎え入れてくれて、ある意味で日本にいる時よりも仕事がしやすいぞ!?と思うくらいでした。ただ彼らは本番中もずっと喋っているのでそこは大変でしたが…」と明るい雰囲気での充実したヴェネツィアロケを紹介していた。

日本映画として初めてとなる、全編ヴェネツィアロケ。ヴェネツィアの印象について高橋は「街並みを見ても車も自転車も走っていないし、道行く人々を含めてすべてが異国。パリとは違う閉塞感があって、路地に入って広場に出るとそこから道が枝分かれして…。原作通りに鳩が多いし、日本と変わらない鳩のはずなのにヴェネツィアの石畳にいる鳩を見ると、荒木先生が描いている世界だと思えた」と異国情緒に感動。散歩中には大東の撮影現場に遭遇したそうで「見学しようとひっそり行ったらスタッフさんに『カメラはやめてください』と言われて『僕です』と…。今まで徒歩15分で岸部露伴の現場に行ける贅沢を味わったことがなかったので、後ろの方でニヤニヤしながら『露伴の現場だあ』と客観的に見ていました」と明かすと、高橋の見学に気づいたという大東は「いざ近寄って見たら、高橋さんは浮かれていた。温度差違うなと思った」と暴露して笑いを取っていた。