今回、ご紹介する映画は、YOSHI、菅田将暉、仲野太賀が主演の大森立嗣監督の新作映画「タロウのバカ」でございます。9月6日公開でございます。
本題に入る前に、大森立嗣監督をご存知でございましょうか。弟は俳優の大森南朋さま、父親は、前衛舞踏家で俳優の麿赤児さまでございます。
さらにご説明させて頂くと、昨年公開された「日日是好日」の監督でございます。
故・樹木希林さまと黒木華さまが共演、黒木さま演じる主人公、典子が茶道を通して生きる喜びに触れ成長していく様を描いた作品でございます。何か大きな事件、出来事が起こるわけではございません。一般の女性の人生に起こるごく平凡な日常、出会い、別れをごく自然に描いた作品でございます。
この作品を観て大森立嗣監督ファンになられた女性の方も少なくないのでは…。
その大森監督の新作「タロウのバカ」が、ゴイスーにバイヤー(ヤバイ)なのでございます。「日日是好日」の監督の作品だからと思って観たら、大変なことになること、間違いナッシングでございます。
小生も、「日日是好日」が好きだったので、楽しみにしていたら…でございます。
最初の感想が「狂ってるなぁ」でございます。刺激強すぎでございます。レイプシーン、〇〇シーンなど多数。過激で重いのでございます。特に女性の方には要注意でございます。
よく、「〇〇監督のファンだから」と監督で観る映画を決める方、多いと存じますが、大森監督作品は要確認でございます。振れ幅がハンパないのでございます。
あの会田誠さんでさえ、この作品にこんなコメントをされております。
「日本の時代状況に対する監督の危機感と怒りに満ちた、気合いの入った映画。
良い意味ですが、かなり精神にダメージを食らいました。心して観ましょう」と。
たしかにデートには不向きかと存じます。が、観て欲しい映画でございます。
振れ幅はゴイスーですが、ドキュメンタリー映画のようなリアリティは共通しているのではないかと…。自分の何キロか先で、この物語が起きているように感じられるリアリティでござます。そこは大森監督の最大の魅力ではないかと。
振れ幅ということで言うと、「日日是好日」は、森下典子のエッセイ「日日是好日─『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」の映画化でございましたが、新作「タロウのバカ」は、大森監督がデビュー作として構想していたオリジナル脚本を15年あまり温め続けてきた渾身の作品なのでございます。
なので、内容に振れ幅があるのは、しょうがナッシングなのでございます。
詳しい内容は、他の映画サイトでご確認くださいませ。家族や社会から弾きだされた刹那的に生きる少年たち描いた純粋で超過激な問題作でございます。むき出しの人間が絶望の世の中を疾走する、そんな物語でございます。
今の日本、信じられないような事件、犯罪が起こっております。その報道を見て「なんで?」と思うこともしばしばでございますが、この作品を観ると、こんな現実も存在しているのか…、なるほど、あの事件、犯罪の当事者はこんな環境にいたのかもしれない…、だから起こったのか…、と信じられない犯罪や事件の背景が理解、体感できてしまうのでございます。
目をそむけたいけど、自分の何キロ先では、実際に起こっているかもしれない、そんな現実を体感できる映画でございます。
出演者(YOSHI、菅田将暉、仲野太賀)の名前、監督の前作に騙されて観たら、
とんでもないことになる問題作でございます。
でも、今、観るべき映画なのでございます。今、そこにある危機を感じて欲しいのでございます。
『タロウのバカ』
9月6日(金)より、テアトル新宿ほか全国ロードショー
配給:東京テアトル
(c)2019「タロウのバカ」製作委員会
(文:絵本トレンドライター N田N昌)