SDGsや円安、物価高騰などの影響でさまざまな場面でコストダウンや省エネに注目が集まっている。そんな中、三和建装株式会社は約20年前から省エネ改修工事に力を入れており、2023年には中衆司社長直轄で省エネ推進課を発足。世間のニーズを先読みし、20年培った知見やノウハウを活用して業界トップを目指す中社長の思いに迫った。
20年間培った知見がビジネスとして実を結ぶ
弊社は1978年の設立以来、「住む人の暮らしを豊かにすること」をビジョンに掲げて、多くの集合住宅や公共施設の大規模修繕工事を手掛けております。そんな中、政府が掲げる2030年目標や2050年目標に対し、中小企業として何かできることはないかという思いから、約20年前より省エネ改修工事に力を入れています。20年ほど前からNPO法人日本外断熱協会などの団体に入会し、技術や知識を学んで知見を広げていたのですが、ビジネス的にはなかなか実を結ばず何度も「やめようか」と思いながら細々と続けていました。
そんな中で、SDGsや円安、物価高騰などの影響から世の中が「改修工事後のランニングコストも考えた方がいい」という風潮に変わってきて、省エネ改修工事についてたくさんの方に興味を持っていただけるようになりました。例えば、断熱工事を施すことによって寒い時は室内を温かく、暑い時には室内を涼しく保つことができるため、エアコンの消費電力を抑えられます。つまり、建築費はかかりますが長い目で見ればランニングコストを抑えることができるのです。
CO2削減、電力消費削減といった社会貢献という面に加え、我々工事屋はただ工事をするだけでなく、これからはお客様の光熱費の削減まで踏み込んだ工事をしていくことが大切なのではないかと考えています。
補助金を活用して資金面でもサポート
技術だけでなく、補助金を活用した工事計画をご提案させていただいており、資金面でもサポートさせていただいております。単に補助金といっても、国土交通省や経産省、環境庁といった省庁と自治体によっても違うので、申請の時期や条件、どれが併用できるかなど、深い知識と経験が必要であるため、ノウハウのある会社でないとなかなか難しいのが実情です。
弊社では、補助金申請を加味した内容のご提案と工事計画を立てることができるので、お客様とひざを突き合わせながら、資金繰り計画も含めてケアさせていただいております。2023年4月には、省エネ推進課を立ち上げ、省エネ改修工事の知見とノウハウを会社の財産として集約させて、よりお客様のニーズに応えられるような体制を整えました。通常複数の業者に依頼する作業もすべて一気通貫型で完結できるため、スピード感のある対応が可能となりました。
そしてこれは、私から社員に対する「将来的に会社の肝となる事業なのだ」というメッセージでもあります。私がまず旗を振って言葉だけでなく行動に移すことで、私の思いや考えを明確にしないと、社員にも真剣さが伝わらないですから。
顧客の笑顔と社員の活気ある姿がやりがい
工事は多くの人が携わりますので、社員や職人さんを含め、関わる人が同じ目線でいい物を作り上げるという“フラットな関係”が一番大切だと思っております。そのために、共通のベクトルとして「凡事徹底」ということを掲げて、当たり前のことを徹底するという意識を一人一人に落とし込んでいくようにしています。
また、2023年4月からは「採用(S)」「教育(K)」「育成(I)」の頭文字を取って、「SKIプロジェクト」と題して、若手を5年計画で育成するプロジェクトを始めました。通常は3年くらいで独り立ちする業界なのですが、あえて5年という期間を設けて、大きな現場にもしっかりと対応できるエース級の人材に育てていきたいと考えています。3年目、4年目の先輩が1年目の若手を教えることで、教わる方も教える方も成長できる体制を作りながら、離職も防いでいます。
最近はすごく若手が頑張ってくれており、デジタル化したITツールを使いこなしながら生き生きと仕事をしてくれている姿を見て、「デジタル化に取り組んで良かったな。もっとこの若手たちを成長させてあげなきゃいけないな」と感じており、お客様の笑顔や感謝の言葉をもらった時もそうなのですが、若手たちの成長を見た時もすごくやりがいを感じさせてもらっています。
■プロフィール
三和建装株式会社
https://www.sanwakenso.co.jp/
代表取締役社長 中衆司
1973年生まれ。兵庫県出身。大学卒業後、旅行会社、不動産会社、信託銀行などさまざまな業種経験を経て2007年に家業である三和建装に入社。管理部門取締役、営業部門統括兼専務取締役を経て、2013年、40歳で代表取締役に就任。あらゆる建物の大規模修繕工事を手掛け、「省エネ」が注目を浴び始めた約20年前から外断熱工事にも着手。昨今の気候変動や電気代・建築費の高騰を受け、2023年4月「省エネ推進課」を正式に発足。複数の補助金・助成金制度をコーディネートして建築コストを下げる知見・ノウハウに強みを持ち、サポート実績を多数持つ。