2019年4月に施行された、働き方改革関連法案。その後、多くの企業ではどのような変化があったのでしょうか? 実際のところ、働き方改革は進んでいるのでしょうか。
株式会社ドリーム・アーツ(東京都渋谷区)が先日、大企業の働き方改革に関する意識についてアンケート調査を実施しました。
その結果からは、従業員たちの不満が浮き彫りに! 果たしてどんな不満が出てきたのかみていきましょう。
大企業の約9割が働き方改革。しかし実態は…
ドリーム・アーツが、2019年9月13日~9月16日、従業員規模が1,000人を超える企業の経営層と現場社員に対して「大企業における働き方改革の意識調査」を実施し、その調査結果を発表しました。
法改正から半年が経った今、大企業役員の87.0%が、働き方改革に取り組んでいると回答しました。約9割もの企業で働き方改革は何らかの形で施策が行われているようです。
しかし、現場社員に尋ねたところ、68.8%と約7割が働き方改革によって「業務の生産性は向上していない」と回答したのです。役員らと現場社員間でかなりのギャップが出ており、実態として、施策が現場において成果として実を結んでいない場合が多い現状がわかりました。
生産性向上のために今なすべきことは?
生産性向上のために今後解決すべき課題について現場社員に聞いたところ、上位3位は次のランキング結果となっていました。
1位 無駄な業務の削減 70.4%
2位 他社員や他部署とのノウハウ・情報共有 37.4%
3位 業務の見える化 36.4%
これについて、ドリーム・アーツは「大企業ならではの伝統や縦割り的な組織に関連する課題が浮き彫りになっている」と解説しています。
現場社員の本音はコレだった!
気になるのは、現場社員のリアルな想いと、現場の実態。
働き方改革の一環として生産性向上を目的としたITシステムを導入している(もしくは導入していたことがある)と回答した、現場社員に対する「導入しているITシステムに満足しているか」の問いには、40.9%が「満足していない」と回答。
その理由の上位3位は、次のランキング結果となりました。
1位 機能が使いづらいと感じた 61.3%
2位 求めている機能と違った 27.5%
3位 実際の現場の業務と合わなかった 27.5%
この結果を受け、ドリーム・アーツは「サービスを導入する立場の経営層らと業務を行う立場である現場社員の間で、求めるサービス・機能の認識に一定の隔たりが存在することが見受けられる」と解説しています。
そもそも役員らと現場社員の間で求めているものが共有できていない、もしくは不十分な実態が浮き彫りになりました。 ドリーム・アーツは「現場の生産性向上にあたっては、経営層らが導入を決定し“使わされる”ITシステムではなく、最も業務を理解している、現場の、現場による、現場のためのITシステムの開発・導入が重要」と述べています。
大企業はベンチャーに憧れている!?
ところで、今回の調査からは、こんな本音も出ていました。
従業員1,000人を超える大企業の役員・現場社員に対して、ベンチャーやスタートアップ企業の働き方改革のスピード感について尋ねたところ、51.5%がベンチャー、スタートアップのスピード感を羨ましいと感じていると回答しました。
大企業であることを背景として、さまざまな制約があることから、もっとスピード感のある働き方改革を希望しているところは大きいようです。
働き方改革においてどんなにいいツールやしくみが導入されたとしても、現場で生産性を上げることができるのは、現場社員以外にいません。「現場による、現場のためのITシステムの開発・導入」は働き方改革の浸透、成功のための第一歩といえるのかもしれませんね。